第15話 決着!光の果てに・・・
「ラグエル!!!」
爆発の最中、ラギエルは相棒の、いや、自分の半身とも言える存在の名前を叫んだ。最早、返事が返ってくることがないと分かっていても。ラギエルはバリアーをはろうとせず、彼女の半身の最期の光を受けていた。
「あぁ・・・ラグエル、ラグエル!!」
コクピットの中のラギエルは操縦桿すら握ろうともせず、うずくまってラグエルの死を悼んでいた。
「おのれ・・・ラグエルを・・・ラグエルを!!!」
ラギエルは半身を死に追いやった白銀の戦艦をにらみつけると、全てのフェザーを出して突進した。
「遅かったな・・・お前はもう詰んでいる。」
ラギエルの周囲で何かが煌めいた。きらめきは光の線を描き、光の点を結び始めた。
「これは・・・」
「グランドクルス点火。」
残弾154発全ての衝撃収束爆雷が一気に爆発した。通常4発でさえ絶大な威力を発揮するグランドクルスが154発という規模で同時に炸裂した。その衝撃は想像を絶し、全ての圧力がラギエルに襲いかかった。
「くそぉぉぉぉぉぉ!!!!」
コクピットのラギエルは悔しさに泣き叫んだ。天使ラギエルは重圧に耐えきれず、機体の各部が爆発を起こし始めた。
「ラギエル・・・君のもとへ・・・」
グランドクルスのまばゆい閃光の中、ラギエルはラグエルの幻を見た。ラグエルの幻はラギエルに手を伸ばすと、ラギエルを光の海に吸い込んでいった。天使ラギエルは光と重圧の中で爆発した。
「エネルギーを全てバリアーへ!!!」
天使のエネルギー炉の爆発は周囲の青空を真っ白に変えた。まほろばはバリアーを全開にすると爆発の熱と衝撃に耐えた。それでも爆発の間近にいた衝撃は凄まじく、まほろばの艦橋内部にもダメージを与えていた。
「うわっ!」
まほろばの計器がスパークし、火花が散った。
「耐えるんだ!!ここが正念場だ!!」
昇は爆発の衝撃から来る激しい揺れに耐えながらクルーに言った。やがて、爆発が治まり、周囲に青空が戻った。周りにはまほろば以外の何も存在しなかった。
「勝ったな。俺たち・・・」
「世界を救ったんだ!」
天使を倒したクルーは口々に言った。昇自身も安堵したその時、天から光の槍が降って来た。その狙いはまほろばからずれていたが、その威力はまほろばに大きなダメージを与えた。
「左舷半重力制御翼大破!!左舷側全火器、使用不能!!」
「第一主砲塔、大破!!」
「第十二装甲板まで融解!!」
被害状況が次々と報告され、まほろばの被害が極めて甚大である事実を昇は突きつけられた。
「くそぉ・・・天使め!!」
まほろばの前方に光の柱が現れ、その中心に長大なライフルを携えた華奢な姿をした天使が舞い降りた。
「我らの計画を妨害するものよ・・・我が、光の槍でその魂が浄化されんことを・・・」
まほろばの前に東京を破壊した天使、ガブリエルが立ちはだかった。