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第12話 危うし!まほろば!!

煙が晴れ、中から二体の天使、ラギエルとラグエルが姿を現した。だが、この二体の姿は対照的だった。ラグエルはほとんど無傷だったのに対して、ラギエルは両腕がなく、白く美しい無機質な姿はオイルと火花と熱で、醜く、どす黒く変わっていた。ラギエルは自らの身と引き換えに、硬X線レーザーからラグエルを守り抜いたのだった。恐らく他の天使では、戦闘力を意地すら出来ないであろうダメージの中で、ラギエルはなおもフェザーを操ってみせた。


「よくも私のラギエルをこんな姿に・・・許さない・・・許さない!!」


フェザーはラギエルの怒りに反応するかのように、まほろばめがけて飛んでいった。昇は迫り来る攻撃の回避を桜花に命じた。


「Bシステム急げ!!」


「はい。」


桜花が目をつむった瞬間、まほろばは光の膜で覆われた。フェザーはその光に近づくことができたが、その膜に触れることなく軌道をそらされていった。


「Bシステム。順調に作動中。敵飛翔体の攻撃は第一層で遮断されています。」


桜花は目をつむったまま昇に報告した。まほろばはもともと、宇宙空間での戦闘を考慮に入れて設計されている。宇宙空間の戦闘であれば、多数のスペースデブリとの衝突も十分に予想される。このために開発されたのがBシステムだった。エネルギー障壁を3層に分けて、超高速で迫り来る物体の衝突を無力化し、宇宙空間での活動領域を広げたこのシステムは戦闘にも応用出来た。


第一層の斥力場では、物理攻撃を跳ね返す、または軌道を変え、第二層の電磁シールドではビームなどのエネルギー体を防御し、第三層の分子振動フィールドでは衝撃波を無力化する。この三層に渡るバリアーが天使の攻撃を完全に防御していた。


「そんな・・・私のフェザーが・・・くそ!!」


自分の武器が通じないことにいらだったラギエルはさらに推力をアップさせてフェザーをまほろばに叩き込んだ。


「艦長!!敵性飛翔体、Bシステム第一層を浸食しつつあります。」


Bシステムは無敵ではない。人が重力に反して跳躍出来るのと同じように、斥力を振り切るだけの力を与えれば、斥力場を破ることは可能だった。


「あわてるな。重力偏向式特殊光学光線砲用意。」


まほろばの各部にある円形シャッターが開いた。天使ウリエルにとどめを刺した曲がるレーザーである。


「照準、敵性飛翔体。全てたたき落とすぞ。」


「はい。」


桜花は昇の命令に頷くと、全ての目標に照準を合わせた。


「目標、追尾完了!」


「エネルギー充填よし。」


桜花と火器担当オペレーターはほぼ同時に昇に言った。


「発射!!」


昇の号令一下、まほろばから、幾百筋ものレーザーがフェザー目指して飛んでいった。

レーザーの一撃、一撃がラギエルのフェザーを貫き、爆砕した。


「く・・・このぉ!!」


必殺のフェザーを撃墜され、逆上したラギエルはさらにフェザーを増やした。


「さらに増えたか・・・だが・・・」


まほろばもまた、ビームの連射を浴びせかけた。凄まじい攻防が天使とまほろばの間で繰り広げられた。光と爆煙が交差する戦場で、突然異変は起きた。


「何者かから、ハッキングを受けて・・・い・・・ます。制御・・・不・・・能・・・」


桜花がそう言った瞬間、モニターが消え、まほろばの全ての機能が停止した。


「桜花!!」


昇は桜花に呼びかけたが、桜花からの応答はなかった。


「艦長!だめです!!全機能ダウンしました!!」


「揚力、もちません!!」


まほろばはバランスを失い、落下を始めた。さらに1,000を超えるフェザーがまほろばに襲いかかった。


「うわぁぁぁぁ!!」


まほろばの艦内は恐ろしいまでの振動に襲われた。フェザー一つ一つの攻撃力は高くなかったが、1,000を超える数である。その攻撃は少しずつだが確実にまほろばに傷を付けていった。


「落ちろ!!じゃまものぉぉ!!」


ラギエルの渾身の一撃が命中した。まほろばは爆発を起こして海面に落下し、大きな水柱が南太平洋に上がった。

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