第11話 人智を超えた攻防
「あの防御相手にこの出力では無理か。主砲選択、51cm陽電子砲のまま機関出力最大で発射だ。」
まほろば艦長の敷島昇は、火器管制オペレーターに命じた。
「了解。発砲諸元入力、および、出力調整開始。次射まで、あと20秒。」
まほろばの主機関であるS機関がうなりを上げて光り輝きだした。
「艦長、発射準備完了です。」
「撃てぇ!!」
まほろばの三連裝主砲塔2基から6本の光が飛び出した。光は海を割らんとする勢いで空を駆け、ラギエルのバリアーを直撃した。
「ぐぅ・・・ぐぐ・・・」
コクピットの中のラギエルはけたたましく鳴る警告音とデータの海と戦っていた。ラギエルのバリアーもまた。最大出力でまほろばの攻撃に耐えていた。
「まだ、まだ大丈夫。この攻撃なら、バリアーは耐えられる・・・」
「ラギエル。さらに高エネルギー反応。ミサイル多数、数、216。」
ラグエルはラギエルにさらに攻撃が来ることを教えた。
「ミサイルは心配ない。私に任せて。ラギエルは高エネルギー体にだけ集中して。」
ラグエルはアカシックレコードを煌めかせると2体に来襲するミサイルを自爆させた。
「ラグエル。もう一つのエネルギー体は防ぎきれない。よけますよ!!」
そう言うと、2体はすぐに身を翻しまほろばの硬X線レーザーを避けた。攻撃を避けられたことに安堵した二人だったが、一瞬でそれが打ち消された。避けたはずにビームが自分たちに向かって来たのである。
「バリアー!・・・間に合わない。ラグエル!!」
太平洋上空で大爆発が起きた。
「ナイスフォローだった。桜花。」
「ありがとうございます。艦長。」
モニターに映る十二単の女性は微笑んだ。まほろばの艦載機、零式桜花は機首に硬X線レーザー用の反射鏡を備えている。昇はまほろば最強の兵器である艦首砲を反射させて天使を攻撃したのだった。バリアーを張っていない状態で艦首砲の一撃を受けたのだ。最高の防御力を持つ天使と言えど、大破もしくは破壊は免れないだろう。
昇は爆煙に覆われた空を見た。すると爆煙から光が煌めいた。幾筋もの光が不可思議な軌道を描いてまほろばに襲いかかった。