第9話 人類滅亡計画
天使ラグエルの頭部にマウントされた天使の環が光り輝きだすと同時に、天使ラグエルはその手に携えていた本状の武器を開いた。天使ラグエルは七大天使の中で唯一戦闘用兵器を一切持たない電子戦専用統合作戦機であった。
戦闘能力を全く持たない機体であったが、その能力は他の天使と比べて全く遜色はなかった。ラグエルの持つ本状の兵器「アカシック・レコード」が光りだした瞬間、世界に異変がおきた。
「大変です!ICBMの発射システムが何者かからのハッキングを受けています!一次防壁を突破、サブシステムへの介入を開始されました!!」
辛うじて、ウリエルからの攻撃を免れたNORADでオペレーターが叫んだ。核兵器の中枢がハッキングをうけたのである。最悪、核ミサイルが世界中の至る所に飛来する事態が良そうされた。
「ただちに防壁を展開、メインシステムに入り込ませるな。」
「第二防壁展開・・・だめだ!突破されました。メインシステムをカット!!」
「全てのサブシステムからハッキングを受けています!!」
司令官は司令部としての機能が停止するのも構わずに、全ての電源を落とした。来んユータを動かす電源がなければハッキングされることはない。少しは時間が稼げるはずだった。
「今頃は・・・どの核保有国も・・・」
アメリカの司令官は他の国の事態を思いやった。こんなときにこんな攻撃を仕掛けてくるのは天使しかいない。天使の目的が世界核攻撃荷あると分かった今、天使を倒す以外にこの事態を打開する方法はなかった。
「しかし・・・どうやって?」
この認識は各国の指揮官の共通認識だった。各国の軍事力は天使だけでなくオロチにすら有効打を持っていなかったのである。
そんななか、あらゆる通信回線が天使によってジャックされ、ミカエルの映像と声が世界にふたたび現れた。
「我らの天の槍にその身を焼かれた人類よ。次は自ら生み出した悪魔の炎で身を焼かれ、滅ぶが良い。明日、グリニッジ標準時午前零時をもって人類は滅亡する。妨害したくば、子の座標に天使はいる。せいぜい止めてみるがいい。」
ミカエルはラギエルとラグエルの居場所を示し、通信をきった。人類滅亡まであと30時間。人類の存亡をかけた戦いが始まった。