華麗なるシスコンお兄様
俺は人間セコムがいるほどのとある裕福な家庭の子息である。
そして有名私立の高校生である俺には二つ年の離れた一人の妹がいる。
ある日妹と一緒に食事をしていると妹は声をもらした。
「白馬に乗った王子様が現れないかな」
それを聞いて食事の後、俺は部屋に戻る前に家の執事に言って“手配”させた。
妹はお嬢様が通う私立の女子高に通っている。
そんな裕福な息女が通う学校なので、帰宅の時間になると門の前にはたくさんの高級車が止まる。
俺の家も普段は自動車通学なので、妹は門の前で同じく裕福な家柄の友達と話しながら迎えの車を待っていた。
「やあ、妹!兄が迎えに来たよ」
俺はパカラパカラと近づきそんな妹に話かけた。
妹は俺に気がつき、俺を見て、目が飛び出した。
「お兄様、何、それ」
「白馬に乗った王子様さ!」
俺は白馬の上からしたり顔で妹の質問に答えた。
昨日執事に白馬を用意してもらい、妹の願いを叶えるべく俺が白馬に乗った王子様になり現れたのだ。
それに俺たちの周りのギャラリーも驚いた様子でこちらに注目している。
「さあっ! 願いが叶って嬉しいだろうっ、妹よ!!」
「お願いだから帰って」
「おやおや、照れているのかな?」
「照れてない! というかお兄様が王子様なんて嫌!」
「……なるほど、お兄様はお兄様であって他人ではなく身内でないと嫌なのか。俺もだ!」
「その解釈全然合ってないから!」
「妹がまさかここまでお兄様を愛していたなんて気が付かなかった。すまない!ならば仕方ない、今回は諦めるとしよう」
俺はそう言ってから金でデコレーションされた携帯を取り出して、車の運転手に妹を送迎するように伝えながらパカラパカラと去っていった。
そんな俺の背後から「違う!話を聞けーーー!!」と叫ぶ声が聞こえてきたので。
俺の妹は今日も叫び声も可愛いなと思った。