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EP04-11 【バハムート】 

約一か月ぶりの投稿となって申し訳ありません。(´・ω・`)

今週からゆっくりで明日が投降を再開します。


 カフェを出てすぐに私たちは最も近くに展示されている【インパクト】の元に移動した。

 相変わらずの人込みの中、展示を見ようと集まってきた人たちの一番前までやってきた。

 

 「やっぱ本物は違います!」

 「隊長。少し落ち着いてください」

 「フィリオもわかってると思います! 改めてみると、やはり二ホンの兵士はすごいです!」

 「確かに、【スカイアーマー】は二ホンだけが使っている兵器で、これはこれで利便性がありそうですね」

 「あーあ、私たちの部隊でも使ってみたいです」

 「誰が操縦して、だれがメンテナンスをするのですか?」

 「――無理です」

 

 カナンさんが肩を落としてため息をついた。

 そこまでの会話を聞いて、少し気になったことを聞いてみる。


 「あの、フランスでは【インパクト】は使っていないのですか?」

 「ええ。ニホンと比べればブルターニュ地方の襲撃なんてた大したことはありませんでした。それに、私たちのような兵士もいましたから」

 「そうなんですか?」

 「ええ。――いえ、もしかしたら、いまではブルターニュ地方のほうが被害は甚大かもしれませんね」


 重い表情でいうフィリオさんの言葉に反応して、カナンさんは苦笑して空を見上げた。


 「あんなの、どうしようもないです……」

 「何かあったんですか?」

 「――場所を変えましょうか」


 険しい表情で言うフィリオさんの声に深刻なことだと感じた私は、無言でうなづいて近くの路地裏に移動した。近くに私たち以外の人がいないことを確認してから、フィリオさんが教えてくれた。


 「きっかけは10月10日でした。私たちの所属していた部隊は、これまで通り襲来した敵を破壊していました。もちろんそのまま行けば順調に作戦が進行し、被害を最小限にして帰還できたんです。――ですが、それはわずか1分でひっくり返りました」

 「い……一分?」


 無言でうなづくと軍服のポケットから端末を取り出し、その画面を私に見せてくれた。


 「……これは?」

 「その時、わたしたちの部隊と拠点周囲、そしてパリの近郊まで襲来した新型です」

 

 表示された画像はぼやけていて輪郭しか見えないけど、明らかにこれまで見たことのない形をしていた。

 大きく横に広げられたもの、下部に延びる細長いもの……。

 そう、あえてこれを例えるなら……。


 「ドラゴン……みたいね」

 

 そう、ドラゴン。もしかしたらワイバーンかもしれないけど、とにかくそういう形をしていた。明らかにこの地球上に存在する生物じゃない。

 

 「私たちでつけた個体名称は【バハムート】。タイプ【ジャイアント】など比べ物にならないほどの破壊力と機動性を持ってる【マキナ】です。――私たちはそれに敗北しました」

 「あれは無理です。勝ちようがないです……」

 

 肩を落とし、目線をも落とす二人。

 どう話しかければいいのかわからず、誰もしゃべらずに通りの賑わいを聞く時間が過ぎる。

 ――そもそも、【ジャイアント】ですらナズ・レグルニアの【サルファガム】と、レグの【アルマテル】でしか倒した記録はないのに、それ以上の敵を倒すなんてほとんど不可能に近いはず。いったいどうやって……。


 けど、それを聞く前に、路地の奥から声が聞こえた。


 「――ああ、お前なのか? いや、そうであってくれよぉ?」


 何処か楽しそうな女性の声。

 硬いものが地面をたたく音が一定間隔で近づいてくる。

 

 「だれ?」


 路地で、ちょうど雲で太陽が隠れてしまったせいでその声の持ち主がよく見えない。

 だけど、不思議と懐かしさを感じた。

 この声で、心当たりがあるとすれば……。いや、あり得ない。

 隠し持っているナイフに手を置き、二人の前に出て警戒する。

 

 「ああ、間違いない。やっぱてめぇだ。てめぇを殺せば、このイライラする抵抗が消えるだろうよ。なぁ? そう思わないか?」

 「言っている意味が分からないわね。あなた、何者?」

 「アインリットさん。これはどういう状況ですか?」

 

 私の後ろにいるフィリオさんが、小声で聞いてきた。

 横にはカナンさんが出てきていて、真剣な眼差しで路地の奥を見つめている。


 「だれか、いるです」

 「へぇ、てめぇらが俺が見えるのか。やっぱ青眼の個体のほうが夜間行動は向いてるだろうな。チッ、はずれを引いたぜ」

 

 ため息とともに、意味の分からないそんな声が聞こえた。

 すると再び堅いものが地面をたたく音が聞こえ始める。

 徐々に大きくなり、徐々に相手の姿がはっきり見えるようななってくる。

 すらりとした身体、体系と声から相手は間違いなく女性。

 次に金色に光る両目が見えた。

 次に白銀のポニーテールの髪。

 次に服装が見えて、顔が見えた。

 

 「……うそ、でしょ?」

 

 あり得ないことが起きている目の前のことに、思わず引き抜きかけたナイフから手を放す。

 立ちすくんで、ゆっくりと相手に向けて歩き出す。

 髪と目の色が変わってるけど、あの顔を見間違えるわけがない。


 「アインリットさん?」

 「どうしたんですか!?」

 

 二人が心配してくれている声が遠く聞こえる。

 肩をつかまれ、引っ張られ二人のところへ引き戻される。

 

 「アインリット? ああ、そうか。やっぱりてめぇはアインリット・ラーチか。てめぇは素体にすらなれねぇ。ここで殺してやるよ」

 「……なんで、なによ、その姿。どうして……なんでそんなこと言うの?」


 身体から魂が引き抜かれたような、脱力感と無気力感を感じながら彼女を見て言う。


 「生きてたの……?」

 「そんなにあれと会いたいのかよ。なら、殺して会わせてやるよ」

 

 彼女は、死んだはずの彩芽だった。


  ○

 

 【龍兵の丘】

 

 『偶然発見したんだけどさ、かなりの数の敵がナゴヤに向けて進行してる。詳細なことはわからないけど、数だけでいうなら【ネプチューン】10隻。たぶん提供された情報にあった新型もいる』

 「よりにもよってこのタイミングでか。クソ、あれの調整はどうだ?」


 少し前にアインリット・ラーチにアタッシュケースを渡した展望台。

 その根元で、インカム越しにニアと話している。

 緊急回線で繋げてきたのだ。

 

 『8割終わった。けどまだ出せる状態じゃないよ』

 「なら二機で対処するしかないのか。――わかった。今から俺も準備する。悪いがレグにも伝えておいてくれ」

 『それはRONAに頼んで。――それと一応【テッセン】は下ろせるよ。もしもの時は連絡して』

 「わかった。頼む」

 『忙しくなるから切るよ』


 通信を終え、俺はすぐに人込みをかき分けて、【サルファガム】に向けて走り出した。

 状況は最悪だ。

 ――よりによってこのタイミングであれが来るか。

 俺はインカムについているボタンを押してRONAにつなぐ。


 「RONA。すぐにレグに連絡してくれ」

 『状況はニアさんより聞きました。すでに連絡済みです』

 「さすが。――敵の進路は」

 『これまでと同じです。予想到着時刻はいまから30分といったところです』

 「早いな。あいつらも本気ってわけか」

 『いかがいたしますか?』

 「敵の出現ポイントはどうだ?」

 『おおよその位置は』

 「ならほぼ確定だな。よくやった。索敵を中断し、レグに追加の指示を。おろしている装備を総動員しても構わんからとにかく敵を減らせと伝えてくれ」 

 『了解。その後は?』

 「機体を起動させ、搭乗後は輸送艦に兵器を回収しに向かう。すぐに出れるように起動させてくれ」

 『了解』


 通信を終了する音が聞こえ、俺はそれをしまって速度を上げる。

 最短距離で、最低限の動きで機体へ向かう。

 

 機体に着くと、運が悪いことに大宮が見たことのない男たちと、機体を見ながら話している最中だった。

 無視していくわけには……行かないよな。


 「大宮!」

 「ん? なんだ、ナズ・レグルニアか。なにかあったのか?」

 「これから起こる。誰かは知らんが、すぐにそいつらを安全な場所に移動させろ。それと市民もな」

 

 俺の発言を聞いた途端、険しい表情になる。


 「ということは【マキナ】か?」

 「ああ。だが、今回のはこれまでの物とはわけが違う。俺は機体を起動させて一度輸送艦に戻って準備をする。――が、高望みはするな。いまの俺たちの戦力では押しとどめれない可能性が高い。この意味が分かるな?」

 「ああ。こちらもすぐに行動に移す。頼むぞ」

 「善処はする」


 それだけ言って、俺は叫んだ。


 「RONA!」


 するとサルファガムから起動音のような音が聞こえだし、発行装甲が徐々に黄色く光りだした。

 あたりが騒がしくなり始める中、ひとりでに立膝を突き、手を地面に置いたその上に乗り、コックピットに入った。

 着ていたマルカリアの制服を脱ぎ、コックピット後部にある壁収納から頭部デバイスを取り出し、代わりに制服を放り込む。

 

 『いつでも出れます』


 デバイスをつけた途端、内蔵されたスピーカーから声が聞こえた。

 すでに機体と同期していたようだ。

 すぐにシートに座り、デバイスにコードを接続、機体状況とシステム項目をチェックする。

 一応は問題ないことを確認し、手をレバーに据えて意識を集中させる。

 

 機体を立ち上がれせ、すぐに輸送艦のあるマルカリアへ向かって飛び始める。

 【龍兵の丘】を離れ、徐々にマルカリアへと近づいていく。

 その中で、俺はRONAとともに輸送艦に積んである武器の確認をし始めた。


 「大型のメイスに大剣、槍、斧……。もはや掃討用の兵器しかないな」

 『無理もありません。【ネプチューン】戦までの戦闘記録を参照し、計算した結果です』

 「わかっている。この機体であれば大剣だろう。腕への負担などもろもろを考えればな」

 『では大剣の準備をしておきます。――マスター、敵反応が集団よりひとつ、単独で抜けて接近してきます』

 「なに?」

 『速度からして呼称【バハムート】ではないかと』

 「あれか……。アルマテルの準備は?」

 『事前に機体を武装及び偽装させて【龍兵の丘】に待機させていたようで、すでに準備はできているそうです』

 「様子見もかねて射撃しろと言っておいてくれ」

 『了解。我々はどうしますか?』

 「最短距離、最短時間で武器を回収しに行く。そのあとは龍殺しだ」

 『了解』


 機体各部のブースターの出力を上げ、輸送艦へと向かった。

  

 

 

次回は8月29日6:00投稿予定です

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