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EP03-08 The Hunting strategy①

 【エリアG 南東】

 

 作戦開始から10分が経った。


 私たちAチームは作戦通り、南にある元商業施設の廃墟を経由して西に進んでいた。

 崩れた観覧車の近くを通過して橋を渡り、道沿いに走っていく。

 前に3班、後ろに2班という並びで、【インパクト】の駆動音と私たちの足音を聞きながら走っていく。

 身体は十分に温まっていて、吹きつける海風もそんなに寒くない。

 バイザーにつけられた暗視システムのおかげで緑がかってはいるけど先がよく見える。

 けど、まだ【ネプチューン】は見えない。


 走り続ける時間が長くなるにつれて、心臓の刻みがだんだん速くなっていく。

 それと一緒に、何とも言えない何かが込み上げてくる。

 なぜ、どうしてなのかわからない。

 だけどその何かを拒むように、私はそれが顔に出るのを我慢する。

 この感覚は何なのだろう。

 

 橋を渡った先の道をしばらくまっすぐ進んで行き、突き当りのT字路を左に曲がる。

 曲線を描く海岸沿いの道を走り、たぶん腕で囲うことのできないぐらいの太さの倒木を超えて道を進む。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ……」

 「は、は、は、は、は……」

 「ま、まだ……?」

 『もう少しのはずです!その、私たちだけ楽することになってしまって……』

 『皆の者すまんな。もう少しだけ頑張ってくれ』


 周りにいる仲間から発せられる荒い呼吸がだんだん大きくなっていく。

 通信越しに2班のメンバーやリーダーらしき人の声が聞こえる。

 だけど私たちは誰もその声に反応しない。


 というか無理に決まってるじゃない。

 もうかれこれ30分間、銃持って不安定な道を走り続けてるんだから……。

 3班の誰もが喋る余裕なんてないはず。

 当然私もそんな余裕はないわ。


 「だ、大丈夫?ラーチさん……」


 偶然なのか、狙ってなのか、答える余裕がないのに隣に来たレグが聞いてきた。

 というよりかレグ、割と平気そうだけど……。

 なんで普通に喋れてるのよ。


 「だ、はぁ、大丈夫……よ。はぁ、これ、ぐらい……」

 「あー、うん。結構やばい感じだってことはわかった」

 「じゃ、じゃぁ……はぁはぁ、ど、どうして、あなたは平気な、わけ?」

 「俺?俺はまぁ、その。人より体力には自信あるからさ」


 自信がある?

 そんなレベルの問題じゃないでしょうに……。

 何年も鍛えてきた私ですらきついのに。 

 レグってそんなに体力あったかしら?


 ――あれ?というよりか、レグって確か中距離射撃というよりは遠距離射撃が得意なはずじゃ……。


 そう思って手元を見てみると、案の定そこにあったのは【MK02ー118】だった。

 私は余計にどうしてレグが3班と契約して、どうしてここにいるのかが分からなくなった。

 いくら考えてもわからない。

 そもそも真剣に考える余裕なんてない。

 いくら考えても答えにたどり着かない私のレグに対する考察は、突然入ったリーダーからの通信にかき消された。


 『全員止まれ!』



 突然出された指示。

 その声は普通ではない緊張感が込められたものだった。

 チームの全員が前から順を追って止まっていき、【インパクト】は空中で静止。

 前で何が起きたのか気になるのだけど、前の人との身長差のせいで何も見えない。

 もちろんほかにも要因はあるけど……。

 例えば今いる場所が集団の中間だからとか……。

 

 周りを見ると、乱れた呼吸を整えながら前の様子を見る仲間の姿があった。

 レグはどうかと見てみる。

 ま、バイザーのせいでほとんど表情なんて見えないけど……。

 だけど歯を見せて食いしばっているあたり、多分前が見えているのだと思う。

 そしてレグはトリガーに人差し指を添えた。


 まさか……?

 なんとなく嫌な予感がする。

 私もレグにつられるようにトリガーに人差し指を添える。


 「レグ、はぁ、はぁ。前で、何が起きてるの……?」

 「あー。……一番起きてほしくなかった状況だよ。そろそろリーダーから通信が来ると思う。――さて、どうするものかね」


 肩をすくめて前の様子を見るレグを視野から外す。

 右の生い茂る林を見て、塀越しに左の海岸を見る。

 後ろの【インパクト】を見て、手元の【118】を見る。

 前にいる仲間を見て、左右にいる仲間を見る。

 その数秒後、緊迫した声の通信が入った。


 『全員に命令する!【インパクト】は海岸側から回り込んで可能な限り、長時間【マキナ】の進行を阻止せよ!3班は前半数はこの場に残り、前方の敵と交戦を開始する!残りの半数は商業施設跡まで後退しろ!フェイズを一段階繰り上げる!行動開始!』

 

 「な!?」

 「おいおいおいおい、マジかよ……」

 「い、いいから俺たちは後退するぞ!急げ!」

 『に、2班、行動を開始する!』

 『う、撃て撃て撃て撃て!!!』

 『うわぁぁぁぁぁ!!』

 「早く、早くいくぞ!」

 「や、やってやらぁぁぁぁぁ!!」


 銃声が聞こえ、何度もフラッシュがたかれる。

 

 前後にいる仲間がうろたえている。

 だけど数秒後には、状況を把握して動き始めた。

 作戦を開始する。

 行動を開始する。

 ――一歩遅れて私も。


 「レグ!」

 「わかってる! 撤退だ! 急ぐぞ!」

 「何を言っているの!戦闘に参加しないと!」

 「俺たちは後方組だ! 早く撤退して第二段階に移るんだ!」

 

 そう言ってレグが乱暴に私の腕をつかみ、引っ張って連れて行こうとする。

 だけど私はその手を強引に振りほどき、レグと距離をとる。

 けど、レグはそれでも私を連れて行こうと近づいてくる。

 

 「ほら、行くよ」

 「私は戦うわ。ここで一体でも多く奴らを破壊する」

 「ダメだ。ラーチさんは俺と一緒に後退するんだ。あいつらの破壊はそこでもできるだろう?」

 「そうじゃない。いいからあなただけ行って!」

 「そうはいかない……!俺には俺の役割があるんだ!」

 「――え?」


 役割?何よそれ。

 役割だから私を戦場から離そうとするの?

 役割だから私を守ろうとするの?

 役割だから……。


 「――私の、私の邪魔をするの!?」

 「ラ、ラーチさん?」

 「守られて、守れなくて、戦えない。なら私は何のために戦場にいるの?」

 「お、俺はそういうことを言っているわけじゃ……」

 「私はあいつらをぶっ壊すためにここにいるの。守るでも、守られるでもなく」

 「ラ、ラーチさん?」

 「ただ……壊すためのここにいるの。壊して、壊して、壊して、その残骸を踏みにじるために!」

 

 それを聞いたレグが、あっけにとられたような顔で一歩後ろに下がった。

 今の私はどんな顔をしているのだろう。

 彼はどんなことを思っているのだろう。

 恐怖? 圧巻? 尊敬?

 それとも私の想像できないもっと別の何か?

 でも私はあれを壊すためにここにいる。

 それだけは変わらない!

 

 ――だけど、あそこまで言っても彼は再び私に近づいてきた。

 何か、覚悟を決めたような顔で。

 

 「ラーチさん。後退しよう」

 

 あれだけ言ったのに、それでもレグはそう言った。

 

 「どうして?私はここであいつらをぶっ壊さないといけない。そうしないといけないの!」

 「どうして?」

 「復讐よ。家族を殺し、友人を殺し、私の守るべき相手を殺したあいつらへの復讐よ」

 「でも、いつかラーチさんは言ったよね。私は人々を守るために戦うって」

 「はは、あいにくもう守る相手、身近にほとんどいないわ。彩芽も、風香ももういない。せいぜいあなたと有栖だけなのよ?残っているのは」

 「それで、俺を逃がすためにここで戦うのか?」

 「――ええ。そうよ」


 それを聞いた瞬間、レグは私との間を一気に詰め寄り……。

 【118】を捨てて私を抱え上げた。


 「な!? え!!?」

 

 ――レグは何をしているの?

 銃を捨てて、私を抱え上げて、何をしたいの!?


 いろいろ考えて、今まで考えていたことと混ざってよくわからなくなる。

 脳内が一気に真っ白になるような、そんな感覚に襲われる。

 何も考えれない。

 何をすればいいかわからない。

 というよりか、なにこの状況……。

 どうして私は抱えられているわけ?


 混乱する私を抱え上げたレグは、そのまま身体の向きを反転させ、来た道を戻り始めた。

 私を右肩と太ももの裏にある腕でしっかりと抱えて。

 肌に指の跡が残りそうなぐらい。

 倒木を超えて。

 T字を右折して来た道を戻る。


 そして行きで渡ったあの橋の手前で、私の思考はようやく私の元に戻ってきた。


 「な、なにをしている……の?」

 「見ればわかるだろ? 後退中さ。指定されたポイントまでね」

 「で、え? でも、その、なんで私を抱えている……わけ?」

 『そのポイントまで連れていくためだよ。あと思考のリセット」

 「リ、リセット?なんで?」

 

 橋の中腹でレグは立ち止まって、バイザー越しに私の顔を見た。


 「もしかして自覚ない?」

 「な、なにがよ」

 「――ないんだ。なら……っ!!」

 突然視界が回り始め、気が付いたら私は宙を飛んでいた。

 ――!!!?

 突然のことだったけど、とっさに受け身をとってアスファルトの上を転がる。

 それから数回か宙を舞って地面を転がって、芝生の生えている道路の上でうつぶせの状態で止まった。。

 体の各所をぶつけたのか、肘とか背中とかが痛い。

 目が回る……すぐには立てそうにない……。

 ……【118】が手元にない?

 受け身をとった時に落としたのかな。

 枯れかけた芝生がスーツ越しに身体に刺さって少し痛い。 


 雨が降るような空でもないはずのに雨が降ってくる。

 けどそれはなぜかすぐに止んだ。

 痛みに耐えながら立ち上がる。

 そして、何が起きたのかを確認するために周囲を見渡してみる。

 目の前には倒壊し、錆びている観覧車、その奥には……合流ポイントの元商業施設。

 右には海、左には荒廃した街。 

 ――となると私たちが来た方向は……。

 そう思って振り向く。


 そういえばさっきからレグの声が聞こえない。

 姿が見えない。

 まさか……。

 まさか……!!

 

 振り向いて、まず最初に入ってきたのは月明かりの反射するアスファルトだった。

 全身が微妙に濡れて、私の体もわずかに光をまとっている。

 あの転がってからの数十秒で何が起きたのだろう。

 それも気になるけど、最優先はレグだ。

 あっけにとられていたけど、またすぐにあたりを見回し始める。


 次に見えたのは……。


 「嘘……でしょ?まさか……、いえ、そんなことは……でも」

 

 橋のある方向を見て、嫌な結末が、考えたくない光景が頭に浮かんでくる。

 私にとって最も起きてほしくないことが起きたのかもしれない。

 なんとなくそんな感じがする。 

 急にうまく力の入らなくなった足で、よろよろと歩いて道を戻る。

 転がった時に手放した【118】の横を通り過ぎて。

 すがるような思いでその道を戻る。。 

 けれど、そんな気がしていたけどその道は途絶えていた。 

 いいえ、正確には崩落している。

 私たちが向こう側に行き、レグに運ばれて戻ってきたときに使ったあの橋が、川に浸かってばらばらになっている。

 暗視システムのせいで緑がかった視界の中、崩れた橋の先から下をのぞく。

 声を出して呼びたいけれど、うまく声が出ない。

 下まで行って探したいけれど足がうまく動かない。 

 ただ、私はただ、祈るような思いで見ることしかできそうにない。

 

 その姿を探すように瞳を左右に動かす。

 声が出ないから、心の中でその名前を呼ぶ。

 完全に潜水していない橋の残骸の影を、浸っている場所を見る。

 

 ねぇ……おねがい。出てきて……よ


 いくら探しても見つからない。

 降りて隅々まで探したいけど、足が、体がそれを拒む。

 だんだん……頭の中が真っ白になっていく。 

 ――また。


 ――また、私は……守るべき相手を失った。


 ――◇――

 【エリアG南西上空 輸送艦内】

 同時刻

 

 システムと動力炉の駆動音が聞こえる。

 いまだに、機体に乗っているとき以外は全く慣れないこの浮遊感。

 それを感じつつ、俺は格納庫の先にある操縦室でニアと彼女の操縦。

 それとモニタ―を見ていた。

 パイロットスーツの上に、厚めの白基調のコートを羽織っているだけなので足が若干寒い。


 1分1秒ごとに変わる戦場。

 Aチームが分裂し、片方は交戦、片方は後退する様子。

 先行者からフェイズ2に移るという報告。

 戦闘区域へ到着まで残り5分というRONAからの報告。

 それから両目を金色に輝かせ、一人で輸送艦を動かすニア。 

 

 それらを壁にもたれながら見ていると、その視線に気が付いたニアが話しかけてきた。


 「私の顔に何かついてるか?」

 「いや、その眼を見ていた」

 「眼、ねぇ」

 「おかしなことだよな。その眼が異様なほどきれいと考えてしまうのは」

 「まぁねぇ。それにこの髪も。いまだにちょっと落ち着かないよ」


 そう言ってニアは右手で前髪を触る。

 

 「でもそれ、自分で言っちゃうだ」

 「しかし、ここだと目立つのがたまに傷だな」

 「染めないの?」

 「染める?何をだ?」


 それを聞いたニアが目を見開いてこっちを見た。

 

 「え!?髪、染めれるの知らないの?」

 「染めれるのか?」

 「こっちではよくやってるみたいだよ。ほら、前見た人とか緑色の髪色だったじゃん」

 「あれは地毛じゃなかったのか」

 「――っぷ、あははははは」

 「なぜ笑う?」


 特に、これといって大したことは言ってないんだが……。


 「あははははは、お、おなか痛い……。――はぁ、まさかあれを地毛って思うなんてね」

 「逆に聞くが、なんでそんなことを知ってるんだ?」 

 「教えてもらったのさ。あの子にね」

 

 そう言って自分の胸元を軽くたたく。

 ――なるほど。

 これは思いのほかいいことを知ったかもしれない。

 まぁ、俺はやらないが。


 「まーたなんか変なこと考えてない?」

 「俺がいつも変なことを考えてるみたいなことを言うな」

 「あれ違うの?」

 「お前……なんか変わったな」

 「うわ、いきなりどうしたわけ?」


 なぜ露骨に気味の悪いものを見るような顔をする。

 ――またわざとか?

 

 「そう思ったんだから仕方がないだろう」

 「ふーん。具体的にはどう変わったように見えるわけ?」

 「充実している。いまの生活が楽しくてしょうがない。――そんな感じだ」

 「ん~、60点かな。確かに私、今の生活がすっごく楽しいよ。特にこっちに来てからはね。空気を吸って、重力を感じて、風を感じながら過ごすこの暮らしがね」

 「ではあと半分は?」

 「――楽しみにしてることがあるんだ」 

 「楽しみ?」

 「そ、もしこの長い戦いが終わった先、私たちを待ってるものって何だろうって。単調で、何もかも与えられてた環境から出て、戦って、やっとの思いで羽を休める時が来たら、私たちはなにをするのかなって。それが楽しみでしょうがないんだ。特にこっちに来てからわね」

 「将来への羨望はいいことだが、あまり浮かれすぎると失敗した時がつらいぞ」

 「わかってるって。その時はその時さ。――もう少しでポイントにつくよ。コックピットに行って」

 「わかった」


 壁から離れ、棚に置いておいたドリンクを一口飲んでから操縦室を後にする。

 冷え切った格納庫、その壁沿いの道を進んで、軽い金属製の階段を上がる。

 通路は格納庫を3分の1進んだあたりで右に曲がっている。

 そしてこれのさらに先にはあの機体、整備を終えた【サルファガム】があおむけの状態で寝かせてある。


 俺は通路の曲がり角でそのコート脱ぎ、壁に備え付けられたロッカーに押し込んだ。

 代わりに頭部デバイスを取り出して装着する。

 起動。

 それと同時に、先ほど操縦室で見てきた情報がデバイスにインストールされる。

 異常なし。

 身体もスーツもデバイスも。

 すべてが万全の状態だ。


 ロッカーを締め、俺は【サルファガム】に搭乗した。


 

 ――◇――


 「全システム起動。出番だ。RONA」

 

 コックピットに座り、タッチパネルを操作して機体のシステムを起動させていく。

 動力関連。

 出力制御システム。

 操縦系統のシステム。

 そしてRONAのメインシステム。

 そのすべてを起動させる。

 これぐらいなら30秒で起動させれるが、何分この先はRONAが新調したもの。

 下手にいじるよりもRONAに任せる方が先決だ。

 タッチパネルからそっと手を放し、シートの背もたれへもたれかかる。


 『お待ちしていました。マスター』


 デバイスから脳に直接響くような機械じみた声が聞こえ始める。

 

 「ああ、待たせたな。準備はいいか?」

 『はい。全システムの正常稼働を確認。機体状態及びマスターのバイタルに異常は見られません。いつでもいけます』

 「わかった。ニアの合図とともに降下、作戦を開始する」

 『了解』

 

 ここからでは見えないが、おそらく機体装甲の黒い各所がやや緑がかった黄色に発光し始めているはず。

 そう判断し、再びタッチパネルに手を伸ばす。

 だがその瞬間、なぜかニアからまだポイントについていないのに通信が来た。


 「どうした、何か問題でも起きたか?」


 通信を開始し、さっそく聞いてみる。

 だが、俺の問いに対する返答はあまりにも緊迫感のある声のものだった。


 『大問題だよ!アインリット・ラーチが単独で【ネプチューン】に向かってる!えーと、これは【インパクト】!【インパクト】に乗ってる!』

 「はぁ?何を言って……まさか、嘘だろ?」

 『マスター!』

 『リーダーどうする?』


 二人に判断をせかされる。

 

 仕方がないか。

 

 ここで動揺しててもしょうがない。

 俺は迅速にいくつかの説を出しながら考えていく。

 なぜあいつは単独特攻をし始めた……。

 確かあいつのことは先行者に任せたはずだが……。

 待て、先行者はなんて言った。

 フェイズ2に移行するといったはずだ。

 となると……そういうことか。

 

 原因が分かった。

 だが、ここからが問題だ。

 あいつは死なせてはならない。

 だが特攻など正気の沙汰ではない。

 本当に死ぬつもりか?

 

 目を閉じ、戦場となっているエリアGの立体地図をイメージしながらありとあらゆるパターンを生み出す。

 なにが最善か。

 何が最優先か。

 それらを絞り、一つにまとめていく。

 脳内イメージに一本の線を描き、ルートを決めていく。

 

 ――。

 ――これでいい。


 目を開け、作戦を情報化するために最速でタッチパネルを操作する。

 そして、作戦の変更を先行者とニア、そしてRONAに送信した。


 「作戦を変更する。現時点をもって【サルファガム】は出撃。機体が初期の作戦開始ポイントである呼称【ネプチューン】に到着、攻撃を開始次第二号機も行動開始。責任もってアインリット・ラーチを守れ。余裕があればこちらの支援射撃をすること」

 『私はどうする?』

 「ニアは俺たちが出撃以降、通常府通りα部隊の拠点に向かって追加物資を届けてくれ。それ以降はそっちの状況判断に任せる」

 『了解。30秒後に武器と一緒に強制射出するから、急いで出撃準備をして!』

 「悪いな」

 

 通信を終了し、直ちに終わっていない武器との同期を済ませる。

 

 『後部ハッチ、解放されます。マスター、タイミングは任せます!』

 「了解。【サルファガム】。これより作戦を開始する!」


 後部ハッチから、武器と一緒に投げ出された機体を、意識を機体に集中させて操作する

 

 「RONA!」

 『了解!出力制御を開始しします!』

 

機体のブースターの出力をわずかに上げ、左右にある操縦菅を操作し、空中でバランスをとって草原に着地する。

――ここは以前アインリット・ラーチを下ろした場所か。

 続けて追って落下してきた兵器。

 草原に突き刺さる持ち手の長い斧型の大型兵器を右手で引き抜く。

 同時に斧の刃や刀身の一部が赤みがかった黄色に発光し始める。

 ――同期はうまくできたか。……それにしても動かしやすいな。

 修繕前よりも格段に動かしやすくなっている。

 これなら多対一の状況でも戦えるかもしれないな。

 そう思いつつ、機体頭部を動かして上を見上げる。

 

 コックピット内のモニターに、今までの落下軌道がわかる、緑がかった黄色い線が描かれている。

 そしていまも。

 その線を継続して描き、俺たちは戦闘ポイントへと向かった。


 

予想外な展開を見せる作戦がいよいよ本格的描かれ始めました。

そしてお待たせしました!ここから戦闘パートに突入です!

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