表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

勇者から賢者へ

作者: コイコイ

 あれ? なんで意識が? 俺は確か死んだんじゃ……。

 意識がなくなる直前、確か車に轢かれて……あっ、やっぱり死んだのか。後光が差してるしあれは神様だな。


 「おぉ、勇者様!」


 後光かと思ったら禿げた頭が光っているだけだかい!

 そして、王冠がさらにその光を強調させていて、見た目はまさしく河童!


 「えーっと、これは勇者召喚ですか?」

 「さすが勇者様! 飲み込みが早い!」


 テンプレかい!


 「勇者様、魔王を倒して頂きたいのですが……」

 「えっ、でも、俺チートな能力もらってませんけど?」

 「いえ、勇者召喚の際に自動的に身体能力、魔力、その他もろもろ備わっています!」

 「マジっすか!?」


 さすがテンプレ!

 異世界召喚で無双って奴ですか!


 「じゃあ魔王を倒してくればいいのですね?」

 「倒す? まぁ勝負に勝って来てほしいのですが……」

 「わかりました。仕方ないですね」

 「無理言ってすいません。お礼に魔王に勝てれば我が娘を嫁に……ほれ、ジュリア」

 「はい……」


 そして、出てきたのはど ビッグマダムと言えるような人物だった。

 まさしく某妖怪物で言うドンヨ◯ーヌ!

 空気まで重いぜ。


 「魔王に勝ったらどうぞこの子をーー」

 「結構です」


 俺は早々に城を後にした。


ーーーーー


 「さて、魔王の城はどっちだろう?」


 俺は城を振り返る事なく、城から逃げるように歩き道を探す。


 『魔王城この先徒歩10分』


 観光地かい!!


 俺は考えるのが馬鹿馬鹿しくなってとりあえずそのまま看板の指示通りに歩いた。


ーーーーー


 「ようこそ魔王城へ! 本日はお一人様ですか?」


 俺を出迎えたのは角の生えたいかにも魔族っぽい奴だったけど営業スマイルで迎えてくれた。


 「はい、そうですけど」

 「かしこまりました。ただいまのお時間はフリータイムはございませんがよろしいでか?」


 ここはカラオケかい!!


 「えっ、いや、大丈夫ですけど……」

 「かしこまりました。では魔王様の元へご案内致します。……ご新規様一名御来店でーーす!」

 「「「いらっしゃいませ!!」」」


 ……俺はいろいろつっこむのをやめ、黙って魔族について歩いた。


ーーーーー

 「ふははは! よく来たな勇者! 我輩と勝負だ! かかってこい」


 俺が通された謁見の間にいる魔王は見た目とても強そうだった。

 くそ、これは武器くらい買ってくれば良かったか。ふざけた世界だし魔法だけでいけるかと思ったけど……。


 「……来ないのか? では我輩から行かせてもらうぞ!」


 くそ! ここは躱すか耐えて反撃しかない!!


 「8+6は?」


 ……はっ?


 「ははは! 分からないだろう。なんせ両手では数えられないからな!」

 「……14」

 「何!? まさか……じゃあ次だ! 3✖️4は? ふははは! これはさすがに分からないだろう!」

 「……12」

 「何を!? で、では40➗5は!?」

 「……8」

 「ま、魔王様気を確かに!?」


 俺はこの戦いの後、賢い者と称され賢者と呼ばれるようになった。

 ……チート能力意味ないじゃーーん!!


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ