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02話 異世界到着。

 えーと? これは今どう言う状況なのかな?

 さっきまで辺りは田んぼと山に囲まれたド田舎だっていうのに。まぶたを開けばそこには別の世界が広がっていて…どういうこと!!?

 俺は森の中にいた。森。そう森に。もうどっからどう見ても森でした。

 俺の半径5mぐらいには木は生えていませんけど。あとは全部木です! 

 

 森です! 人です! ……人!?


「おー、やった。召喚に成功した」


 驚いたようにローブを着た男が言った。


「?」

「よくぞ召喚に応じてくださいました。勇者様!」

「は?」


 呆然とする俺にローブの男が言った。勇者!??


「よし! これで僕も伝説の魔術師としてこの世界に名を馳せることが…」

「え?」

「勇者様! 二人でこの世界の英雄になりましょう!」

「はあ?」

「いよっしゃー! ここから伝説は始まるんだ!!」

「いや、ちょっとついていけないんですけど……」


 ローブの男はハイテンションでガッツポーズとかしている。声からするに俺 とあまり年は変わらないと思うが顔はフードで隠れていて見えない。一体今俺に何が起きているんだ?

 とりあえずここから……あれ?


「?」


 俺は後ろに移動しようとすると足が全く動かなかった。


「なっ! ……なんだよこれ!!?」


 俺は足元を見ると、俺の両足の太ももから下が地面に埋まっていた。

 いや、地面と同化している!?


「あちゃー、これ召喚時ミスっちゃいましたかねー」

「え?」

「ちゃんと上手く魔方陣を出したと思ったんですけどね。もしかして魔法陣の下に足を埋めたりしていましたか?」

「いや、もう俺全然状況についていけてないんだけど。その、あの、助けて下さい」


 情けない声で俺はローブの男に助けを求めた。既に頭の中はパニック状態で冷静な判断とか思考は無くなっている。


「うーん」


 ローブの男は屈んで地面と同化している俺の足をジッと見つめたり触ったりしている。


「これは、まー、仕方ないですね」

「え?」

 ローブの男はそう微笑んで俺を突き倒した。

「わっ! おっ! は!?」


 俺はバランスを崩されそのまま後ろに倒れる。


 パキッ!!


 小さく頭に響くような音が足元から聞こえた。


 「いでで……」


 俺は上半身を起こし恐る恐る足を見ると……


「うっ、わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁ!!!!!?」


 俺はありったけの声で叫んだ。そう、大声で叫ばずには居られなかった。

 俺は自分の足を見るとさっきまで地面と同化していた部分がなくなり、両足の太もも辺りから下がボッキリと取れていたのだ。前を見るとまだ地面には俺の足が埋まっている。


「うわああああああああああああああああああああああぁぁぁ!!!!」


 俺は一呼吸して肺に空気を取り込みもう一度大声で叫んだ。

 痛みはない。俺の足の先にはまだ土が付いていて血も出ていない。

 しかしその光景は俺にはショックすぎた。


「なんで、どうじて、俺の……あじぃ」


 目から涙があふれる。鼻からは鼻水も。今かなり情けない声が出た。


「あのー、勇者様? そんなに驚かなくても」


 ローブの男が俺に声をかける。男は俺の反応とは違い陽気な様子だ。

 そんな男を見て俺は怒りが込み上げてきた。


「お前! お前なあ!!」

「わっ! 急にどうしたんです勇者様!?」

「お前の所為で俺の両足が無くなったんじゃねえか!!」


 俺は飛びつくようにローブの男の胸倉を掴み怒鳴りつけた。

 全てコイツが悪い! コイツの所為で俺の両足が! コイツが元凶だ!!


「わっ! 落ち着いてください勇者様! たかが足ぐらいで……」

「たかが足だと? たかが!!」


 俺はブチ切れてローブの男を殴ろうとする。


「わっ! 待って! 待って!」


 俺は思い切り拳を振るうが両足がないせいでローブの男に簡単に防がれる。

 そしてローブの男は俺を突き放し慌てて距離を置いた。

 俺は成すすべもなく地面に這い蹲る。両腕で体を起こしてローブの男にもう一度掴みかかろうとするが両足はない。

 俺は悔しがりながらローブの男を睨み上げた。


「ちょっ、勇者様落ち着いて下さいよ。まずは冷静になって。ね?」

「ふざけんな! テメエ!」


 何が勇者様だ。さっきからその呼び方も俺を小馬鹿にしているようで腹が立つ!


「その足なら魔術で治せますから!」


 這いずりながら近づこうとする俺にローブの男は慌てて言った。


「……は?」


「だから治せます! 魔術で勇者様のその両足は治せますから!!」


「……本当に?」


 勇者とか魔術とかそういう理解不能な言語はもう置いておく。それよりもローブの男の治せるという言葉が俺に冷静さを取り戻させた。


「ええ、僕の魔術で治しますから。ですから落ち着いてください。ね?」

「……分かった」


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