引っ掻く
生まれたての明けてゆく空
あたしの長い尖った爪で引っ掻く
その白々とした淡い彩り
仄かに憐れな月の光り
薄く逃避する星の幻影
太陽が這い上がる前に
あたしは空を掻き毟る
ぐちゃぐちゃになれ
めちゃくちゃになれ
綺麗でなくなれ
何度も何度も
この爪はいつも狂気
この爪はいつも凶器
それがあたしの武器
傷をつければつけるほど強くなれる
生まれたての明けてゆく空
涼しい顔であたしを見下げる
どんなに引っ掻いても傷つかない空
やわらかすぎてかたすぎてつよすぎてふかすぎて
ふざけてる(ふざけんな)
空は当たり前に色濃く朝を蘇らせ
太陽は昇り続けることをやめない
あたしの爪は折れた
ばかげてる(ばかやろー)