第二頁
次の日の朝、部室にやって来た井上が広げてあるノートを読む。
「ん?これ・・・・学校の怪談?」
ぱらぱらとめくる横から黒猫も覗く。
『へぇ、こんなにあるのか』
「でも、物騒なのばっかりだな」
居なくなるとか殺されるとか引きずり込まれるなど物騒な話題中心だ。
「でも、面白そうだな。行ってみるか・・・昼間のうちに」
『夜に行かねぇのかよ!!』
ロマンもへったくれもない。本来肝試しは夜に行うものだろう。
「お前の件もある。死ななかったとしても物騒な目には遭いたくない」
『・・・・ま、まあ確かにそうだな』
彼女の過去を知る身としては納得せざるをえなかった。
と、言うより自分が引き起こしたのだからしょうがない。
「この「大鏡の裏」から行くか」
一番安全そうなものから行くことにした。
『授業はどうする気だ?』
「サボればいいだろ?大体ウチの授業はザルが多いし」
黒猫が黙った。確かにこの学校の授業はザルが多い、よっぽどのことが無い限り退学にも留年にもなりはしないし眼を瞑ってでも卒業できると有名である。
「さて、行ってみるか 音楽準備室」
黒猫少女と文喰いの黒猫はそろって部室を出た。
背後で笑っている文芸部室在住の黒猫に気がつかずに。
『くすくすくす、いつもながら単純だな。あいつは』
文芸部室在住の黒猫は笑いながら本を読み出した。
『そういえば、あのお気楽な剣崎を継いだガキの扱き、終わりの頃だったなぁ』
思い出したかのようにポツリとつぶやくのだった。