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二度寝を邪魔する奴は許さない。最新防衛システムは「やる気」を根こそぎ奪う


移動ベッドの開発により、エルンストの生活はさらに快適さを増していた。


しかし、噂を聞きつけた「お節介な冒険者」や「一儲けを企む商人」たちが、次々と隠れ家の門を叩くようになってしまったのだ。


(ピンポーン、ピンポーン!)


「……あー、もう。うるさい。チャイムの音が安眠の結界を貫通してくる……」

コタツの中で、エルンストは枕を頭に押し付けた。


断っても断ってもやってくる人間たち。彼らに対応するために「立ち上がる」など、エルンストの美学が許さない。

「よし、決めた。門から玄関までの間に、【絶望的脱力結界アパシー・フィールド】を張ろう」


それは、侵入者の「闘争心」や「野心」を魔力で中和し、強制的に「どうでもいいや……」という気分にさせる、平和的(?)かつ最悪な防衛魔法だった。


その日の午後。

王国の「勇者候補」と名高い、自信過剰な若手戦士たちが、エルンストを弟子入り志願(という名の売名)で訪ねてきた。


「見ろよ、あのボロ家が伝説の魔導師の家か? 俺たちが引導を渡してやるぜ!」

彼らが門を一歩くぐった、その瞬間だった。

「……あれ? 俺、なんでこんな重い剣持ってるんだっけ?」


先頭の戦士が、ポロリと大剣を落とした。

その瞳から、みるみるうちに輝きが消えていく。

「……てか、世界を救うとか、修行するとか、コスパ悪くない? 寝てる方がマシじゃね?」

「……本当だ。俺、なんであんなに必死に筋肉鍛えてたんだろ。バカみたい。……あ、そこの芝生、柔らかそう」

「……あー、雲が綺麗だな。もうここでいいや……」


数分後。エルンストの庭には、王国期待の若手エリートたちが、家までたどり着くこともなく、死んだ魚のような目でゴロゴロと寝転がっていた。


そこへ、エルンストが「移動ベッド」に乗って様子を見に現れる。

「……あ、やっぱり効いてる。……ねぇ、君たち。そこに寝られると邪魔なんだけど。帰るのも面倒なら、あっちの木陰まで転がって移動してくれない?」

「……あ、エルンスト様だ。……サインもらうのも面倒なんで、適当にそこに置いといてください……おやすみなさい……」


勇者候補たちは、憧れの伝説の男を目の前にしても、指一本動かそうとしなかった。

この報告を受けた王宮の宰相ヴァルガンは、震え上がった。


「な、なんだと……? 物理的な防御ではなく、『戦意そのものを消滅させる精神汚染魔法』だと!? しかも広範囲に常時発動しているというのか……!」


王宮では「エルンストは、人類を意のままに操り、全人類を無気力化して世界を裏から支配しようとしている」という、とんでもない誤解が爆速で広まっていった。


「もはや猶予はない……。精神汚染に耐性を持つ、我が国最強の刺客――『感情を封じられた聖女』メルティを投入するしかない……!」


いよいよ、王国の「最終兵器メルティ」と、エルンストの「究極のコタツ」が激突する時が迫っていた。



 

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