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プロローグ

 ど田舎のたばこ屋のバイトは暇だ。夕刻の退勤ラッシュが終われば、鳴くのは近くの田んぼのカエルだけ。客といえば一時間に一人来るか来ないか。あとは好きな雑誌をめくりながら、店番をしていればいい。


 たいていの人には暇すぎて苦痛だろうけど、私は違う。だって私「ぐうたら姫」ことリナは、とんでもなくめんどくさがりだから。


 現在19歳。大学は中退してしまった。妊娠したからでも、学費が払えないからでもない。ただ単に授業やら課題やらが面倒だったのだ。


 でも、そろそろニート生活にも飽きてきた。あまりに単調すぎる。誰の役にも立たず、目標さえ持たず、ただ生きてるだけなんて……



 うつらうつらしていたようで、気づくとカウンターの前に女の人が立っていた。若い女だ。フードで顔の表情はほとんど見えない。ジャージにパーカーというかっこうだが、痩せて神経質そうに見える。


「何をお探しですか」

 あんまりに長い時間、黙って立っているので、そう聞いた。


 女は何も言わない。こちらをじっと暗い目で見つめている。


 寒気がした。


 一瞬のできごと。女がポケットから銀色に光るナイフを取り出すと高く振りかざしてきたのだ。


 私には避ける余裕もなかった。冷たいナイフが何度も何度も首にあたる。熱い血がほとばしり、勢いよく流れ出してゆく。


 意識が遠のいていった。私はこういうふうに死ぬんだ。こういうふうに、何も成し遂げずに、誰からの愛も勝ち取らずに……

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