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024 出陣/ハセクラ

2018年 8月末


『どうすっかなあ……』

バロサ監督は頭を抱えていた。

背番号88、イエモ・モモが入団した。

それに、例の配信でネイマーレが話していた新機軸構想。

チーム内の競争は、トップチーム、セカンドチームを問わずに過熱している。

トップチームは危機感によって。

途中出場とはいえ、彼によって枠を一つ奪われるという事実は変わらない。

そして、ジデーンが言う事が確かであれば、“どのポジションであれ”その一枠の対象となる可能性があるのだ。

セカンドチームは、希望によって。

モモがもし、新機軸の先兵として成功したのならば、自分も続くことができるかもしれない。

特に、モモと黄金時代を築いていた選手の熱意が半端ではない。

レジョアネ、ギザース、レタールのヨーロッパ組。

それに、ボンゴとジョシュアもだ。その他のセカンドチーム選手も、いつだって機会を虎視眈々と狙い続けている。


チーム全体が士気を上げ、前掛かりになっている。

たった一人の選手を買っただけで。


『いやいや、前向きに考えよう』

そうだ。他のチームからすれば、羨むほどのチーム状況であることは変わりないのだ。

有力選手の顔色を伺う必要も、練習を促す必要もない。

バカンスを途中で切り上げたベテランもいるのだ。彼らは、積極的に練習参加している。

驚いたのは、移籍交渉で契約の可能性が濃厚であった選手でさえも、それを蹴ってこのチームに残留して熱心に自己鍛錬に励んでいることだ。

“モモ”と同じチームにいる価値を、彼らは随分と高く評価している、と監督は見た。


チームの破壊者。


いい意味でも、悪い意味でも、モモがそういう存在であると、監督は身に染みた。

だが、現実逃避は許されない。

2018シーズンは、否応なく、目の前に迫っているのだ。



ワシはスペインに家を買った。

元農家であった古い家ではあるが、広大な土地と頑丈な家屋が売りである。

メインに『配信や飲み会のたびに、俺の家を使ってんじゃねーよ』と言われて、郊外で物件を探して手に入れたのだ。

実に広い。

素晴らしい。

人に見つからないように魔法を使って土地を整形すれば、あら不思議。

目の前には、牧場が存在しているのである。

深層意識とは、恐ろしいものである。

ついでに家屋の方も非常に、非常に頑丈な作りとなっている。

ゴジラに踏みつけられようが、しっぽを振り回されようが傷一つ付かない防御力を誇る。

ワシは、不滅の要塞を手に入れた。

ちなみに認識阻害と敵対防御も組み込んでいるので、見つけることも、害することもまず無理ではあるがな。


だが、交通の便は非常に悪い。

バロサのクラブハウスまで、車で二時間半である。

むしろ、それが良い。

ここなら、ワシが何をしようが文句を言う人間がいないのだ。

一国一城の主とは、何と素晴らしい。

早速、配信ジマンせねば。

あ、個人チャンネルでも立ち上げるか。



【ワシの自宅紹介!】@イエモ・モモ

『どうも。イエモ・モモじゃ。さて、タイトルの通り、今回はようやっと完成した自宅を紹介するぞ。生配信なので、勿論コメントもできるぞ。どしどしコメントしてくれ』


『おお、そうじゃな。爺様が競馬趣味なので、その影響もあるかもなあ』

『その予定は無いな。適当に馬を拾ってきて、適当に走らせるくらいでええじゃろ』

『ああ、本業は忘れていないぞ? ここから大体三時間くらいかかるが……早起きは得意なんで何も問題は無いな』

『ここなら何と! 趣味の馬も本業のサッカーも十分に楽しめるという理想的な家じゃ』

『お? ワシの家に入る? まず無理なんで、頑張ってみてくれ』

『あー、そういう話は、まず馬を見んと分からん。あとで連絡先を教えてくれ』

『そういう話は受け付けとらん。そもそも主戦ジョッキーがいるのに、無茶を言うな』

『ではな! 何か動きがあれば、更新する予定じゃ』



【欧州】伊右衛門牧場総合 3011スレ【分場か?】

テンプレ以下略


何してるんすか? モモさん


名無しの牧場スタッフ

ドイツ時代に作ってくれよ!


名無しの牧場スタッフ

ドイツ馬産関係者が血の涙を流していたぞ


名無しの牧場スタッフ

最後まで醜く足掻いていたな


名無しの牧場スタッフ

まあ、分かる(日本馬主)


名無しの牧場スタッフ

伊右衛門牧場ってだけで、色々期待しちゃうもんね(米牧場主)


名無しの牧場スタッフ

こっちに来た時に、ちょっとだけ家買わない?(仏調教師)


名無しの牧場スタッフ

是非ともこっちに別荘立ててみないか?(英ジョッキー)


名無しの牧場スタッフ

なんでよりによってスペインなん……


名無しの牧場スタッフ

そりゃ、チームがスペインですしおすし


名無しの牧場スタッフ

ヤツの無軌道性にいちいちケチ付けると禿げるぞ


名無しの牧場スタッフ

しっかし、ちらっと見てもいい環境だな


名無しの牧場スタッフ

洋芝の馴致なら、あそこで十分だろう


名無しの牧場スタッフ

もし入れたのなら、メディア攻勢も弾き返せるだろうな


名無しの牧場スタッフ

そう言うのはNGって、モモは配信で言っているのでやめてやれ


名無しの牧場スタッフ

馬を拾うって、なんやねん


名無しの牧場スタッフ

買ってこいや


名無しの牧場スタッフ

モモが入札した時点で、青天井不可避だぞ?


名無しの牧場スタッフ

あ、そっかあ


名無しの牧場スタッフ

それどころか、オークションにモモが居るだけで入場制限かかりそう


名無しの牧場スタッフ

そうなったら、絶対に本人が来ないな


名無しの牧場スタッフ

実際、スペイン競馬ってどうなん?


名無しの牧場スタッフ

国際的な知名度では一歩劣る。

実力は未知数。


名無しの牧場スタッフ

競馬人気が他の国に比べて低い。

だが、マドリード大賞が2006年に復活して、今年でも開催されているくらいか


名無しの牧場スタッフ

要するに、良く分からんという事か


名無しの牧場スタッフ

馬産自体は行われているし、ジョッキーも調教師もレベルが低いわけじゃない。


名無しの牧場スタッフ

ここにモモを一つまみ


名無しの牧場スタッフ

ヤメロー!


名無しの牧場スタッフ

何するか分からん男が投下されたな


名無しの牧場スタッフ

アイツが関係した馬はな

大体、世界を荒らすんや


名無しの牧場スタッフ

BCを忘れるな(米)


名無しの牧場スタッフ

こっちも手ひどくやられたよ(ドバイ・サウジ)


名無しの牧場スタッフ

アハハハー(凱旋門)


名無しの牧場スタッフ

怖いなあ……(英)


名無しの牧場スタッフ

なあ、スペインオークションって、誰かマークしてる?


名無しの牧場スタッフ

してない


名無しの牧場スタッフ

今すぐ手配するわ


名無しの牧場スタッフ

埋もれた核弾頭みたいだな


名無しの牧場スタッフ

ヤツはそういう存在さ



2018年9月


リーガエスパニョーラ、第二節。


腹を括った監督は、『この試合のどこかで、日本の核弾頭モモを投入します。恨まないでください』とコメントした。

相手はマジョルカ。中堅のチームである。

マジョルカのオーナーも、選手もサポーターも、腹を括った。

腹を括ったうえで、みんなで赤いサイリウムを買いに行った。


前半は2-0のバロサ優勢で折り返した。

バロサの猛攻を敢然と叩き返し、それでも力負けしたマジョルカに、サポーターはブーイングするどころかエールを送った。

5-0でもおかしくない内容なのだ。健闘を称えるべきだ。


そうして、ヤツが来る。


『後半5分! 交代で待ち構えるは、88! ついに来るぞ! ヤツだ!』

その日、バロサのホームスタジアムは、真っ赤に染まった。

バロサのファンも、マジョルカのファンも、監督やオーナーですら、真っ赤に染まった棒を振り回していたからだ。

精神的なプレッシャーを与えることが、もしかしたらマジョルカ側としては狙いの一つだったのかもしれない。

だが、仁王立ちをして、不敵に笑みを浮かべるモモを見て。

その算段はまるで意味のない事を悟るのだ。


『よう、モモ。緊張は……ま、その顔だ。無いんだろ?』

『メイン、ワシは、今絶好調だ。何でもできるぞ』

『じゃあ、空飛べるか?』

『飛べる』

『ぜひ止めてくれ。監督からの指示は?』

『一点取ってこいと』

『よし、派手に決めるか。ネイマーレと連動してくれ』

『了解』

『……なんだありゃ? 喋りまくるモモも怖いが、口数が少なくなると、圧が半端ねえな』


後半9分。

モモが、空を舞った。

メインのはたきを受けたネイマーレは、ご祝儀とばかりに高めのクロスをモモに送った。

それを、まるで“何処かの漫画を踏襲するように”ダイレクトで、天高く振り上げた右足が捉えた。

弾丸にも等しい威力に、熟練の狙撃手の精度で以って、過たずワンバウンドしたシュートはゴールの左角に突き刺さった。

誰もが言葉を失った。

無言の間は、大歓声で切り裂かれた。

誰もが叫んだ。そこに敵味方は無い。

メインとネイマーレがモモを称えるよりも早く、マジョルカのキャプテンであるディフェンスを率いていた大男がモモに抱き着いた。

『何だよそれ! 本当に何だよそれ!』

続いて、本当にあきれるようにキーパーがモモの背を、バシンと叩き、

『無理だ。誰でも。素晴らしいゴラッソだ』

そうしてようやく、メインがモモの肩に軽くパンチを繰り出した。

その光景を、誰も咎めなかった。

目の前で、あまりに凄すぎるシュートを見てしまったのだ。

サッカーに人生を賭けているのだ。

その彼らが、モモのプレイに感動して痺れてしまうのも、無理のない事であった。


結果的に、4-0のスコアに推移した時点で、モモは後半38分でピッチを去った。

セーフティリードの内に、次の手を打たねばならないのだ。

交代選手は、レジョアネ、レタール。

次期スペイン代表の最有力候補の彼らは、万雷の拍手で向かってくるモモと、メインと交代する。

実は、ここからが本当の闘いでもある。

残り時間はアディショナルを含めても約10分はある。

失点すれば、大バッシングは避けられないだろう。

だが、チームを有効に回すことができれば。

選手として、“後継”に相応しいと認められれば。

彼らにとっての天王山は、ここから始まる。


その試合は、最終的に4-0のまま終わった。

エンターテイメントを求めるスポーツ紙は、モモの交代を批判した。

だが、バロサの機関誌は、むしろレジョアネとレタールが十分にトップチームで戦えることを証明したと絶賛した。

不動の11枚システムは、開錠した。



――僕らにとって、2018シーズンは、激動の中にあった。

チーム内の競争の激化、ある意味硬直していた体制の崩壊。

僕も含めて、チームメンバーはみんな不安定で手探りな状況に追い込まれた。おそらく、監督やオーナーは僕ら以上の混沌に放り込まれたのだと思う。

でも、僕は、僕らは本当に楽しかった。結果的にこの地獄のような楽園は、2020シーズンで終わってしまったけども、サッカーを始めたころのような新鮮な楽しみに溢れていたんだ。丁度M&Dの撮影もあったし、最もチーム内の交流が濃密だったのもこのシーズンだ。

他国の有力選手がすっごく強くなったのは、その時期だけどね(笑)

文句は僕じゃなく、モモに言ってくれ。

――そうだな、うん。

キャプテンとしての本音は、『勘弁してくれ』だね。ギザースと何回暴走するんだ、お前って。審判に『頼むから、教育を頼むよ』って言われて、『じゃあ、お前がやれよ!』って内心では思ったよ。

でも……一プレーヤーというか、個人的なトコロでは、『次、何をするんだ?』『どうやってここから得点するんだ?』って、みんなが思うように、期待するんだ。

で、あの通りさ(笑)

アシストで随分稼がせてもらったけど、かなり僕の意図とは離れているゴールを荒稼ぎするのは、彼のお家芸というか、何というか。


―――名選手の回顧『2018-2020』バロサキャプテン:メイン



2018年 10月


コンスタントに途中出場できる程度には、チームからの信頼を得た時期である。

いや、嘘を付いた。

コンスタントに途中出場させなければ、他のチームからクレームが付くくらいの知名度を得た時期である。

ワシが途中出場となれば、アウェイゲームでもチケットの売り上げが違うらしい。

一度だけ、予告出場を反故にした時、マジモンの発煙筒が焚かれた。

交換カードの計算をミスった監督が、『じゃあ、そろそろモモを出すか』となった時に、『無いです』となったらしい。顔面蒼白になっとったな。


それはそれとして。

馬が来た。


事情を聴くと、近場の(と言っても、十キロ以上離れている)牧場から脱走した若馬であるらしく、持ち主のオジサンは散々ワシに謝罪していたが、このタフネスと精神性はもう、ここで走らせるしかあるまい。

その本馬は、我関せずとばかりにワシの牧場の草をモッシャモシャと食っているのだから、大物である。

ワシはすぐにこいつを買うと言った。

オジサンは驚き、でもこいつは走りませんよ、と言う。

心配するな。走らない馬を走らせる専門家じゃぞ?

誰も売り手がいないし、気性難でもある。

10ヨーロで即決である。

スペインで初の馬である。名づけはどうするか……。

そうじゃ、こういう時こそ、配信じゃな。



【馬が来た】@イエモ・モモ

『そういうわけでな、脱走したこいつを買ったんじゃ。値段は言わんぞ? 売る気が無いからな。まあ、走らんでも時折ワシが乗馬用で持ってやるわい』


『で、だな。名前を付けんといかんのじゃが、ワシには思いつかん』

『もうお察しじゃな? 名づけ配信じゃ』

『フェリペ? それはマズいじゃろ』

『バロサスター? 悪くはないが、そもそもワシの個人所有の馬じゃからなあ』

『ハセクラ? ほうほう』


『決まった! こいつの名前はハセクラじゃ!』

『おーい! お前の名前が決まったぞ! ハセクラじゃ!』



数年後


【支倉】モモ牧場総合 102スレ【使節団】

テンプレ以下略


ほら、言ったじゃん


名無しの使節団

『来た! 来た! 欧州使節団代表! また“ゴアイサツ”とばかりに冠を攫っていくのか! もはや使節団ではない! 日本のハセクラ!』

※凱旋門賞の現地アナウンサーはハセクラと言う名前と鞍上モモで、日本の馬だと勘違いしています。


名無しの使節団

スペインの馬なんだよなあ


名無しの使節団

『ダテの家臣のオウシュウ筆頭! 欧州を撫斬り! 奥州出身の、欧州王者!』

※KGVI & QESの日本人アナウンサー実況


名無しの使節団

上手い事言ってんじゃねーよ


名無しの使節団

口に出したい日本語


名無しの使節団

鞍上がヘルメットに金字のナイキマーク付けてるからね


名無しの使節団

明らかに狙ってるよな。

シャツも無地の白だし


名無しの使節団

ニュースで見たとき味噌汁噴出したわww


名無しの使節団

『本日行われた世界の競馬賞、凱旋門。そこで、※日本馬が快挙を見せました』

※日本馬じゃない


『――ハセクラと、伊右衛門百々※ジョッキー。黒のヘルメットに金色の三日月、白いシャツ。まるで伊達政宗と支倉常長のペアのようですね』

※本業はジョッキーではない


『ここまで、欧州G1を席巻するかのような大活躍。果たして、年末の※有馬、※ジャパンカップでその雄姿を見ることができるでしょうか』

※出走しません

※出走しません


名無しの使節団

誰もが誤解してた。ハセクラが日本馬だと


名無しの使節団

イギリス『日本馬だろ』

フランス『日本馬だろ』

ドイツ『日本馬だろ』

中東『日本馬だろ』

日本『日本馬だろ』


スペイン『日本馬だってみんな言ってるよ』

ハセクラ『俺って日本馬なんでしょ?』


名無しの使節団

ハセクラ君、君はみんなが何と言おうとスペイン馬なんだ


名無しの使節団

猛騎手も恵比寿騎手も日本馬だと思ってたのは草


名無しの使節団

天皇賞後の猛『ありがとうございます。でも、これからの古馬秋二冠は苦戦するでしょう。もしかしたら、あのオウシュウ筆頭が殴り込みをかけて来るかもしれませんからね』


名無しの使節団

そして全員肩透かし


名無しの使節団

JRA『こりゃ、準備せな!(ワクワク)』

馬主『モモの馬か……!(ワクワク)』

ファン『どえらい決戦になるぞ(ワクワク)』

猛騎手『万全の体制で迎え撃ってやる!(ワクワク)』


JC・有馬

出 走 登 録 な し


名無しの使節団

そんでもってお出しされる猛騎手の謝罪動画


名無しの使節団

と言う名の、愚痴会見


名無しの使節団

『この度は、私の発言により皆様を混乱させてしまい、大変申し訳ございませんでした』

からの

『ですが、発言したのは私でしたが。皆さんも内心ではそう思ってたんじゃないですか? 誰もその点を指摘しませんでした』半ギレ


名無しの使節団

『僕だって、そりゃあね? ハセクラとモモと闘いたいですよ。鞍上の都合が付かないのなら、ほら、田口君だって、伊家添君だっているじゃないか。ハセクラだけでもこっちで走ってくれないかなあ……でも、それだと、万全とは言えないか。何とも歯がゆいな』

ここから延々と続く……


名無しの使節団

この内容で誰も批判しないのだから、お察し


名無しの使節団

この名馬を鞍上の都合だけでG1出走回避はかわいそう


名無しの使節団

お?


名無しの使節団

新参者かお客様か


名無しの使節団

ちょっと君が鞍上を用意してみてくれないか?


名無しの使節団

13マイル脱走事件を知らないのか


名無しの使節団

※レース直前、誤って別の騎手がハセクラに乗ってしまった結果、競馬場から約13マイル逃走した事件。割と有名。

なお、ハセクラと、彼が元々鞍上を任されていた馬はレース除外となった。


名無しの使節団

これを知らんという事はモグリかアンチか


名無しの使節団

この事件の顛末も面白いよな


名無しの使節団

後日、問題を起こした鞍上がモモの提案で一緒に馬主と競馬関係者の所に謝罪行脚に言って、事を収めたってオチな。


名無しの使節団

あれって、何でモモが一緒に行ったんだ?


名無しの使節団

それくらいで脱走するような調教をした自分が一番悪い、との事だ


名無しの使節団

モモチャンネルのアーカイブに行ってきなさい

>【謝罪行脚】

で一部始終が分かるぞ


名無しの使節団

叱責する気満々だった馬主がモモを見て困惑

それはそう


名無しの使節団

客観的に見て一番の被害者が謝罪に来る不具合


名無しの使節団

そしてなぜか始まる説得パート


名無しの使節団

『オーナー殿、ウィリアムをレッドカズイの鞍上のままで居させてはくれんか』

『レッドカズイは、脱走後でもしきりにウィリアムを気にしていました。深い信頼のある証です』

『それに、レースもチェックしました。粗削りではあるが、こいつには才能がある。ここで終わらせるには、あまりに惜しい』

『ワシの顔にどれだけの価値があるかは分からん。だが、この通り。頼めんか』


名無しの使節団

『分かった。だが、条件がある。この若造に、時間があれば競馬を教えてやってくれ。二度とこんなミスを犯さないように、な』


名無しの使節団

はい、モモカードゲット


名無しの使節団

意外としたたかだな? このオーナー


名無しの使節団

ウィリアム君、今どこだっけ?


名無しの使節団

欧州で鞍上行脚や


名無しの使節団

レースをチェックした赤ペン先生の添削付きでな


名無しの使節団

話逸れスギ

実際、ハセクラって強いん?


名無しの使節団

2400-4000の芝で最強奴


名無しの使節団

アメリカ「助かった」


名無しの使節団

そうだね


名無しの使節団

ドバイと香港も無傷だな


名無しの使節団

日本には来ないのでセーフ


名無しの使節団

なお、英仏


名無しの使節団

モモが馬主というか


名無しの使節団

そもそも“何故か”モモが乗ってるんだよなあ


名無しの使節団

スペインの特例規定で免許発行されるのは草

※現実では、もちろんそんなものはありません。

騎手学校でライセンスを取ることになります


名無しの使節団

“外国での乗馬実績を鑑みる”ってやつな。

園田でエリン・エーチャン・VAVAに乗ってるからな、ヤツは


名無しの使節団

賞金規定も満たしているバグ加減


名無しの使節団

天上杯って、賞金いくらだっけ?


名無しの使節団

一勝1億円


名無しの使節団

ああ、120(万ヨーロ)に届くのか


名無しの使節団

今でもレート換算論争が収まらないのは草


名無しの使節団

1ヨーロ=241円以上の時代があるからな


名無しの使節団

英仏独で散々暴れまわった後なのでノーカンでは?


名無しの使節団

鞍上モモは、もはや出禁レベルのチートなんよ


名無しの使節団

支倉君も、随分な気性難の様で


名無しの使節団

まーた、走らない馬を走らせてる……


名無しの使節団

YKRがハセクラ君の凱旋門不出走でめっちゃキレてたの草

※コント君の凱旋門賞は、残念ながらモモの試合日程とモロ被りであった。


名無しの使節団

本業優先なので……


名無しの使節団

モモ以外だと、手綱すら取れない激やば気性難


名無しの使節団

マドリード大賞典三連覇の馬

何で、英仏独の名馬が集まってくるん?


名無しの使節団

そりゃ、勝ちたいだろ?


名無しの使節団

一勝目『オウ……!』(なんでレアロの現役選手が乗ってるん?)

二勝目『オオ!』(この辺りでスペイン競馬にスポット)

三連覇『ウオオオオ!』(欧州最強決定戦)


名無しの使節団

そして歯噛みする日本の方々


名無しの使節団

アメリカの方々も歯噛みしてるぞ


名無しの使節団

挑んだだけ、満足できるからね


名無しの使節団

ダート&軽芝適性は全くないので、そっちには行かんのですよ


名無しの使節団

英長距離は、庭


名無しの使節団

オーストラリアがマジ嘆くのが草


名無しの使節団

高賞金の遠距離レースを持ってるからなあ……

※メルボルンカップ。芝3200メートル。約六億円賞金の、“国家すら止める”レースである。


名無しの使節団

そこまで行けんのですよ


名無しの使節団

ハセクラSステークス新設って、マジ?


名無しの使節団

マジ。

なんなら、2400、3200、3600のハセクラ・クラシック構想もあるぞ


名無しの使節団

マジ草

本馬以外走り切れんやろ


名無しの使節団

本馬もモモ抜きだと、そもそも走れんやろ


名無しの使節団

2000-2400-3000の日本クラシックはまだマシだった?


名無しの使節団

んな訳ねーだろ

2000-2400は妥当だが、3000が最後の時点で十分おかしいからな?


名無しの使節団

スペインでも競馬ブームが起こったか


名無しの使節団

アイツを輸出すると、大体何かする。


名無しの使節団

そのうち禁輸されそう


名無しの使節団

そしたら、日本で囲い込もうや


名無しの使節団

囲い込む……?


名無しの使節団

伊右衛門牧場でそれが成功した試しがない


名無しの使節団

やめやめ。

ハセクラ君は種牡馬入りか?


名無しの使節団

ハセクラ君は、モモと戯れとるぞ


名無しの使節団

時折公式チャンネルでヒンヒン言っとるな


名無しの使節団

気が付くと馬が増える不思議な牧場


名無しの使節団

馬は拾った


名無しの使節団

マジで拾った馬が欧州王者よ


名無しの使節団

実際、ハセクラ君って種牡馬として価値あるん?


名無しの使節団

無いです

>ハセクラの血統表ブラッドブック


名無しの使節団

ファッ!


名無しの使節団

情報量、ほぼゼロやん


名無しの使節団

訳わからん馬を、訳わからん鞍上で、訳わからん結果を出しただけやん


名無しの使節団

今って、モモ牧場何頭預かりだっけ?


名無しの使節団

二歳で1

一歳で1


後はハセクラのみ


名無しの使節団

ハセクラを日本の伊右衛門牧場に送れよ!


名無しの使節団

過去動画で江風先生すら拒否したのを知らんのか


名無しの使節団

送っても面倒を見れる人間が居らんのですよ


名無しの使節団

何でモモはそんな気性難を見れるん?


名無しの使節団

そりゃ


名無しの使節団

本人が一番の気性難だからだろ


名無しの使節団

一理どころか

万理ある



後年、ウィリアム・アースレイジは、一つの後悔を持つことになる。



ボクは、最もスペインで成功したジョッキーの一人、という名声を得るに至った。

『馬の声を聴く男』

『13マイルで、競馬の全てを悟った男』

確かに、“アノ事件”以降で、ボクを取り巻く環境は劇的に変わった。

短期ビザで、単なる若造が牧場に売り込みに行っても普通は門前払いである。

だが、皆快く迎え入れてくれた。気味が悪いほどに。

流石に違和感が拭えずに、聞くべきではないとは思いながらも聞いてしまった。


「どうして、ボクにそんなに良くしてくれるんですか?」と。

イギリスの調教師は、『俺が知る限り、最強のジョッキーに才能を認められている』と言った。

フランスの馬主は、『彼が惜しむくらい才能だ。試してみたくなるじゃないか』と言った。

ダートも試してみたくてアメリカに渡った時も、『坊主のお手馬で脱走劇なんて、大した奴だ! まずは肉とビールだ!』と言われた。


ボクと同年代の、ボクよりも凄い師匠。


緊張のあまり、ハセクラの背に間違って乗ってしまったから、僕の競馬人生は始まったと言える。

だけど、同時に思う。


もし、あの時レッドカズイに乗っていたら。

僕の原点ともいえる彼と、ハセクラの勝負を、特等席で共に戦いながら見ることができたなら。


今の栄光の道か。

最強に挑めるたった一瞬の至福か。


すでに、過ぎ去ってしまった過去を振り返る時、

僕はその一点を何時までも見続けるのだ。


――『馬と、僕と、旅路(英名:僕の道はいつだって馬と)』

著:ウィリアム・アースレイジ より抜粋


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