表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双子の惑星 アース  作者: Arthur Gillus
第一章 アド・アストラ
1/1

Episod 1 遊星からの物体X


 プロットが思い浮かんだので新シリーズを連載しようと思いました。

 宇宙を舞台にした能力バトル・スペースオペラです。


Scene1


 2016年9月13日 日本 長野県のとある街


 今から二日前、この街に隕石が降ったのは記憶に新しい。いまだにニュースではその話題で持ちきりだ。

 隕石が降るのだけでも珍しいのだが、肝心なその隕石がまだ発見されてないらしく、隕石のものと思われるクレーターのみが発見された。噂では宇宙人の宇宙船ではないかなんて言われてるが、そんな訳はないと俺は思う。今、政府が自衛隊を使って捜査中とのこと。


 そんなニュースを見た朝。俺、明日太(あすた)・ガールシアはトーストを咥えながら高校への道を歩いていた。

 そこへ、一人の高校生が近づいて来た。


「よぉ、明日太(あすた)。今日も冴えねぇ顔してんな、洗顔してるか?洗顔をよぉ。朝一番に冷水で顔を洗うとお目目ぱっちりだぜ」


 彼の名前は花咲小太郎(はなさきこたろう)。学年一のモテ男だ。容姿端麗、運動神経抜群、成績優秀、友好関係広しと何をとっても完璧な、文字通りの完璧超人だ。

 アメリカから転校してきた俺に真っ先に友達になってくれて、こうして毎朝迎えにきてくれるほどのお人好しだ。


「朝から余計なお世話だ」


「おっ、だいぶ日本語上手くなったなぁ。初対面の頃ぁ英語だけしか喋れなかった何よぉ〜」


「勘違いされるような嘘をつくな。嘘を。俺は日本人とアメリカ人のハーフ。バイリンガルで、もとより日本語ペラペラだ」


 コイツの欠点を一つ挙げると、イジリがこれしかない。当然返しもこれだけだから。大して面白くない。


「わぁーったってゴメンゴメン。それよりよぉ、今朝のニュース見たよなぁ。今日から自衛隊が例の隕石を探すってよ。やっぱり宇宙船じゃあないのかって思うぜ」


「陰謀論の見過ぎだ。ただの周辺の復興のためだろ。隕石の落ちた山の付近は大惨事だ。俺たちのクラスでも二、三人入院してる」


「それならよぉ、肝心の自衛隊はどこに居るんだ?SNSでも目撃情報がないぜ」


 自衛隊の目撃情報がない?じゃあ、政府は一体何を派遣したんだ。俺も自分の携帯でニュースを改めて確認する。やはり今日の朝から捜索開始と書いてある。


「まぁ、どうでもいいだろう。俺には関係のないことだ。元よりこの街の人間じゃない、時期が過ぎればまた次の転勤先へ行くだけだ。隕石が見たかったって何にもならない」


「薄情がよぉ、まぁっそれもそうだがな」


 とっとと高校へ行こう。ゆっくりすると遅刻もありゆる。俺たちは駆け足ぎみに学校へ向かった。



 Scene2



 高校の授業も全て終わり、俺は一人帰路についていた。小太郎はサッカー部の練習で学校にまだ残ってるらしい。


「結局、自衛隊は来たわけか」


 到着が遅れただけで自衛隊は昼頃には作業を開始した。だが、放課後の時間までに隕石は見つかったとのニュースはない。


 夏至も過ぎて、だんだんと日の落ちる速度が上がってきた気がする。夏の暑さはいまだに健在してるが、人々と同様に太陽もバテるのが早い。


「でも、たかだか隕石に自衛隊を使うのか」


 写真や映像を見ると一部、武装している隊員も見えた。まるで誰かと闘うのではないかと邪推できる。まぁ、本当に邪推なんだろうな。


「気にするだけ無駄か」


 俺の人生には関係のないこと。

 家に帰ると今週の分の手紙を書く。俺は生まれた時から親がいない孤児だった。分かることは俺がハーフであることだけ、日本語と英語はなぜが生まれつき両方使いこなせた。


 赤ん坊だった俺は教会で引き取られて育てられた。今の親に引き取られてからは、他の孤児たちに毎週手紙を送っている。国際便で送るのが、多少金が掛かるが、神父や孤児たちには本物の家族のような情を抱いている。だから気にはしない。


 手紙を書いていると携帯が鳴った。相手は小太郎、この時間ならまだ練習中のはずだが、おおかた珍しく早めに終わったから、飯の誘いというところか。


「もしもし。何の用だ?」


『明日太かッ!今すぐ学校に戻ってきてくれ!詳しくは言えないがっ、超特急で頼む』


 それだけ言うと電話が切れた。


「おいッ!」


 一体何なんだ。だが、ひとまず学校に行くしかあるまい。

 あの小太郎の声、どこか切羽詰まった感じと、どこか俺を誘うような感じが入り混じっていたな。何かが妙だ。出かける前に、念の為にあるところにも電話を掛けた。



 Scene3

 


 遡ること一時間前

 

 学校の校門の前にマントとフードで姿を隠した大男が現れた。

 その前に教員たちが立ち塞がり、男の侵入を拒もうとしている。


「不審者さん、悪いがここは学校だ。保護者でも関係者でもないアンタがこの門をくぐること不法侵入って言うんだ。通報されたくなかったら、一歩下がりな」


「この人物を探していています。知りませんか」


 男は一枚の写真を教員たちに見せる。そこには生徒の写真が。


「おっと、おたく日本人じゃあないのか?それとも言葉が通じないのか?大事なことだからもう一度言うぞ、ここはアンタの入っていいところじゃないって言ったんだよ」


「『この星』は面倒臭いですね、『惑星単位』で言語が統一されていなないなんて。この国の言語を喋っているはずなのですが、もう一度言いますね。この人物を探しています。知りませんか?」


「だから、ささっと下がれって言ってんっ「未開拓文明はこれだから」」

「きゃあああああああああああ」


 男は教員の言葉を遮るように首をへし折った。教員はその場に倒れ伏して、後ろにいた女性教員が大きな悲鳴をあげた。その声に反応して一部の生徒が校門前に集まってきた。


「この人物を探しています。彼では話にならないのですが、どなたか知りませんか」


 人を一人殺しても平坦な言葉を続ける。その問いに対して誰もが口を閉じる。その人物がここの生徒であると全員が知っていたからだ。


「知らないようですね。では、皆さんには一人残らず死んでもらいます」


 これは異常と判断したか、一人の教員が自らの携帯で警察に連絡しようとするが、その行為が男の目にとまった。真っ先に狙われて首を掴まれてしまった。


「はなっ」


 ポキっと教員の首がへし折れた。

 その場に集まっていた生徒や教員はこれから三分後に全員がこの世を去った。


 男はそのまま校庭に向かうそこではサッカー部が練習をしていた。

 そこへ近づき、真っ先に顧問に尋ねた。


「何だぁ!オメェ」


 首をへし折った。

 その光景を見た生徒は驚きをあげる。その中で一人の生徒が臆することなく近づいていく。


「おいッ!小太郎逃げろ」


「落ち着け。アンタもただの猟奇殺人鬼ってわけじゃないんだろ。話せば分かるっだろ」


「話がわかるようですね。この人物を探しています。知りませんか」


「ッ!?明日太」


 小太郎は友人の写真を見て思わず名前を言ってしまった。その行為が失敗だと男の雰囲気ですぐにわかる。


「知っているようですね。彼はここにいますか」


「いや、ここにはいねぇ」


「では、どこにいますか」


「しらねぇな」


 流石に友人の家は売れない。しかし、それは付け焼き刃の嘘だとすぐにバレてしまう。


「いえ、あなたは嘘をついています。私の目は心拍数を測ることで、嘘をついているかがわかります。正直に言えば殺しません」


 男はそう言って、フードとマントを外した。ボサボサと不衛生な汚いロン毛の髪が肩に掛かるように伸びている。そのホームレスのような姿も驚いたが、最もヤバいのは、その胴体。そこには大きな機械がついている。それはライオンシュレッダー、車すらも破壊する大型の粉砕機だ。


「これで死にたくはないでしょう。ああ、言語が馴染んできたなぁ。ようやくスムーズだ。最初に来た時は言語に慣れるまで時間が掛かった。やはり言語が統一されていない惑星は未開拓だな」


「アンタ、宇宙人か。例の隕石で来た」


 ここで気付いた。この男こそ、宇宙からの来客なのだと、宇宙人の存在を確認すると同時に未知の恐怖が脳を支配する。


「あれは俺の宇宙船だ。今は原人どもには見つからないように隠している。こんなことはどうでもいいだろう?我が主人がこいつを探している。どこにいる」


 言わなければ、殺されるでも。


「ダチは売れねぇな」


「そうか、死ね」


 機会が作動した。その直後に辺りに血と臓物、肉が飛び散った。その光景を見ていた誰もが発狂悲鳴をあげた。

 その後に周りの学生を機械で皆殺した男は、ロッカールームにて小太郎の持ち物である携帯を見つけ出した。それがこの星の連絡道具であることは見れば分かる。それを使ってターゲットに連絡をした。


『もしもし、何の用だ?』


「明日太かッ!今すぐ学校に戻ってきてくれ!詳しくは言えないがっ、超特急で頼む」


 声帯模写をすれば自然にターゲットを呼び出せる。



 Scene4



 現在


 俺は急いで学校へ向かう。それも自衛隊を引き連れて。


「なんだこれは」


 校門に着くと、そこには多くの死体が無造作に散らかっていた。一人一人が首の骨を折られ、殺されている。生存者はいるのか。小太郎は。


「君、これはどう言うことか説明してもらおうか」


「俺が聞きたい。だが、答えはすぐに分かりそうだ」


 校庭の方から、血まみれの男が向かってきた。いや、男っていう生物区分にするには歪すぎる。まるで機械仕掛けのエイリアンだ。


「待っていたぞ。『アース』。俺の主人は、お前が俺と一緒に来ることをお望みだ」


「俺のダチはどうした?」


「挽肉にした。それも、数分前から鳥が啄み始めたから、残ってはない」


 その血塗れの姿を見れば今の言葉が嘘ではないと分かる。コイツ明らかに危険だ。


「撃てッ!」


 隊長の言葉と共に自衛隊は銃を発砲した。しかし、奴には一切のダメージが入っていない。


「これだから、原人の武器はっ。石や鉛ぐらいで『機械人』を殺せると勘違いしている。これが文明だ」


 奴の右肩には大きな球体型のコアが埋まっている。それが光と起動すると両腕にあった電動ノコギリが作動する。そのまま、こちらに走って向かってくる。


 一人の隊員の首がラリアットの感覚で切り飛ばさされる。辺りに血の雨が降り、他の隊員も必死に交戦するが、力及ばす彼らは二分後に壊滅させられた。


「お前、何人殺す気だ」


「何人?これは人ではない、ただの未開拓の惑星の動物だ。知能は多少あっても文明が発達していない。これは匹と数えるのが正解だろう。人間は俺のような存在を指す」


「テメェは人間じゃあないただの悪魔だ」


 咄嗟に落ちていた自衛隊の銃を拾う。使い方なんて分からないが、自衛する為には武器が必要だ。

 銃口を向ける。


「俺の主人は最悪手足を千切ってでもお前を連れて来いと言った。俺も数日間、こんな未開拓惑星にいてストレスだった。多少手荒にいくぞ」


「掛かって来いや」


 腕の電動ノコギリが作動する。大ぶりな攻撃を転がって掻い潜る。そのまま、背中に銃を撃つ。当然頑強な背中に弾かれてしまう。


「哀れだな。文明人もこんな惑星で十数年生きると、知能が退化してしまう。さっきの光景を見て、そのおもちゃが俺には効かないことは分かっただろ」


「分かってる。でもお前の大袈裟な攻撃も俺には当たってない。バカはお前も一緒だ」


 奴の胴体はライオンシュレッダーのような形状をしていた。おそらく肩のコアのような機関から送られてくるエネルギーで動いている。アレを壊せれば、勝てるかもしれない。それは自衛隊もわかっていたはず。つまり銃の火力では破壊できない。それ以上が必要になる。


「愚かだ。殺さないために攻撃をしているということに気がつかないなんて」


 転がっている死体の中には帰宅前と思われる先生のがあった、おそらくその何処かには『車の鍵』がある。

 

「早く、連れ戻してやる」


 両足についていたターボエンジンが作動する。さっきよりも早い動きで攻撃を仕掛けて来てくる。それを大きく転がり避ける。そして目的の先生の遺体を漁る。心が痛いが、今はコイツを殺すことが優先だ。

 素早い動きの代償か、ブレーキがかけづらい様子。一度よければ、数十秒の猶予が与えられる。


「あったッ!」


 ポケットの中から車の鍵を発見する。次の攻撃を交わしながら、鍵のボタンを押す。すると、近くの車の鍵が解除された。


「お前はこれでお終いだ」


「まだ、この期に及んで、理解していない知能。つくづく文明人の恥だな」


 俺は急いでその車『プリウス』に駆け込む。免許は持っていないが、今回は運転じゃあない。ただ奴に突っ込むだけ。エンジンを掛けて、アクセルを踏み込む。真っ直ぐ、奴に特攻した。


「その程度の速度で俺を殺せると思うなッ!」


 胴体のライオンシュレッダーを起動する。そのままプリウスを飲み込もうとする。俺は即座に車から降りる。男はプリウスを粉砕する為にその場から動けない。


「粉砕中は動けないようだな。おかげで仕上げが楽になった」


 俺は再び銃口を奴に向ける。


「それは俺には効かんとまだ分からないのかッ!間抜けッ」


「俺が撃つのはオメェじゃあない。そのプリウスだ。至近距離の爆発にお前は耐えられるのか?」


「しまったッ!こいつ爆発するのかッ!非文明人のくっそタレ技術がッ!」


「間抜けはお前だ。これで詰み(チェックメイト)だ」


「やめろーーーーーォッ!このクソガキがァアアアアアッ!」


 俺はその悲鳴にも近い絶叫を無視して銃を乱射した。それに当たったプリウスは大きな爆発でやつを木っ端微塵に吹き飛ばした。



 Scene5



 奴は完全に絶命していた。全身の武器は辺りに飛び散り、その機能を失っていた。ただ肩に装着されていたコアだけは無傷で無事だった。


「頑丈だな」


 それを拾おうとししゃがんだ次の瞬間、背後に気配を感じた。咄嗟に振り返るとそこには背中に翼を生やした男が立っていた。


「ガハハハハッ!一人で倒すとは中々やるんだな、君」


「何もんだ、アンタ、こいつの仲間か」


「ガハハハ!ワシはしがない雇われ天狗。天山緋麿(あまやまひまろ)だ。隕石を探す為に政府に雇われて来たが、まさか宇宙人とは」


「そうか。一足遅かったな、おかげで大惨事だ」


「いや、この事件は大爆発ということで隠匿される。君もそのコアをワシに渡せば見逃すよ」


「そうかよ。俺はどうなる」


「渡してくれれば、後はお口チャックしてくれれば、すぐに元の生活に戻れるよ」


「分かった。後処理はあんたに任せる」


 俺はそのまま怪しい男にコアを渡して学校を去った。



 Scene6


 

 翌朝


 ニュースを見ると昨夜の出来事は二つ目の隕石の墜落で学校が丸ごと吹き飛んだことにされていた。部活動で残っていた生徒や残業をしていた先生たちは一二四人全員が亡くなったと報道された。


「学校はしばらく無しか」


 おかげで家に待機することに。手紙の続きを書いていると、インターホンが鳴らされた。

 それに応答して、ドアを開けるとそこには黒紫の装甲を纏った男が立っていた。


「アース・ガルドだな。俺と来てもらう」


 空を見ると超大型の宇宙船が浮かんでいた。


 Scene5を読んで驚いたかもですが、そうです!これは紅の赤スピンオフの作品です。と言っても舞台が宇宙だから、紅の赤要素はほとんどないですがね。1話だけのスペシャルゲストです。


 補足


 今回の敵の名前は『ガレオン』です。

 彼は主人と呼ばれる存在の部下の一人です。強さ的には紅の赤的に表すと英雄級中位です。天山でも容易に倒せましたが、無傷では済まなかったでしょう。明日太も相手の慢心がなかったら負けてました。


 彼の能力は、機械人と呼ばれる改造エイリアンです。『コア』から身体中の武装にエネルギーを送ることで機能します。両右腕にはチェーンソー、胴にはライオンシュレッダー、足にはターボーエンジン、脳内には人工知能が搭載されており、自動で現地の言語を翻訳してくれる機能や、相手の心拍数、体温を測り嘘の有無の判別、声帯模写などの機能もあります。全身を細胞型特殊合金で作られており、外側からの衝撃にかなり強いですが、内側からはとても弱いです。さらには背中には音速飛行用の翼があります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ