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異世界生活10日目:任務を受ける

異世界に来て10日間森で生活した後、ようやく王国に入ることが出来た。だが、住む場所がなく宿屋暮しになるため、金を稼がなくてはならない。

そのため、森で手に入れた魔物の素材を売りにギルドへ行ったが、量が多すぎて今すぐは無理と言われたため任務を受けることになった。初の任務を上手くこなせるか不安だが精一杯やるしかない



「カズヤってここら辺の人?」



「ここには最近来たんだ」

(異世界から来たとは口が裂けても言えない)



「じゃあ、任務終わったら色々案内してあげるよ」



「ありがとう!」

(これはありがたい!ナリア優しいな)



「そうだな。任務が終わったら俺たちが案内してやるよ」



「あぁ、歓迎会も含めてな」



このパーティーの人たち優しい。異世界に来て何も分からない状態だから色々と教えてくれるのはありがたい。それにしてもノリがいいな。今日来たばかりのやつのために歓迎会まで開こうとしてくれてる

気持ちだけでも十分嬉しいのに



「そんな歓迎会だなんて…」



「なんだ歓迎会嫌いか?」



「いや、そういうわけじゃないけど」



「ならやろうぜ!せっかく来てくれて、俺らみたいな底辺のパーティーの手伝いしてくれてるんだ」

(ロイスってガタイだけじゃなくて性格もゴツイ)



「別にいいけど、ロイスがパーティーしたいだけでしょ」



「そんなわけ無いだろ」

(明らかに動揺してる。図星じゃねぇか)



「ロイスはパーティーとかの盛り上がるものが好きなんだ。だから、事ある毎にパーティーしたがる」(俺の世界じゃパーティーなんてことほとんどしたことなかった)



「今回のパーティーは俺も賛成だ。ナリアもそう言ってる。カズヤ、お前はどうだ?お前さえ良ければやらないか?」

(せっかく誘ってくれてるんだし、断る訳にはいかないな)



「いいよ。やろう」



「よっしゃ!そうと決まればとっとと終わらせちまおう」



ロイスが先頭に立ってウキウキと歩いている。調子の良い奴だな。ケールとナリアもやれやれといった感じで呆れている。このパーティーは仲がとても良いんだな。こういう仲間がいることが正直羨ましい

俺にもこういう仲間できないかな。異世界でも1人ってことないよね



〜森〜



「ここはいつ来ても不気味だね」

(ここを慣れ親しんだ場所だと思ってるのは俺だけか)



「みんな気をつけろよ。いつ出てくるか分からないからな」カン



「痛っ。なんだよ」



「魔物10m前」

(カンちゃんの言う通り10m前に魔物がいる。肉眼では木々が邪魔で見えないが探知スキルのおかげだ)



「みんな。10m前に魔物がいる。気をつけて」



「え?ほんと?見えないけど」



「どこにいるんだ?」



「待って、後ろからも…横からも…囲まれてる」



これはまずい状況だな。前だけじゃなくて、後ろにも横にもいた。でも、不幸中の幸いなのは相手がまだ俺たちに気づいていないことだ。この隙に一匹ずつ片付けていければいいが。かなりピンチだと言うのにカンちゃんは呑気に寝ている。こいつ危機意識はないのか



「でも、その鳩寝てるよ」



「こいつはほっといて…勝手に付いてきてるだけだから」カン



「痛っ!起きてるじゃねぇか!」



「付いていきたくているんじゃない」

(あーあ、普通に喋っちゃったよ)



「「「え?」」」

(みんなカンちゃんのこと見てるんだけど……これマズイやつじゃない?)



「「「鳩が喋った!!!」」」

(今の大声で魔物がこっちに気づいた!!)



「みんな魔物がこっちに気づいた!注意して!」



俺がそう言うとみんなが困惑しながらも戦闘態勢に入る。こうなったのカンちゃんのせいだからな。

今はカンちゃんは置いておいて、どうやって片付けるか。探知できるだけでも10体はいる………

森にいて学んだことを生かすべきだ。魔法を使うと他の魔物にバレる。暗殺術なら気づかれることはない。だが、近づく必要がある。近づくまでに気づかれれば終わりだ

どうする?どうすればいいんだ。俺の小さい脳みそで答えが出るのか?



「来てる!」



「ヴゥゥォル!」



「体術強化!一斬(スラッシュ)!」



「カズヤの言う通りゴブリンがいる!まだいるぞ!気をつけろ!」



「お前暗殺術ある」



「知ってるよ!」



「なぜ使わない?」



「1人で殺るには数が多すぎる…」



「お前1人じゃないだろ。他の奴らを頼れ」



俺はハッとした。確かにカンちゃんの言う通りだ。前までは1人でやらないといけなかったけど今は頼れる人がいる。俺らはパーティーだ。みんなで協力しないと

みんなにゴブリンの注意を引いてもらって俺が後ろから暗殺術を使えばいける!



「みんな!ゴブリンの注意を引いて貰っていい?」



「あぁ、わかった!」



「ヴゥァァァ!」



「ケール危ない!」



「ロイス!」



「ナリア、回復頼む!」



ケールを庇ってロイスがダメージを受けてしてしまった。これはすぐに片付けた方がいいな。とりあえず、隠密スキルを使って気配を消して後ろから近づこう



グシャ(まず1匹。首が折れる音あんま好きじゃないんだよな)



グシャ(2匹目。あと8体)



グシャ グシャ グシャ(まとめて3匹)



グシャ(これでここら辺にいるのはいなくなった。あとはケールたちのところか)



俺が戻って来るとゴブリンたちと戦っている最中だった。ケールが剣で魔物を倒し、攻撃をロイスが盾で守る。後ろからナリアが魔法でみんなのサポートをする。これがパーティーか

と、見とれている場合では無い。俺も援護しなくては。木の影から空気銃(エアガン)でゴブリンの頭を撃ち抜く



「これで終わりだ!」



「全部倒した?」



「そいつで最後だよ」



「やったぁ!!」



「これくらい朝飯前だろ」



「とか言いながら、ダメージ受けて私が回復魔法かけてあげたの忘れたの?」



「ウッ…それは、ケールを守ったんだから仕方ないだろ!」



「2人ともそれくらいにして…早く素材を集めよう」



ケールが言うと2人ともゴブリンの死体を漁って、ゴブリンの肝やら臓器を取り出す。こんなのがなんの役に立つのだろうか。俺から見てみればただのゴミだ



「これって何の役に立つの?」



「これは色んな素材と調合させることで薬になるんだ」

(この世界、リサイクル技師でもいんのか)



「なるほど。あ、その素材俺が持つよ」



「いいの?」



「うん。じゃあここに入れて」



俺は空間に黒い穴を作り出す。この収納魔法すごい便利なんだよな。何でも入るし、無制限に入る。この穴の中はカンちゃん曰く異空間に繋がっているらしい。入ったら二度と出てこれないんだとか。カンちゃんの言ってることが嘘だとしても怖すぎるから俺は中を覗いたことはない



「これって…収納魔法!?!?」



「え?そうだけど。何か変?」



「変も何も収納魔法使える人なんて、まずいないよ!!」

(え?そうなの?俺、もしかしてすごい?)



「そうなんだ。初めて知った」



「ほんとに不思議!」(ナリアが中めっちゃ覗いてるんだけど。後ろから押されたら落ちるって)



「危ない!この穴の中は異空間だから、入ったら帰って来れないよ」



「そうなの?この中ってまだ、研究途中でなんなのかわかってないんじゃなかったけ?」



これ自分の首絞めたのでは?カンちゃんが言ったことをそのまま言っちゃったけど、まだ解明されてないじゃん。俺の正体バレそう。バレたら、どうなるか分からないからバレたくないんだけどな



「そうかなーって思っただけだよ」



「な〜んだ。そういう事か」



「みんな早くここを出よう。ゴブリンの臭いにつられて他にも魔物が寄ってくる」



「それもそうだな。早く行こうぜ」



「そうしましょうか」



ここはケールに助けられた。俺たちは森を抜け、王国に入った。森を抜けたこと頃には完全に日は落ちて夜に差し掛かっていた。そして、任務達成の報告をするためギルドへ戻ることになった。帰る途中カンちゃんについてすごい聞かれたけど、たまたまと言って何とか誤魔化した。俺が質問攻めにあってる時はカンちゃん知らん振りして、答えようとしなかった

面倒事ばっか俺に押し付けんじゃないよ



「おぉ。戻ったか。どうだった?」



「無事達成出来ましたよ!」



「そうかそうか!なら、良かった。カズヤもありがとうな」



「いえいえ、僕は自分のできることやっただけですから」



「素材はどこだ?」



「ここにあります」



俺が収納魔法から素材を取り出すと、ライオスさんは「収納魔法使えんのか。ますます気になるな」と言われてしまった。これは目をつけられたという認識で間違いないですよね。王国に来てそうそうに俺の正体がバレるかもしれない。気をつけないと



「あーそうだ。お前の素材の査定終わったぞ」



「ありがとうございます」



「全部で、10万アーツだ」(それって高いのか?この世界の貨幣の価値が分からない)



「「「10万アーツ!!!」」」



「めっちゃ稼いでる!」



「そんな高いの?」



「10万アーツあったら家買えるぞ!」



「あぁ。まさかとは思ったが、間違いはねぇ。俺が半日かかるの量だ。10万アーツでも納得いく」



「カズヤってほんとに何者?」



ナリアが疑惑の眼差しを向けてきてる。ライオスさんも不思議がってる

ますますマズイ方向に流れが傾いてる!これはほんとにバレる。カンちゃんどうにかしてくんないかなと思ってカンちゃんを見てみるとちゃんと寝てる。だよな、王国入ってから静かだなって思ってたもん



「一旦それは置いておいて、カズヤに王国を案内しよう」



「あと歓迎会もな」



「そうか。でも、もう日が落ちてるし案内は明日でいいんじゃねぇか?」



「それじゃあパーティーできないですよ」



「ここでやればいい」



「いいんですか?」



「この時間はもう人は来ない。自由に使ってくれ」



ギルドには俺たちと受付のお姉さんとライオスさんしかいない。パーティーをやるにはもってこいの場所だ。任務を終えた後だと達成感あるな。仕事終わりに乾杯するみたいだ



「せっかくだしライオスさんとエレーナさんも参加してくださいよ」



「人数多い方がいいしな」



「なら、参加させてもらうとしようか」



「私も。疲れた時には盛り上がるのが1番でしょ!」

(こんな大人数でパーティーやるのは初めてだ。ワクワクするな)



「そうと決まれば、酒と食料だな」



「食料は俺に任せて」

(ロイスが買いに行くとめちゃくちゃな量買ってきそうだけど)



「私も行くわ。ロイスだけだとどうなるか分からないからね」



「俺も付いてくよ」



「酒は俺に任せてくれ」

(ライオスさんは日頃から酒飲んでそうだもんな。

ん?俺酒飲まされるんじゃないか?20歳なってないけど?)



「俺まだ16ですよ?」



「16なら大丈夫だ。ここは16から飲酒いけるからな」



こんなところで酒デビューするとは。20歳まで飲めないと思ってたけど、まさかなこともあるんだな。でも、酒いけるか?俺の父さんめちゃくちゃ酒弱いし、父さんの遺伝子を強く受け継いでる俺が強いはずがない

話し合いの結果、ケール達は食料係、ライオスさんは酒係、エレーナさんはケール達が買ってきた食料を料理するための調理器具の準備をする

俺は何もしないニートになった。なんかすることがあるならしたいけど、ロイスから「これはお前の歓迎会なんだからお前は何もするな」と言われたのですることが無くなった



「異世界でニート」



「うるせぇ」



「なんで起きてんだよ」



「我寝てない。話聞いてた」



「嘘つけ」



「お前のクラスメートお前より大変」



「どういうこと?」



「城行けばわかる。それか、今日の夜」



カンちゃんは何を言ってるんだ?クラスメートが大変な目にあってることだよな。そう考えるとこんなパーティーをやっていていいのかと思ってしまう。詳しく聞こうとしたが、カンちゃんはもう寝ていた。やっぱ寝てないなんて嘘じゃねぇか

俺は胸騒ぎを抑えながらみんなの帰りをギルドで1人待っていた

書くことない

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