表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

パラサイト

作者: ひょっとこ

僕が まだ 「僕」 だったとき

保育園に行きたくないと泣きわめき

家に帰りたい と教室から飛び出した。



成長し 毎朝ランドセルを背に

コンクリートの要塞の中に

塵のように  吸い込まれはじめてから

「誰かと居ればいじめられない」と学び

金魚の糞 のように つきまとっては

頑なに 一時も 離れなかった。



時が 経ち 学生生活を 終え

授業と授業の狭間の安らぎと緊張や

退屈を埋め尽くす同級生との会話も

なかったかのように消えて

誰か という杖を失った怪我人のようになった。



いつしか社会に出て

昭和の時代なら結婚し 子育てでもしている歳に

(一方的な)友達も 我も職も失い

まとわりつける相手は 何でもよくなって

携帯電話やパソコンの向こうの誰かになった。



そして 介護保険を 支払う義務になり

つきまとっていた この 金魚の糞は

肛門から切り離されて 沈んだ底から

見上げたゆがむ水面の向こうで

みんなが家族と食卓を囲み

談笑しながら旅の計画を立てたり

子供たちの夢を聞いているような姿をみていた。



保育園に行きたくない と泣いた「僕」

家に帰りたいと教室から飛び出した 「僕」



さあここから僕の時間がはじまるのだ と思った時

「僕」は 人生の 折り返し地点に 立っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ