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プロローグ
目が覚めると、大の大人が寄ってかかって僕を見る。いつもは眩しいはずの天井は、蛍光灯は、彼らによって隠れ、僕は暗闇の森の中にいる気がした。あとはリハビリだけだね、と小森先生が僕に声をかけた。僕の両親は涙目になりながら、先生に感謝をしている。僕は助かったのだと気づかされた。大人たちの大袈裟なリアクションについていけないまま、いつの間にか隣のベットを見ていた。もう会うことのできない天野渚のベットを…
次の日から、看護師の上原さんとのリハビリが始まった。上原さんは僕なんかに優しく接してくれた。天野渚が亡くなってから、生きる気力もわかなかった。死んだら会うことができるんじゃないか、そう考えたこともあったが、あの世には天国と地獄があると思うと確実に会える保障がない。たぶん彼女は天国にいる。僕が死ぬと命を粗末にしたとみなされて、地獄行きだ。だから、どうせ会えない。そもそも自殺する勇気がない。僕は結局、リハビリのノルマを達成していた。それから数日後、僕は小森総合病院を退院した。その日は大雨が降っていた。




