交際
〜闘病日記〜
(2020年4月1日、私は脳の病気にかかってしまったみたい。お医者さんのお話だと余命2年だって。どうして私なのかな。神様は意地悪だ。死にたくない。死にたくないよ。嫌だよ。助けて)
彼女の音した本にはそう書いてあった。俺が息をするのを忘れて読んでいると、彼女が駆け寄ってきた。
「あはは〜。読まれちゃったか……。君はそれを見てどう思った?」
彼女はぎこちない笑顔で聞いてきた。俺はなんて返せばいいかわからなくなって、つい
「別になんとも思わ……」
そこまで言いかけて彼女が震えてるのが見えた。そんな彼女を見たら本心を伝えるべきだとそう感じた。
「信じられないけど事実なんだよな。俺はお前に幸せになって欲しい。むしろ残りの時間俺にくれ。俺が病気だって忘れられるくらい幸せにしてやる。」
と言い終えたところで、俺は告白をしていたことに気がついた。
「……ぷっ。あははははは。病気で余命あと2年しかないんだよ?そんな子にいきなり告白する?ましてやちゃんと話したのも今日が初めてじゃん。まあでも、君がどうしてもって言うなら付き合ってあげる。その代わり、幸せにしてくれなかったら化けて出てやるんだから」
彼女は笑いながら告白をOKしてくれた。最後にプレッシャーのかかる言葉を添えて。
「はは。俺が幸せに出来ないとでも?まあ、なんだ、その、これからよろしくな」
「こちらこそよろしくね」
こうして俺たちのタイムリミットのある交際が始まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
〜闘病日記〜
(2020年4月10日。今日は今までの人生で1番幸せな日でした。何故かって?人生初の彼氏が出来ました。その人はちゃんと話したことは無かったけど、あの時からずっと好きだった男の子。だからとても嬉しかった。あの時の事彼は覚えてるかな?)
「よし!今日の分の日記終わり!このページだけは彼に見られてはダメだな。はは。恥ずかしいもん……」
そんなことを思いつつ、彼との過去について思い出していた。彼は町一番の不良。対する私は、全国模試トップ3に入る程の勉強バカ。そんな私が彼に思いを寄せた日のことについて……。