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勉強会のお礼

そして数日後ー。


「ただい…」


「おかえりなさい!」


家に帰ると玄関で待ち構えていた森野が元気に

出迎えた。

その様子はしっぽを盛んに振って主人の帰りを喜んでいる飼い犬のようだった。

その勢いに、圧倒されつつ俺は聞いた。


「お、おう。どうした?待ち伏せなんかして。」


「先輩。これ!これ見てください!」


森野は興奮ぎみにテストの答案を見せてきた。


「ああ、例の追試か。数学I再テスト…75点。

おー、大分上がったな!確か60点以上は合格だったよな。」


「はいっ。全部先輩のおかげです。教えて頂いて本当にありがとうございましたっ。」


森野は深々と頭を下げてお礼を言った。


「おう。よかったな。ちゃんとテストの復習もしとけよ。」


「はいっ。できたら、あの…、期末の前も勉強みてくれますか?」


森野は主人のご機嫌を窺う犬のような表情でこちらを見てきた。

おかしいな。今日は森野がやけに犬に見える。


「ああ。いいよ。範囲が決まったら教えてくれ。」


「はいっ。ありがとうございます!!」


そのはちきれんばかりの笑顔に俺は千切れんばかりにしっぽを振っているわんこ森野を想像した。


「それから、取り敢えず追試のお礼としてですが、私と一日デートできる権利を先輩に差し上げまーす!」


「はぁ?」


俺はスクールバッグを取り落した。


その瞬間わんこ森野の想像は吹き飛び、目の前には頬を染めていたずらっぽい笑みを浮かべている後輩女子の姿があった。


何…?

森野のくせに色仕掛…だと…?

生意気な…!


無意識に拳を固めた俺を見て、森野は慌てたように言った。


「いや、ごめんなさい。殴らないで!全くの冗談です!ちょっと上から言ってみたかっただけなの。本当のお礼はこっちです。何てことはない文具セットなんですが、どうぞお納め下さい。」


森野は可愛いラッピングの施された水色の包みを俺に差し出してきた。


「あ、ああ…、ありがとう。」


なんだ。冗談だったのかよ。ちょっとだけ落胆した自分がいる。


「あと、まぁ、デートではないんですが、今度の土曜日、もしお暇だったら買い物に付き合って頂けないかと思いまして。」


「買い物?」


「はい。日曜日に先輩のご両親に一ヶ月間の生活のご報告をしに行く事になっているじゃないですか。ちょうど食費も余りましたし、そのお金で先輩のご両親にお礼のプレゼントを買ってその時に持っていけたらと思ってるんです。

先輩に買い物に一緒について来て頂いて、プレゼントにどんなものがいいかご相談できると有り難いんですが…。」


「……!」


森野は驚いたような俺の顔色を窺うように見ていたが、苦笑いして言った。


「やっぱり、ダメ…ですかね。」


「いや、いいよ。分かった。」


「え。」


「そういう事なら土曜日つき合うよ。」


「あ、ありがとうございます!!」


森野はぱぁっと顔を輝かせた。


「何時に家を出るかだけ教えといてくれ。」


「あ、先輩。一緒に家を出るのでなく、待ち合わせにしてもよいです?」


「??いいけど…。」


「私もよくは分からないのですが、こういう時は待ち合わせにした方がよいと夢ちゃんが…。」


「??」


「あっ、何でもないです。じゃあ、11:00

に駅前広場とかどうでしょう?」


「あ、ああ…。」


「よかった!楽しみにしてますね。」


何かよく分からないままに、土曜日の予定が決まったのだった。


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