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マラソン

作者: 中川 診ノ琉

ここは雲の上、人間がいう所の天国と言われている場所である。その雲の上から神様が人間の生活を見守りながらため息をついていた。


「神様、ため息なんてつかれてどうされたのですか」


 何百年もの間、神様の傍で仕えている天使が尋ねた。


「今日も地上を見ていたら、人間同士が争っている所を見てしまった。人類が誕生してからずっと見続けているが、どうして人間は争いあい、お互いを傷つけあうのだろうか」


 神様は悲痛な顔をして沈黙していた。反対に天使は得意げな顔をして話した。


「神様、それは恐らく人間が不平等だからですよ。貧しい人は豊かな人を羨み、豊かな人はその地位を守ろうと貧しい人を使う。そこに嫉妬や妬み、不満とか負の感情が強くなり争いが起きるのではないでしょうか」

「それは一理ある。それなら私の力で完全なる平等な世界を作ってみようか。このままではあらゆる国で核ミサイルの発射ボタンが押され、人類は滅亡してしまうからな」


 神様はまず気候など世界を全て同じ環境にした。次に人間の肌の色や言語を統一した。同じ家を用意し、同じ収入、同じ食物を得るようなシステムを作った。


「これで人間同士の争いがなく、平和な世界になるだろう」


 神様は安堵の表情を浮かべた。


 しかし数日後、天使が青ざめた表情で神様のもとにやってきた。


「神様、大変です。地上ではもう人間同士争いが起こっています」

「何てことだ、私は一生懸命、人間の環境を全て平等にし人間の負の感情を失くしたつもりだった。何故こんなにもすぐに争いが起きてしまったのだろうか」

「数名の人間が一緒に走る遊びを行ったようです。最初は皆で『一緒に走ろう』と笑い合っていました。しかし、走っているうちに一人が抜け駆けをして先に走り抜けようとしました」


天使は続けた。


「皆、心の中で最初は誰もが一番になろうという気持ちがあったようです。しかし、次第に明らかに優劣がついてくると、負けそうになる者が“平等”を主張しました」


神様はため息をこぼして呟いた。


「どんなことをしても人間の欲望は尽きることはないのだな。何と欲深い生き物だろうか。もう助けてやる価値もない」


拙い文章ですが、読んで頂きありがとうございました。

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