幼馴染は天使様
「おーっす、おはよう陽!」
「っす……おはようと俺の名前を重ねるのはやめろ火口」
「ははは、朝から相変わらずしけた顔してんなお前! そんなんだから彼女できねーんだぞ!」
「はっ、俺は彼女なんて作ってる暇ないからいいんだよ」
「はいはい。まーお前の場合、まず伊月さんのストーカーをやめる必要があるわけだが」
「だからストーカーじゃねぇって……」
「ああ、それにしても伊月さん今日も可愛いなぁ……彼女になってくれないかなぁ……」
「アホか」
こいつは火口(ヒグチ)、チャラ男である。
見た目もチャラいが言動もチャラい、まぁ、悪い奴ではないんだが……。
そんな火口が未だにぺらぺらと褒め称える、前を歩くあいつに目線をやる。
確かに、伊月日向という少女は見た目がいい。
背中まで伸びた艶のある黒髪、透き通るような白い肌、くりくりした大きな瞳にバランスの整った顔の配置。
控えめな身長と胸はご愛嬌、というところだろうか。
年々、どんどん綺麗になっていくのがわかる。
どうやら男子人気も高いらしく、違う学校からも告白しにくる男もいるらしい。
なんだか、俺の知っている「ヒナちゃん」はもうどこにもいないのではないか?
そうも思ってしまうのだ。
……これも、あいつと俺が疎遠になったキッカケの一つなのかもなぁ……。
「はあ……伊月さんマジ天使……」
「わかったわかった、バカな事言ってないでさっさと行くぞ」
「伊月さんの好きな人ってどんな奴なんだろうなぁ……羨ましすぎる……」
……ふーん?