幼馴染は放課後デートがしたい
その日の放課後。
俺はいつも通り、早々に帰ろうとしていた……のだが……。
「それではー、ここに水城クンの弾劾裁判を始めたいと思いまーす」
「「「満場一致で死刑でいいと思います」」」
「これにて閉廷しまーす」
「お前ら……!」
俺に対する当たりが強い……!
いや、こうなるって想像してたけどもね!?
「なぁ! なんで急にこんなことになってんだよ!?」
「水城は伊月さんのストーカーじゃなかったのかよ!」
「失望しました火口さんのファンやめます」
「えっ俺に飛び火!? てか最後の誰だよ怖いわ!!」
いっせいにまくし立てられても困る。俺は聖徳太子じゃねぇんだぞ。
これは、ここでしっかりと否定しておかないと、後々面倒になるな。
ここで完全に決着をつける!
俺は覚悟を決め――――
「俺と伊月はただの幼馴染ってだけ! それ以上の関係はない!」
「……本当に信じていいんだろうな?」
「おう、本当にこれ以上何かあるなら、とっくにバレてただろ」
「まぁ言われてみれば……これまで水城って、伊月さんと会話もなかったよな?」
よしよし、いい感じに沈静化に向かってるな。
このまま有耶無耶にしてしまえ!
「そうそう。これまで会話もなかったのに、変な関係になるわけないだろ?」
「まぁ、水城に限ってはないか。それに幼馴染って、いわゆる負け属性だしな!」
「後からきたイケメンに奪われる役どころですねわかります」
「そういえば、伊月さんは好きな相手がいるって話だもんな」
「水城ドンマイ!」
「生きて水城!!」
あれ、なんで俺、今哀れまれてるの?
釈然としないものを感じるが、まあいい。
これで俺と伊月は『そういう仲』ではないことは分かってもらえただろう。
あとは噂が落ち着くのを待てば、お帰り平穏な日々。
「すいません、そろそろヨウくんお借りしてもいいですか?」
そう、思っていたのに。
後ろから、涼やかな声が聞こえてくる。
……どうして邪魔をするのですか……どうして……。
「えっ、あっ! い、伊月さん!」
「あ、ど、どうぞどうぞ、こんなんでよければ!」
「ふふふ、ありがとうございます。……ヨウくん、一緒に帰ろ?」
「……ん、わかった。じゃあな、火口」
「おう……また明日……」
「なぁ……本当に付き合ってないんだよな? あの二人……」
「わからん……」
「少なくとも伊月さんは……」
「言うな!」
「!!」
「哀しいことを……それ以上言うな……っ!」
* * *
「ね、ヨウくんは今日時間ある?」
「あるぞ、むしろ晩飯までは暇なくらいだ」
「そっか、じゃあちょっとだけ買い物に付き合ってもらってもいい?」
ふーむ、買い物か。
特に予定もやりたいこともないし、まぁいいかな。
「ああ、いいぞ」
「ふふ、放課後デート、だね!」
「ただの荷物持ちとも言う。で、どこまで行くんだ?」
「ほら、二駅向こうに新しいショッピングモールできたでしょ?」
そういえば、春先だったかに、新しくショッピングモールが出来たんだったか。
近隣のハブステーションに出来た大型のモールで、敷地内にはアパレルショップから家電量販店、映画館に加えスパ施設まであり、ここで揃わない物はない! とまで言われているとか。
一人で行くようなところでもないので、敬遠していたんだけど……。
「もう夏だし、新しい服が欲しいなって……だめ?」
「いや、いいよ。俺も行った事なかったし、ちょうどいいかも」
「やったっ。ヨウくんの初めて、イタダキマス」
そういいながら、てのひらをすり合わせる。
こら、卑猥な言い方はやめなさい、お兄さん、心配になるよ?
「えへへ、ヨウくんの好きなファッション教えてね!」
「俺でいいのか? そういうのは伊月の好きな奴に聞いたほうが……」
「むー……ヨウくん、やっぱりわかってない!」
「えっ……っていたっ! 痛い! 脇腹突かないでくれる!?」
なになに!? なんで俺、今攻撃されてるの!?
「ふーんだ。罰としてヨウくんは、私をしっかりエスコートすること!」
「はいはい。……手、つなぐか?」
「……っへへっ、うんっ!」
「では、お手をどうぞ、お嬢様」
そういいながら手を出すと、伊月は淡く頬を色づかせながら、俺の手を握った。
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今後とも可愛い幼馴染を書けるように頑張りますので、よろしくお願いいたします!




