プロローグ
僕達は孤独だった。
数千年経っても宇宙人とやらは誰も見てない。
神格化された物や生物が大昔の壁画として残ってるぐらいであって。
宇宙に巨大な望遠鏡を用いても命は見つからない。
1961年、宇宙に出る。
1964年、月へ行く。
ついに人は地球という家を出て、初めて宇宙という外の世界を感じた。
ガガーリンは言った。
「地球は青かった。だが神はいなかった。」
人々が想像した神の存在を否定され…
ついに僕達は真に孤独だと感じる。
そして、2001年10月15日
全てが始まった...
1
光に包まれ落ちていく 風を感じない 意識が遠のく
かすかな意識の中で目に捉えたのは閃光と爆裂
空中に浮かぶ立方体
しばらく経ったところで水平線が見えた
そして海に背中を叩きつけられ...
「.......っ!?」
尋常なく現実味を帯びた落下感によって僕は飛び起きた。
全身から汗が吹き出ている。
疲れが溜まった日に、寝ていたら突然に体が痙攣して起きる事はよくあった。不随意の筋肉の痙攣によって起こる現象。しかしこれとは違うような。
生存本能を直に刺激された感覚が全身を貫いている。
これは夢ではない。そう神経が脳髄に訴えたが、今僕がいる場所はベットの上。そこから僕は飛び起きた事は言うまでもなくわかっている。
自身を落ち着けるため、寝室から出て、一階のリビングへと降りる。
電気をつけ、深夜の視界を確保した。
緊張で硬ばった体をほぐそうと飲み物を飲もうとしたが、異常な震えで自由に動けずにそのままソファへ不時着した。
仰向けになり、バッチリとした目を光に触れさせてたら、極小の刺激である照明の明かりでも僕の目は閉じてしまった。
立つ気力も無くなり、僕は素直にこの緊張感を落ち着かせる為、体をソファに委ねる事にした。
楽な姿勢になり、物事を塾考する余裕ができるようにしたが、自分が過呼吸に近い肺活動をしていることに気がつく。
腹式呼吸を意識して、呼吸のリズムを整える。
数分したら、体も心も多少は落ち着いた。
そして重い瞼を開けて、ソファから立ち上がった。
そのまま台所へ行き、大きめのコップに水を入れて、それを一気に飲んだ。
芯から冷たくなるような感覚がして、これより後にも先にも水がここまで美味しいと思える瞬間はないだろうと思った。
一杯では足らず、二杯目も飲み、気がついたら体の震えは収まっていた。
もう一度ソファへ座り、何が起きたか考える。
あの夢、空気感さえ感じられた悪夢。
空から落ちていき、だんだんと水面へ近づいてくる恐怖と絶望感を感じた。
あの夢は何だろう?実際に僕は死んでないし、こうして五体満足で生きている。ただ、問題は覚めた後だ。
夢から目覚めたって感覚ではなくて、そのまま続きが再生された気分だった。
病気なのか?もしかしたらあの夢はそれの前兆なのか?
いくら考えても答えは出せない。
そこから数十分間考え込んだが、結局何も得られないので、僕はリビングと台所の電気を消して、二階の寝室に上がった。
僕はベッドの横の壁にあるカレンダーを確認する。火曜の病院は定休日ではないので安心した。明日有給を取ろう。今日の出来事を医者に伝えるつもりだ。
壁にかかっている時計を見たら、もう2時を過ぎる頃。これ以上目が冴えないように、僕は早速眠りについた。