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彼女の宝石箱に安っぽいおもちゃの指輪が仕舞い込まれている理由。

 

 それは安っぽいおもちゃの指輪だった。

「ゆびわ?」

 指にはめられ、幼子は不思議そう。

「私の宝物よ」

 使っているのはガラス玉ではなく、一応鉱石だ。

「ちゃいろ」

「オリーブオイルみたいでしょ? オリビンとも言うの。エメラルドの仲間よ」

 コレが? と娘は半信半疑。

「パパが初めてくれたプレゼントなの」

 母親が子供の頃の話だ。

 彼女はもう着けられないが、思い出も愛着もありすぎる。

 だから、おとぎ話の様に娘の寝物語にして語った。

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