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いつもの『日常』、そして…

視線を空にやると焼けるような8月の太陽がそこにあった。

周りを行く多数の雑踏に埋もれながらも司賀真佰都(しがざねはくと)は灼熱のアスファルトに立つ。


「面倒臭ぇ…」


自然と暑さ故の汗が自らの制服に滲み、顔には疲労の表情が浮かぶ。

やはり暑い日は嫌いであると佰都は思っていた。何もしなくても外に出るだけで変に体力を使う。


「何が嫌で日曜のこんなクソ暑い日に学校行かなきゃなんねぇんだよ…こんなんならテストサボるんじゃなかったよホント…」


ガクリと首を落とす。


「あら、意外と物分かりが良いじゃない」


佰都が項垂れているところにその返答と取れる言葉が後ろから飛んでくる。

しかし、その声に嫌という程覚えがある佰都は振り向きもせず言葉を作る。


「何だ?こんな暑い日の日曜にまた俺の生活態度でも改めに来たのか?学級委員長?」


佰都は憎たらしく言う。


「あなた自棄にこの日曜って日を強調するわね。あとその『学級委員長』っての止めて。私には麻波梢華(あざなみしょうか)っていう名字と名前があるの。いい加減覚えて頂戴」


そう言い捨て、梢華が此方に追い付いて来る。

夜のように暗く艶やかなロングヘア、そして自分と同じ学校の制服が視界に入って来る。


「で、お前は説教以外で俺のところに現れたっていうんなら何しに来た訳?面倒な事は勘弁な」


佰都がため息混じりに言う。

それに反応した梢華が少し顔をしかめる。


「人をいつも怒る短気人間みたいに言わないで。まぁウチのクラスの生徒が補習を受けてるという事実が私の目の前に存在してる時点でそいつを今すぐにでも殴り倒したいところなんだけど、生憎と私は自習しに図書館に行く途中なのよね」


「図書館?まぁ、開いてるっちゃ開いてるが、よく休みの日に自習しようとするな。怠いったらありゃしないな…」


「…何で私はこんなダメ男に毎回学年一位取られんのかしら…不思議で不思議でしょうがないわ」


今度は梢華がため息をつく番だった。

しかし佰都はそんな事気にも留めない様子をつくる。


「そんな事言ったって今回譲ってやったろ。そんな顔すんなって」


「テストサボった奴に勝ったって何一つ嬉しくないんだけど。このなんともいえない怒りは何処にぶつければいいのかしら?」


さりげに真剣に考え込む梢華をよそに佰都はからかうように笑いかける。


「まぁまぁ一位取ったんだからいいじゃないですか~、俺なんて今から補習の時、間……」


そこで佰都は固まる。何故気付かなかったのだろう。彼女の怒りの矛先は既に向き終わっていることに。

ふと梢華の方へ目線を向ける。

そこには微かな笑みが浮かんでいた。

佰都は直感した、自分の置かれているこの状況を。

だが念のため目の前の女子生徒に問う。


「し、梢華さん…?今、何時でございましょうか?」


「う~ん、多分8時55分だと思うんだけど~」


それでも尚言葉が嘘であると信じ、自らの携帯端末を開き現在の時刻を確認。


現実はそう甘くなかった…


「おいぃぃぃ…!?9時から始まんのに残り5分で学校着けってか!?梢華テメぇぇぇ!」


「あら、やっと名前で呼んでくれたわね。じゃあ私はこのなんともいえない怒りをぶつけたから行くわね。せいぜい頑張ってー、お馬鹿さん」


そう言い残して手を振りながら去って行く梢華をこれでもかという程睨みつける。

本当に面倒な奴だと呆れつつもまずは自分が今すべき事をするため一目散に駆け出す。


「畜生!マジでやってくれたなあの野郎!こうなったら意地でも絶対間に合ってやる!」


佰都の悲鳴にも似た叫び声はすぐにも周りの雑踏にまぎれる。

灼熱の太陽に照らされる休日の無系統地区(ノンクライト・エリア)は騒がしく、しかし賑やかであり続けていた。



◇ ◇ ◇ ◇



透き通った美しい湖には一つの橋が架かっていた。全長五百メートルはくだらない巨大な石造りの橋であった。

金属からなる最先端の技術を使う建造物が行き交う現代の中、珍しいとも言えるこの石橋の上を一人の少年が歩みを進める。

炎のように燃えるような赤の逆立つ短髪と瞳、身長は低めだが小麦色の焼けた肌からは活発な雰囲気が漂う。


「ふぁ~ぁ…」


彼は両手を後ろの頭で組み、のんびりと歩く。

その容姿だけ見れば只の子供にしか見えないだろう。しかし、その紛れもない誤った見解は今彼が着る真っ白な制服とその胸元の金色(こんじき)に輝く校章によって改められる。

その制服、倶篠学園(みなしのがくえん)は世界でも四校しか存在しない継承者(クライアント)らが集う教育機関である。

故にその肩書きだけで周囲に影響を与える。

…まぁ、周りより優れてるってのは嫌じゃないんだけどさ…

しかし自分達はそれだけだ。

それ以外は普通の人間と何ら変わりはしない。

しかし、『継承者』と『一般人』を分ける意味は生き方ではなく義務によるものである。

六災(りくさい)』、ねぇ…

最早義務ではなく彼等にとっては避ける事の出来ない『運命』なのではないかとこの頃思えてくる。

ふと自らの左腕に巻かれた『生徒会長』と記された腕章を見る。

『魔神』に相対する役目は『聖園』を管理する各学園の継承者等にある。

それと同時に各学園の生徒会長には継承者(がくせいたち)を守る義務がある。

…これは『義務』で合ってるよな…

自分はそういう存在でもある。

強者は弱者を守らねばならない。


「俺がしっかりしねぇとな……ん?」


いきなり自ら秘匿回線用の空間ウィンドウが開かれた。そしてその掛かって来てる相手が分かると嫌そうに顔をしかめ映像を繋ぐ。

後は耳を塞いで待機。


「東護!!貴方は今何処にいるんですか!」


通話先の青年のしょっぱなの罵声が静寂を保つ景色を揺るがした。

初めて投稿させて頂きました、どっぴおです。はじめて。

中々文章の構成がうまくまとまらずに悩みに悩みまくりました。

多少ぎこちない部分もありますが楽しんで頂けると此方としても幸いです。

書くスピードが余り速い方ではないのですが頑張っていこうと思います。

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