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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第二章 真実と真司
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4 妹と母の隠し事

 翌日のことである。夏休みボケが抜けない俺は、寝坊をしそうになった。アラームを鳴らしていても、寝ていたのだ。やっと、母親に起こされて目が覚めたというどれだけ情けないのだろう。昨日のことと言い。時計を見てみると焦らないといけない時間であった。


 ――八時十五分

 

 この時間だと、支度に五分を使って、向かうのに五分くらいだと考えるとぎりぎりだ。


「そういえば、水奈はもう家を出て、学校に行ったわよ」

「そうなのかよ。俺も同じくらいに起こしてくれればよかったのに」

「だって、いつもなら普通に自分で起きてくるから、大丈夫なって」


 母親の発言は正しかった。いつも通りなら遅刻しそうにはならなかったのに、今回はあれが原因であった。

 昨日の夜は、少しパソコンをいじってしまっていた。部屋に置いてあるディスクトップのパソコンで大学のことについて調べていたときに、いい大学を見つけてしまい、それで徹夜という感じになってしまった。その関係で、寝不足になってしまったというわけだ。

 考え事をしながらも朝食を食べ、着替えをして、自転車に乗っていった。


「こんなにも急いで行ったのは初めてのような気がする」


 独り言を言いながら、学校まで全力でペダルを回した。



 学校についてみると、遅刻になりそうな人たちが急いで校舎内に入ろうとしているところが目の前の光景として広がっていた。


「早くしないと、遅刻しちゃうよ」

「そうね。急ごう」


 女子二人が急いで校舎内に入っていくところが見えた。それを見て、俺は急ぎ始めた。


 ――早くしないと、うるさい担任に叱られる。


 少しばかり、恐怖を感じながら、教室へと近づいていった。

 教室までたどり着いてみると、まだHRは始まっていなかった。時計を見たときにホッとしてしまった。


 ――八時三十分


 まじめの方でギリギリであった。そして、自分の席でホッとしてしまう自分がいるのであった。

 しばらくしてHRが始まり、いつも通りの日程で時間は過ぎていく。


「それじゃあ、今日も頑張っていこう。以上だ。残りの時間は自由だ」


 担任はすぐに教室を出ていき、そこから小説を読むなり、話すなりと言う自由の時間が始まった。その時に真司が俺の近くに来て、言い放った。


「昨日、話す内容を言わなかったんだって。それじゃあ、時間を使っちゃったわけか。あいつは少しひどいかもな」

「そうでもなかった。楽しく、会話できたからいいじゃないかなって思ってるから」

「なんか、珍しいような気がする」

「そうか? 俺って、そこまで人の話を聞かない奴か?」

「いや、そういう意味じゃなくって、勉強しなくちゃいけないからみたいなことを言うかと思ったんだけど……」


 俺が普通に話すのが意外だったらしい。それほど俺はガリ勉だという印象が強いのだと改め思った瞬間であった。


 ――やっぱりそんな印象が強いのか。確かにそのようなことを言うこともあるが……。


 印象と言うのは怖いような気がした。


「それじゃあ、俺らも移動しようか」

「どこにだよ」

「次は情報処理の勉強だろ。パソコン室に決まっているだろう」

「そうだった。教科書を用意していこうか」

 

 俺ら二人は教室を後にした。



 昼休みになると、いつもはパンとかを買うのだか、今日だけは弁当を作ってもらった。誰なのかは……。


「そういえばお前はその弁当は誰に作ってもらったんだ?」


 今いる場所は食堂だ。屋上で食べたいという思いもあるが、高速で決まっているので、出ることができないし、鍵がかかっていてどうしようもない。


「誰だと思う?」

「そうだな。母親か?」


 俺は少し挑発をしてみたいと思い、人差し指を振る。


「違うなぁ。妹だよ。なんか、いきなり『今日は少し暇だったから、弁当作ってみたの。お兄ちゃんって、いつもパンとかだと栄養不足になりそうだから、特別だよ』だって言って、作ったんだよ」

「へぇ――。そんなことをする妹なんだ。いい妹さんだね。俺はその子がほしいと思うほどだよ」


 羨ましそうに真司が言うが、妹がいてもいいことなどないということを知ってもらいたいくらいだ。お風呂は遅いし、トイレも普通に入れない。それに、部屋で騒ぐときもしばしばあるとか。まあ、部屋で騒ぐのは良しとして、あまりいいことはこの一週間当たりではなかった。伝えてやりたいくらいだ。


「和孝? どうした、いきなりボーっとして、何か考え事でもしていたか?」

「いや、そんなことはないけど」

「あまり言いたくないけど、和孝が考えことをしているときは、どうも動かないからわかるんだよね。あっ、こいつはボーっとしてるって」

「そうなのか? 俺はそんなこと思ったことはないよ」


 すると、真司が大爆笑をした。何かが面白かったようだ。


「いきなりどうしたんだよ」


 俺は疑問に思っていると、口を開いた。


「わかるわけないだろう。だって、考え事している本人は自分がどうなのかを見ることなんてできないんだからな。本当にそういうところはぼけているというか。笑いすぎて腹が痛いよ」


 なぜか、自分の存在が遠くにあるような気になってしまった。それに、真司がここまでわかったのを見たのは、いつごろだろうか。なんて考える俺であった。

 弁当を食べながら、食堂についているテレビを見ていた。


「そういえば、今年はいろいろとある年なんだよね。スマホが薄型になって、その次に指輪化にしようと考えているだろうから! 俺はほしいな。そんなものが……」

「……それは無理だろう。まだ、今は極薄が出た時代だぞ。いつかになれば、できるかもしれないが今は無理だ」

「そんなこと言うなよ。真司。あり得るかもしれないぞ」

「そうかもしれないが……」

「それに、そうなれば授業ももっとよくなるのではないかと思っているから」


 真司はため息をついた。やはりと言う意味だろう。勉強の方に話題を持っていった時点でそれはわかってことだろうに……。


「お前らしいよ。そんなことを考える時点でな」

「そうかよ」


 優雅に話していた俺たちだが、授業の時間が迫ってきたみたいだ。予鈴のベルが鳴った。


「さてと。予鈴だし、急いで教室の方に戻るか」

「だなっ」


 真司と俺は二人で教室に向かうなか、華音は俺を見て、行かないでと言うような顔でいた。


 ――どうしたんだよ、あいつは。友達と行けばいいじゃないのか。


 思っている俺にウインクなんてしてきて、色目で落とそうなんていう作戦らしい。


 ――そんななんじゃ、おちるわけないだろうよ。ガリ勉に使ってもダメなくらいは少しは理解しておけ。


 偉そうなことを思っている自分だか、そんなことを言う資格なんてあるわけがない。ただの凡人が思ってもいけないことだというのに、情けない。

 最終的に真司に、「早くしようぜ。行かないと遅刻になるからな」と呼びもどされ、食堂を出て、教室まで急ぐのであった。



 HRが終わり、放課後となった時間である。俺はいつも通りに帰る支度をしているときに、華音がやっと話しかけてきた。


「あ……あの~、和孝、君? 少しじ――時間あるかな。話すことがあるの」

「この前のことでいいのか?」

「そ……そうなの。本当はすぐに話さないといけないのに。私は情けない」


 女子を相手にするのはあまり得意ではないので、扱いに困ってしまう。今まで女子と触れ合うことがなかった俺は、どうすればいいのかと思ってしまうほどだ。

 もうそろそろ、例の華音が家に来る日までも近いが、うちの妹ときがあるのか心配。でも、女の子同士なら合うかなとか思っている俺はどうなのだろう。

 だから、不安ではない。それに、あいつから行ってきたのだから仲良くでき、俺が侮辱でもされそうな感じが背中の方から感じる。

 そういえば、妹が来てからもう二週間は余裕で立っている。それにしても、二週間でここまで仲がいい関係になれるのだと言うのは珍しいじゃないかと思う。

 普通に考えれば、そんなことはないから。それに、一切あったことがないというのに……。


 ――まあ、それが兄と妹というものなのかも。


 心の中で疑問に思う。そして、華音は涙目になっていた。


「本当に情けないし、ダメな女なのかもしれない」

『飯島君、もしかして泣かしたんじゃない? なんかあったんだろうね』


 周りからの視線が痛い。俺が泣かしたんじゃないかと言う雰囲気になっているのだ。


「泣くなって、真実を言えないときだってあるよ。俺だって、いろいろと話さないといけなくても話せないこと何てあるくらいだよ。しょうがないことなんだよ」


俺は泣き止まない華音に向けて、話したのであった。すると、華音は目をこすった。


「そうね。わ……私は言えなかったけど、今だったらいえる気がするの。私は和孝君の家に引っ越すことになったの」


 勇気を出していった華音の言葉は前の日に水奈に聞いたことと同じ事であった。でも、もう知っているなんて言えるような雰囲気ではないが、伝えなければ後々にばれればもっと悲しませることになるだろうと思った。


「あの~、少し言いにくいことなんだけど、俺はそのことについては知っていたんだ。昨日知らされたばかりだけど……」

「そ……そうだったんだ。私ったら何をやっているのかしらね。前の情報なんかいらないわよね」


 可愛そうに見えてきてしまった。あまり、女子の考えとかを気にしなかった俺だが、こればかりは見ていられない。このときには、みんな帰っていた。

 誰もいない教室に二人で向き合っている。どこのシチュエーションでしょうかと言える場面だ。


 ――みんなならここでどうするのか? 慰めるのか? それともハンカチを渡すのか? どうなのか。


 こんな経験がはじめてな俺は意外なことをすることに……。



 俺は華音を軽く抱いた。何もわからない俺はこうするしかなかった。嫌われてもいい、突き飛ばされてもいいと思っていた。そして、顔を見たときに真っ赤に染まっていることも分かったし、華音の体のぬくもりが俺の体に伝わってくる。そのうち、飛ばされることを覚悟していたが、そうではなかった。照れながらも耐えていた。


「い――いきなり、こんなことをする人なんて思いませんでしたけど。でも、あなたにはそんなことは気にならないのではないかと思います。本当に最低な人」


 泣きながら言われても何もできないし、俺的には照れ隠しなのだろうとしか思ってない。そして、女子がこのような人間なのだと認識し始めた瞬間でもあった。

 


 家に帰ってくると、水奈が学校から帰ってきていた。それに、俺が学校に長く滞在しすぎたということも分かった。時間を見ても、あまりにも遅い七時を短い針がさしていた。


「ただいま。少し遅くなった」


 リビングのドアを開けながら、言葉を発した。

 周りを見わたす限り、母親しかいなかった。


「水奈は自分の部屋に言ったのか?」

「そうね。だって、この時間なんだから、そうでしょ。夕食も食べた後なのよ。だから、そこにサランラップをしてあるから、食べなさい」


 二人分の食器洗いをしている母親であった。俺はダイニングテーブルに座り、ラップを取り、夕食を食べる。

 今日の夕食はオムライスであった。職人のように卵はトロトロ状態だ。だから、とてもご飯に合う。

 うちの母は、調理師の学校に行っていたという。なんか、パティシエになりたかったかららしい。そのため、仕事場は飲食業なのだが、どんな場所で働いているのかはわからない。いつも帰ってくるときにはいつもいるからだ。



 夕食を食べ終わり、俺は食器を片づけて、二階へと上がっていった。

 自分の部屋に入ると、俺は勉強道具を通学バックからだし、勉強机で勉強へと専念した。


 

 少し休憩を取るために、俺は一階へと降りて、キッチンの方から入ると、水奈と母は重要な話をしているようだった。俺はとっさに隠れてしまった。耳をひそめると、聞こえてくる。


「ねぇ、お母さん。お兄ちゃんの誕生日っていつなの?」

「それは、九月十日よ。」

「そっかっ。その日に伝えたいことがあると言いたいのっ!」

「もしかしてあのこと?」

「そう。そのアレ。伝えた方がいいのくらいはわかってるじゃないの。お母さん」

「そうね。もうそろそろ、公開時期なのかもしれないわね」


 あまりにも聞いてはいけないような雰囲気が漂っているリビングに来てしまい、失敗した感じもあるが、アレと言うのがどういうのなのかを知りたいものだ。


 ――いったい、何の話をしているんだよ。俺には隠さないといけないような話なのか?


 疑問に思った俺はここで少し聞こうと思ったが、ばれてしまったらどうしようという気持ちもある。それでも、聞きたいのが俺の本音だ。

 でも、そのあとにそのことについては話さなかったが、違うことが聞けた。


「華音をこの家に連れてくる理由と言うのは、知っているわよね?」

「うん。確か仲よくさせるほかに、記憶を少しなくしているお兄ちゃんに思い出させるためでしょ」

「そうなの。だから、アレとこの話は重要だから、まだいわないでね」

「わかってますとも」


 聞いてはいけないことを聞いてしまった俺。それに、話が終わればキッチンに戻ってくる。だけど、早く出ればわからない。キッチンのドアは静かなので、ちょっとした音だとテレビや換気扇に取り消されてしまう。だから、俺がここにいることは絶対に気付いてはいない。


 ――早く逃げるぞ。


 俺はそーっと廊下に出て、二階へと上がっていったのであった。

 部屋に戻り、何の話をしていたのかを考えてみる。


「それにしても、どんな話をしていたんだ?」


 俺はいろいろと引っかかる内容に疑問を持った。


「なぜ、俺が記憶をなくしたことになっている? それに、何があったのか?」


 そういえば、昔のことを思い出そうとしても思い出すことができない。何かを起こしたのだろうか。


「どうしちゃったのだろう?」


 一人部屋で考えているのであった。

 

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