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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第六章 旅行と家族
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6 群馬での生活(上)

 あっという間に二時間半くらいが過ぎ、何回かパーキングやサービスエリアに寄って、高崎インターから降りた。


「なんか、東京都は違って、田舎って感じ」


 水奈が群馬の人にとっては失礼なことを言葉にする。


「そんなこと言っちゃダメでしょ。私たちが育った場所が都会だからって、田舎とか言っちゃ」


 確かにこの群馬と言うのは田舎に見える。だけど、それがすべて田舎と言うわけでもない。都会なところもあると思う?

 都会育ちの俺にはこの群馬と言う県のことなど、まったく知識として存在しない。それに、この場所がどんな感じになっているのかさえも分からない。

 と思っているうちに、高速道路を降りて、一般道を走っていた。


「今いる場所は高崎。ここら辺は田舎だけど、少し駅前に行けば混んでるから。と言いたいところだけど、家があるのは少し田舎な方。実家は前橋インターで降りた方が近いけど、少しこの群馬がどんな場所なのかを知ってもらうためにこの辺を走っているんだけどね」


 母は自慢げに自分の故郷のことを話すが、俺たちには全くわからない。


「それよりも近くに何かないの? あんな時間にできてたし、遊びたいと思ったんだけど、それよりもショッピング」


 華音が無茶なことを言っている。この辺にショッピングモールなんてないだろ。だけど、母はその受け答えに素直に返答する。


「あるはあるけど、少し時間かかるかもね。それよりも、駅前にも行ってみる?」

「そうしよう。高崎駅って結構すごいとか聞いたことがあるけど」

「東京よりはすごくないの。今発展段階だから」

「そうなんだ。私てっきり、もう発展しているものだと思った」


 水奈は高崎駅の近くに何かあるのかは知っているみたい。友達から聞いたのか、調べたのかもな。


「そういえば、私はもっとすごいことを知っているよ。ゼオンモール高崎駅前ができるとか聞いたことがある。まだ、先の話しだけど、東京の方からも人が来るかもしれないって都市開発をしているとか」


 なぜそんなことを知っているんだい? 華音。地方の人しか知らなそうな情報をだな。遅しすぎるだろ。

 こうして、緩い感じで車は高崎駅前へと走らせるのであった。



あっという間に駅前についてみると、なんかさっきの殺風景とは違う。少し都会と言う感じが漂っていた。そこらじゅうにマンションが建っているし、車の交通量も違う。電車の音も東京波とは言えないが、走っているのはわかる。まったく別の県に来たような気持ちになった。


「なんだ。こんなにもさっきとは雰囲気が違いすぎる。何かあったのかこの県は?」

「そんなことはないわよ。この県はこういう風に格差と言うか、都会と田舎の所が極端すぎるの。だから、高崎と前橋以外はそこまで都会ともいえない。もしかしたら、落ち着くくらいかもね」


 あまりにも不思議な県と思ってしまった。どこまで格差が大きい県なんだと。それに、ここまで格差が大きいと、どのようなことが起きるのかが気になる。でも、俺には関係ないことなのだがな。


「さてと、パーキングに車を止めてと」


 母は車を止めるために空いているパーキングを捜している。一方華音たちはのんびりとゲームなどをして楽しんでいる。まったく違うことをやっているので、驚きだ。

 さっさとパーキングを見つけた母は、「ついたわよ。ここが高崎駅前よ」と誇らしく言うが、そこまで見た目に驚くほどではない。


「それよりも、アニメストがあったんだけど、やっぱり群馬の中でも都会だからかな?」

「そうじゃない。私も思ったの。普通にアニメストとかあるってね。本当に都会と言う感じはしないけど」


 水奈はほめときながらケチ落とすというひどいことをしやがった。バカにしていると、どうにかなるぞ。本当に。


「そうね。普通に考えれば、田舎と言う感じが漂っているともいえる」


 華音と水奈は納得をしていた。まったくこの二人は言いたい放題のこと……。

母の実家当たりなんだから、気を遣えよな。仕方ないやつらめ。


「確かに思える」

「お前ら、そんな話よりも、駅までの探索をしようぜ」


 俺が先頭をきって、話を終わらせようとしたときに、華音が言う言葉はとても信じられなかった。

 


 アニメストを見たりしているうちに、一時間が過ぎていた。あっという間に時間が過ぎてしまうので、少し驚いてしまう。長くいるわけでもないのに、なぜだろうと思ってしまう。それに華音が「メロンブックスに行かない?」とかいうから行ってみると、まさかの危ない場所じゃねぇ――か。それに二階とか行くと何かありそう。

 あえて大人っぽい格好をしてきた理由と言うのが、これだったのかもしれない。あまり知らないとか言っていた気がしたけど、念入りにしらべていることだけがわかった。それに対して、水奈は目を丸くして、華音をの行動をドン引きしたような感じで見ていた。実の妹でもこんな姉だったら驚くし、引いてしまうよな。同意できるところもある。

 メロンブックスとアニメストはさておき、目の前には大きな建物がある。宝島屋と言う看板がでっかくあり、目立つ。道はさんで隣には、アルファベットが消されたビルが建っていて、つぶれたのだろうと思い少し見てみると、端を壊していることが分かった。


 ――ここは壊されているということは、もう何ができるのかは決まっているのかな? 


 少しばかり疑問が浮かんでくる。もしかしたら、すごいものができるのではないかと言うことなのだ。俺にはそれがどんなものになるのかははっきりとわからないが、そのうちわかるだろう。

 そんなところを歩いている俺と華音・水奈・母。どこに行こうとしているのか自分でもわからない。まあ、そんな一日だったということだ。

 


 高崎駅前を後にして、実家がある方まで向かうことになった。駅前を過ぎたところあたりから田舎というような風景がよみがえり、その真ん中を走っているという感じだろう。


「すごい田舎風景。こんなにも畑があると、ドラマの中で出てくるものを思い浮かんじゃうな」


 水奈は何かと目を輝かせている。こいつはどんなこと考えているんだ?


「そうね、私も感動しちゃった。あまりにも都会慣れをしてしまっているから、この風景が美しく感じる。こんな場所に住みたいなんて思っちゃうね」


 まさかの華音も同じようなことを言い始めた。たしかに、こっちの方は都会とはずいぶん違く、新鮮に感じる。俺だってそうだ。


「俺もそうだけど、ただ、電車があまり来ないとかと言う不便はあるかも知れない。その辺は田舎と言えるところだろう」

「そうかもしれない。だけど、お母さんはそこが魅力なんじゃないかなって思うよ。東京都かだと満員電車だけど、こっちで乗る分には満員と言うことが少ないしね」


 田舎のことについて知っている母は、都会は狭いものだと思っているみたい。田舎の人から見れば都会は天国に相当するだろう。

 風景を楽しみながら進んでいると、あっという間に実家に着いたみたいだ。

 周りを見わたすと、どこを見ても畑だけど、その真ん中にでかいショッピングセンターがあった。ゼオンモールとか書かれているのがかすかにわかる。


「お母さん。あそこに書かれている文字読める? なんて書いてあるのか全く分からないけど、ゼオンモールと言う文字だけは見えた」

「あそこはゼオンモール高崎よ。駅前にあった廃墟の場所を立て替えて、ゼオンモール高崎駅前店と言う仮称でできるらしいよ。店名はあくまでも仮らしいけどね」


 やはり、実家の県の情報はくわしいらしい。何で調べたのか気になるが……。


「へぇ――。あんなところにあるんだ。都会住まいの私には少し意外な場所になると映ったよ。普通は、駅前とかにあってでかいとか思うのが普通じゃない。だから、驚いちゃったな~」


 水奈はとてもうきうきした顔でこちらを見ていた。


「そうね。普通はこんな場所にないのがふつう。和孝も思うでしょ? 都会のショッピングモールは人が多いところにあるって」

「まあ、それはあたりまえじゃないか。都会に行けば電車を降りれば、目的地があるみたいで、車とかあまりいらないみたいな感じだからな。俺も、ここは初めてだから驚いたけど」


 周りからはあまり驚きを感じなかったという目で見られた。


 ――確かに、こんな場所にあるのかと思ったけど、心の中までは驚いていなかったかもしれない。本当のことを知られたら何言われるのか。


 母と水奈と華音は何もなかったような顔をしている俺を眺めていた。


「なんだよ。俺の顔に何かついていたのか?」

「いや、ただ、無表情だなって思っただけ」


 絶対にそれだけ思ったというわけじゃないだろうよ。俺だってそれくらいわかるし、無表情はいつもじゃないけど、興味がないときになる顔だ。

 いろいろと訴えたいことはあるが、心の中にしまっておこう。

 そして、俺らは車に積んである着替え等を実家の家の近くに下ろし、家の中に入る準備をしていた。何もない場所での生活が始まろうとしていた。

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