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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第二章 真実と真司
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1 学校の幼なじみ

 ――八月二十七日月曜日


 水奈の中学、俺の高校の始業式だ。長い夏休みが終わり、いよいよ学期の中で一番長い二学期へと突入する。

 俺は学校に行くために学ランへと着替える。

 うちの学校は男子が学ランの女子がセーラー服と決まっている。ほとんどの商業高校は男子は学ランが多いが、うちの学ランは少しばかり独特だ。なぜか襟があるので、カラーがない。そのほかにもワイシャツが見えないという特殊なつくり。これを狙って受験しに来るやつもいるのだという。不思議だ。セーラー服は、緑の帯に黒のスカーフ。ほかは白。スカートは、水色と白のチェック柄。意外と、デザインには力を入れているらしい。



 いつもと同じような朝を迎えている俺なのだが、水奈と言う妹の存在がでかいのは確かだ。朝は少し忙しく、顔を洗ったり支度したりしているわけで、着替える時もそこらへんで着替えていたのだが、今はそんなことはできない。妹と言う女子が家の中にいるのだから。

 朝食を食べた後に洗面所で顔を洗おうと思っていると、水奈が先に洗って髪をとかしていた。女子には大切なことだといえることだ。今後は、どのときに使うかを決めといたほうがスムーズになるだろう。

 HRに遅れると困るので、着替えようとしていると水奈が提案した。


「そういえば、私とお兄ちゃんが着替えるところを考えた方がいいかもしれないね」

「そうか。俺は普通にリビングで着替えるけどな~」

「そうだけど。私はどこで着替えればいいのよ。二階まで行く必要があるわけ?」

「先に着替えてから降りてくればいいじゃないか?」

「それはそうだけど」


 何が言いたいのかは俺には理解ができないが、着替えてから朝食を食べるのが嫌なのかもしれない。でも、トイレ行って、部屋に戻り着替えるのはできる。うちには二階にトイレがあるので、そこを使えば楽々着替えることができるが、俺は部屋に戻るのがだるいので、一階のトイレを使って、制服を持ってきて着替えるようにしている。

 年頃の男子と女子の関係は複雑だ。学校でもそうだが、家でもそうなる。ストレスがたまるかもしれない。下着などを見られてたりして、不快になるかもしれない。


「そうなんだけど、面倒だし、兄弟になったんだから、下着くらい見られてもいいかなとか思っているんだけどな」

「そ……そうなんだ。いいんじゃないか」


 なぜか知らないが、動揺をしてしまった。さすがに下着を見ても平気だというようなかつ言をされると俺的には少し動揺してしまう。それに、そんな刺激的なものを見てしまうとやばいことになりそうな気がした。水奈は俺が動揺しているのに気が付いたみたいで、


「意外と気にするんだ。じゃあ、私のボディーは意外と魅力的なんだね」

「そうだよ。それは女なんだし、お前はそこまでふとっていないし魅力的な気がする。だから、中学の男子とかは好きになったりするんじゃないか?」


 不意にそんなことを言われて照れてしまったのか、顔を真っ赤に染めていた。


「大丈夫か。赤くなって。照れてるんじゃね――か?」

「そ……そんなわけないでしょ。何で、照れるのよ。モテモテなんだから」

 

――それ自分で言っちゃう。それはないと思うけど。


 俺は少し自分で自画自賛してしまうことについて、問題があるように感じた。普通に考えて、そこは自分のことをそんな風には言わないだろう。でも、水奈は自分でそう思っているナルシストにでも分類されるのかはわからないが、そうなるだろう。

 あまりにも残念な妹だとここで証明ができてしまった。惚れそうになった俺がバカに見えてきた。哀れなのは自分だと。


 家を出てから学校に向かうまでそんなにはかからないが、自転車通学をしている。徒歩でも普通に行ける距離なのだか、時間がかかると思い、自転車通学申請書を出したところ、普通に許可され他のと言うのが今の現状と言うものだ。

 校門に立っている教師に挨拶をしてから、駐輪場に自転車を止めて、校舎へと向かうわけだが、うちの学校は校門から左が駐輪場で左が駐車場に当たる。そして、目の前が生徒玄関と来賓・職員玄関となる。そして、校舎内に入ると、一階が商業科一年と情報処理科一年、二階は職員室や特別教室。三階は情報処理科二年と商業科二年となり、四階が情報処理科三年と商業科三年と言う感じで構成されている。非常にわかりやすい別れ方ともいえる。

 俺はその中で三階の商業科二年になるわけだ。俺のクラスは二年一組。

 教室のドアを開けてみると、まだみんなはいなかった。そして、時計を見てみると、いつもと同じ時間なことに気が付いた。


 ――八時二十分


 いつもなら、みんな集まっている時間だ。それなのに、なぜかいない。もしかして、今日は休みなのか。と思いきや、続々と教室に入ってくるのがわかった。そして、幼なじみの井坂真司いさかしんじに問いかける。


「何でこんなにも遅いんだ?」

 すると、真司は何もしらないのかとため息をつきながら、話し始める。

「それは、東武スカイツリーラインが人身事故の影響で遅れて、そして、バスも遅れが出たからだよ。知ってるだろ。俺はバスを使ってきてるって」

「まあ、知ってるけど。だから、お前も遅かったわけね」

「そういうことになるかな。だから、おそくなったということだから」

「なるほど」


 すべての謎が解き明かされた時であった。電車が遅れて、バスがその時間に合わせたということだ。単純なことだが、電車を乗らないからわからないだけだ。

 


 HRが始まる時間となり、担任教師が入室。

 担任は男で数学の担当だ。そんなには怖そうな顔をしていないが、怒るとものすごく怖いと学校中で恐れられている人が担任になるなんてふざけてると思う。

やるんだったら、学年主任でも『やれや』という話だ。担任はすべてを把握できていない俺らに向かって、鋭い線で語り始める。


「これからHRを始める前に、少し話しておく必要があることを言っておく。いいか、聞けよ。この学校中の時計が動かなくなってしまった。要するに、こしょうだ。そのため、午前で授業は終了で放課となる。その分、課題が出るかと思うが、しっかりやってこい。以上だ」


 いつもと同じ口調で話す担任。何かと上から目線で物申すから、イラッとするときもある。

 俺らは本当なら五時間だった。だが、時計の故障のおかげで、短くなった。それに、中学校も五時間になったらしい。忙しいとか言ってた覚えがある。今の学生は大変だということだ。

 


 HRが終わり、真司が俺の席の前の椅子に腰を下ろした。


「それにしても、まさか、時計が壊れるなんて思いもしなかった」

「だな。俺も意外だと思ったくらいだ」


 そういえば、こいつは意外とイケメンである。運動系と言う顔をしながら、あまり運動は好きではないという。でも、女子からモテるようで、告られる回数を聞いたときに驚きを隠せなかった。


「なあ、和孝。今日は早く帰れるな。良かったよな、こんなに早く帰れるなんてさぁ」

「まあな」

「そういえば、妹が来たんだって。どんなんだよ。」

「それが、うるさい妹で、なんというかね」

「別にいいじゃないか。うるさいくらいで。邪魔はしてこないんだろ?」

「いや、意外となんか、どこかに行きたいって、駆り出された」

「別によくないか。遊びに行くらい」


 真司から見ればそんなものだか、俺から見れば納得がいかない。俺に対しての勉強は将来の実績に関わるものだと思うからだ。そのほかに、後々使うことになるからだ。普通の人kら考えれば、そこまで大切なものだとは考えないだろう。

 普通に話している俺らを遠くから見ているたったひとりの女子がいた。俺と目が合ってしまい、目をそらされてしまった。


「おう、あいつか。中学から一緒の桜間華音さくらまかのんだよ。知らないのかい? 同じクラスになったことだってあるというのに」


 俺はあまり周りを見ていなかったのかもしれない。中一・中二は不良で気にしていなかったし、中三では勉強のことばかりで周りを見ていなかったようにも感じるし。


「それよりも、話しかけてきたら、お前と話したいような顔をしてるから」


 真司は俺の背中をたたいて、彼女の方へと連れて行かれた。


「ほら、和孝。華音と何か話してやれよ」

「わかったよ。初めまして、飯島和孝って言います」

「知ってます。あなたは私と同じ中学の高前市立東西中学でしたね?」

「そうだけど。あまり周りのことを気にしてなくって、同じ中学の子がこのクラスにいたなんて、思わなかったんだ」

「ですよね。私みたいに影が薄い子なんて興味ありませんって顔をしていますもの。気づかれない方がよかった方の人かもしれません」


 マイナス思考な感じが漂っている子なのだか、本当はどんな子なのかが探りたくなってしまった。それに、同じ中学の子なんだから、仲よくしてないといけないと思っているからだ。


「そんなことを思わないで。俺なんかでいいなら、友達になるけど。どうかな?」


 華音は言葉に詰まったし、顔を赤らめた。熱でもあるのかと思うように。


「そんなことないです。ぜひ友達になってほしいと思いますけど」

「そうか。それより、同級生なんだから、敬語はよしてよ。距離感を感じるからさぁ」

「そうですか。じゃあ、普通に話させてもらいます。よろしく、和孝」

「いきなり呼び捨てかよ。まあ、いいけど。俺も呼び捨てにしているしな。こちらこそ、よろしく、華音」


 その時、俺は華音と言うかわいらしい美人と友達になった。そして、その子はロングでポニーテールをしていて、どこからか懐かしいような気持になった。もしかしたら、中学の時にあっているのかもしれないと思ったからだ。

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