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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第六章 旅行と家族
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1 家族でお買い物……

 冬休みの一週間が過ぎた。今日はまさかの大晦日になっていた。あともう少しで冬休みが終わってしまう。なんとなく悲しい気持ちになった。


――十二月三十一日


 今日はみんなで大晦日のそばを買いに行く。家にはそばのストックがない。いつも食べないので買わないのだ。だから、今日は母親と水奈、華音と俺で買い出しと言うわけだ。なかなか、四人でのお買い物と言うのはしたことがない。

さすがに、俺の母親ともお買い物をして、仲良くなるためでもあるが、もしかしたら俺よりも仲がいいかもしれない。

 ちょっとしたところにあるスーパーに自動車でも向かう。その自動車と言うのが、トヨミのグランドスイートと言う。八人乗りの自動車で、少し高級ともいえる。

 車の中ではいろいろな話が始まっていた。


「そういえば、和孝は誰が好みなの? お母さん知りたいな」

「かわいげに言うなって。誰ってどこの中でだよ」

「それは……、決まってるじゃない。華音と水奈と麻衣ちゃんと優梨愛ちゃんのなかでしょ?」


 ――やはり、鋭い勘をしていらっしゃる。さすがだよ、お母さん。

 俺は母の勘の鋭さに驚かされる。いつもこの勘で、いろいろと当てられるものだ。


「そうなの? 知らなかった。お兄ちゃんは私をその候補に入れてるなんて」


 水奈は俺の候補内に入っていることにびっくりであったほかに、顔を赤くした。


「そうね。確かに、私もびっくり。好きな人なんかいないなんて思ってたくらいだもの」

「ちょっと待て、それどういう意味だ。俺には恋愛の一つや二ついいだろうよ」


 俺の発言に華音は笑った。俺はどこまでガリ勉の扱いになっているのかを理解した瞬間であった。


「そうですか。俺はガリ勉でよかったということですかね」

「そんなこと言ってないじゃない。ただ、和孝が変わって、よくなったと思っただけ。私にもチャンスがあるということでしょ。ウハハハハハ」

「華音。お前、本音が漏れてるぞ。そんなこと言ってもいいのかな?」

「どういう意味よ」

「そのままに意味だ。理解しろ。頭があるんだから」


 言い合っている俺らに母はとても強烈な言葉を浴びせる。


「仲がいいのね。やっぱり、二人はお似合いなのかもしれないね」

「そうじゃない。俺は思っていないし、好きとも言っていない」

「和孝、何照れてるのよ。私もお似合いでいいかもって思ってるんだから」


 自分で言うのもどうかと思う。普通は、言われてからだろうと思うが、こいつには関係なさそうにも感じる。自信があるような気がするし、それになぜこんなにもウザいと感じるのであろうか。不思議でしょうがない。

 車に乗っている間に景色が変わっていた。都心と言う感じの風景が車の窓には映っていた。


「なんか、都心に来たという感じがするような気がするな」

「そうね、私も家の周辺が少し田舎だということを思い知らされたような気がするもの」


 確かに華音が言うように、都心と言うような密集地ではないのは確かだ。マンションが多く、そこらじゅうに道路が走っていて、大型店が並ぶ場所とは違う。少し落ち着いた東京と言う感じなのである。


「それよりお兄ちゃん。この辺ってどこなの?」

「それは、上野あたりかしらね。アメ横とかがあったり、山手線が走ったりするでしょ。そういえば、この辺にあるのよ。安い隠れた名店がねぇ」


 母親が仲介に入り、水奈に説明をしていた。母はもうすぐ着くといっていた。どこなのだろうか。俺も始めてくるので、何もわからない。

 誰も来たことがない隠れた名店とはどういうものなのか? 車の置き場所を考えているのか、そこらじゅうを見わたしている。


「それじゃあ、このパーキングでも止めるとしますかね。ここに止めないと止める場所がないからね」


 確実に毎回来ているようだ。仕事をしている帰りにでも寄ってくるのかもしれない。

 パーキングに止めた車から二人は降りて、周りを見わたす。


「やっぱり、都会と言う感じがする。上野あたりに来ると、電車の割合が違うね。うちの近くじゃ、JRとか走っていないし、ここまで人も多くないじゃない。だから、よけいに都会に感じる」


 少ししか変わらない場所にあるのに、山手線や中央線とかが近くに走っていたり、最寄駅があったりすると、人口の割合や利用者が違うことを認識した。そのほかには駐車場の少なさ。

 荒川区あたりにはそこまでの電車が走っていない関係で、少しは駐車場と言うものがある。だから、この辺にあまりないのは少しばかり不便だと思ってしまう点だ。でも、それを電車がカバーしているということなのだ。

 よけいなことを考えている間に、隠れた名店まで来ていた。


「ここが、隠れた名店とも呼ばれるスーパーヨイウチよ。アメ横を過ぎた場所にあって、大通りからか見ずらいと言うことであまり人は多くないの」

「そうなんだ。だけど、あそこにある野菜が安いような気がする」

 指をさした俺の先には段ボールででっかく値段が書かれていた。

「本当だ。こんなにも安いのを見たのは初めてかもしれない。水奈もそう思うでしょ?」

「そうね。私もこ――んなにも安いのは見たことがないっというのはうそです」


 昔に見たことがありそうな雰囲気を出している。親戚の家にいるときに来たことがあるのだろうか。それとも、家の近くにこのような場所があったのか。俺にはそんなことは関係ないが、何となく考えてしまう自分がいた。


「それじゃあ、母さんは買い物してるけど、どうする? 近くをまったりする?」

「どうするかな。そういえば、近くにビックメガ上野総本店があったような気がする。そこでも見に行くかな」

「じゃあ、私も行くよ。和孝と一緒に時間でもつぶすことにする」

「私もそうする。お母さんはゆっくり、買い物でもしていてよ」

「わかったわ。じゃあ、気を付けていくのよ」

『うん』


 母の言葉に三人の声がハモった。そして、俺らはスーパーを後にして、ビックメガへと急いだ。

 俺らが目指しているビックメガと言うのは、関東最大級の家電量販店なのだが、飲食店や書店などと言ったものが入っている総合百貨店ともいえる。それが、最近上野にオープンしたというのを、CMとかで聞いたことがある。

一度も行ったことがない場所なので、行ってみたいとは思っていたが、こんな時に行けるなんて思ってもみなかった。それに、時間をつぶせるということなので、ゆっくりとみている時間もありそうだ。


「やっと、来れたぞ。このでかい百貨店な家電量販店にな」

「そうね。私も行ったことがなかったし、いい機会じゃないかね」

「確かに。私も楽しみだもの。初めての場所って」


 三人とも心の中はウキウキで仕方がない。それもそのはず。

 高層ビルと言う感じで都会を感じさせる全面ガラス張りの百貨店は七階建てで、七つのフロアーに分かれているみたいで、一階から四階まではビックメガ上野総本店で、五階は書店、六階はフードコートで七階はレストランとなっていて、屋上には植物園とかあったり、ゲーセンがあるみたいだが、どのようなものなのかはわからない。


「そういえば、このビックメガと対抗している場所があるよね?」


 水奈は少し疑問になったことがあったようだ。確かに、毎日のように『~電機』とか流れているからだろう。疑問を持つのは普通のことだ。


「それはな。現代社会で勉強したが、北関東にはYKKというのがあるらしいよ」

「ないそれ~。私、まだ高校生じゃないから知らない。何かの略の形なのかな?」

「その通り、水奈。これは店の頭文字をローマ字にしてあるだけ。だから、Yはヤマダ電機、Kはコジマ電機、もう一つのKはケーズ電機と言うわけ。そして、なぜ『YKK』の順に並んでいるという理由はわかる?」

「う~ん。わからない。だって、その電機店の本店的なものを知らないもの!」


「だろうね。私も授業を受けてびっくりしたくらうだもの。


 簡単に言うと、群馬、栃木、茨城と言う順に並んでいるの。だから、『YKK』になるということなの!」

「へぇ――。そんなのがあるんだね。高校の勉強は深いかも」

「確かにな。だけど、その分面白みがあるかもよ。だから、今のうちからいい高校に入るために勉強しておいた方が後々、後悔しなくって済むからな」


 水奈には効果ありそうな言葉だが、心の中に響いたかなんてわかりっこない。響いているのかいないのかなんてわからないが、俺的には響いてほしいと思っているまでだ。


「まあ、さすがに冬休みは勉強つもりだけど、わからないときは聞くからいいもの」

「そこはえばることではないだろう。まあ、俺らもできることはさせてもらうから、安心して勉強すればいいと思うよ」

「そうね。水奈は私たちがビシビシと鍛えるから覚悟することね」

「意外と大変そうな気がするのは私だけかな。マジで頑張らないと」


 水奈には志望校に合格をしてもらいたい。俺らみたい……。それに国立学園付属常磐高校に合格をして、同じ学校で過ごせば楽になると思うからだ。なぜなら、何かあれば俺らがいるという安心感があるからだ。自分から手は出さないだろうと思っているが、それは何とも言えない。

いつどこで、手を出すなんて予測不可能。考えただけでもやばい。


「和孝? 何考えてたの?」

 華音に呼ばれていることに今、気が付いた。そして、二人はもう店内に入る手前で待っているという状況であった。俺だけが取り残されたという感じであった。


「早くしようよ、お兄ちゃん」


 水奈は妹スマイルでおびき出す商法に出た。


 ――そんなことには乗らないぞ。


 自分で敵対心を持っているだけの廚二病になるところであった。それにしても、周りからの視線が痛い。そんな人たちの心の中には『リア充爆発しろ』とかあるのだろうと哀れの目で見てやることにした。


 ――本当にこの国の奴はやきもちと言うのが多いな。俺が姉妹に囲まれていい気分なんだろうという雰囲気出しているのか? 

あまりにもそんなことは思ってはいないことを悟れ。


 言葉として表していない以上、それは無理だろう。だが、充実しているような雰囲気は悟ることができるのであろう。人間の嫉妬と言うか、そのようなところはあまりにも情けないようにも感じる。

 いつの間にか、俺は店内にいることに気が付く。考えている間に自動ドアをくぐったのだろう。


 ビックメガと言う店は信じられないほど、大きいものであった。膨大なフロアーには部レート的なものが天井にかかっていて、とても場所がわかりやすいような設計になっていた。その中で華音たちが行くことにしたのは、イヤホンやバッテリーと言うものが売っている『携帯周辺機器』の所であった。


「わ――。こんなにも売ってるの! さすがにでかい店は違うね。私がほしいものがあるなんて」

「そんなにも興奮する者なのか?」

「それはするわよ」


 華音は目を輝かせながら、受け答えをするのであった。なんか、俺には興味ないという感じと、話しかけないで雰囲気が漂っている。

 そして、隣でバッテリーを見ていた水奈に話しかけてみた。


「ねぇ。なんか、ほしいものが見つかったのか?」

「それが――、あったの。バッテリー。高校に進学すると携帯とか持って行っていいところとかあるらしいけど、充電できないからバッテリーを買うの。そうすれば充電が亡くなるまで使い放題だから」


 まだ受験もしていないのに、高校生活のことも考えているなんて、あまりにも早すぎるし、今後はどうなるのなんかわからないのにと言う俺のささやきなんて聞かないだろうと自分で決めつけてしまった。


「さてと、俺は何を見るかな?」 


 俺の家にはパソコンがあって、変えかえられたらいいなって思っていた時期なのであった。


 ――じゃあ、パソコンの売り場でも見に行くかな。


 俺はプレートを目印に、目的地へと向かうのであった。

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