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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第五章 麻衣と姉妹
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8 絆はいつもそこにある

 まさかの優梨愛が、高山情報高校の校長の娘であることを知った和孝は意外な顔をした。 あいつが、校長の娘だということには、俺の脳でもわからなかった。

 だとしても、学校の名前が高山だということに気づけばよかったと思ったくらいだ。

 なんだか、悔しいように感じる。気づくことができなかったことにだ。

 多少のことはたどり着いてきたけど、真実までは暴くことはできない。

 探偵ではないのだから。

 


 現実は謎だらけなのだ。何もがすべてが、思うとおりに行くことはあまりない。日本の場合に関してはそうだ。外国ではわからないことだが……。

 俺は考え事をしているときは無言だ。何があっても、話すことはない。

 今いる場所がどこだかも忘れた。



 ――二年一組の教室。


 俺は真司と一緒に話している。渡り廊下で話しているときにあんなことを知ることになるなど、誰かが予想をしたことなのかと思ってしまう。

 でも、優梨愛の姓名と学校名が同じだということには少し疑問を持っていたけど、確実だということがわからなかったから。

 真司は考え込む。


「どうして、明かさなかったんだろうな。おれたちだけでも言えばよかったのにね」

「それもそうだけど、事情でもあったんじゃないか。あいつは意外と話さないタイプだと思うぜ」

「やはりそう思うか。俺も思っていたんだ。昔にさぁ、あいつは喧嘩して負けて、泣いていたことがあったんだ。その時に、『私は強くなってやる』と言いながら、家に帰った。だけど、あれほどのことがあっても、何事もなかったように過ぎてしまった。けがをしていてもだ」

「おかしいな。母親とかが、出てきそうなんだけど」


 俺はこの話は知らなかったけど、真司は優梨愛とかかわりがあったみたいだ。それも、小学校の時の話。

 確かに、あの優梨愛は男っぽいところがあるけど、それが原因だということがここで、わかったような気がする。

 たとえ、何があっても、負けないというところはそうかも。それで、少しぐれたのだということも分かる。家では何も言えなく、学校では友達とトラブル続きの毎日。精神も壊れていくだろう。

 毎日が耐えられなくなり、悪い道へと進んだようにも感じる。父親が校長ならば最もだ。

 それにしても、最近は試練と言うか修羅場に近づいているようにも感じる。

 俺の決着と言うかつけなければいけない時なのだろうか。

 俺はなんか、変な感情になっていたことに気づいた。立ち入れなくてもいいところに。

 優梨愛が高山情報高校の校長の娘でも関係ない。あくまで、かたがきなのだから。



 授業を終えて、昼休みになった俺は、久しぶりに屋上へと向かった。真司と華音と優梨愛で。

 駆け足をしながら、三階から階段を上り、四階を通り過ぎて、屋上へと向かった。

 ドアを開けると、そこには誰もいなかった。いたのは、悠馬と麻衣のみだった。

 俺は疑問に思った。なぜ、この場にいないのか。それは、驚きの真実だった。

 誰も入れないというか、休み時間にあまり来ないことを知っていたのだ。俺はどう見てもおかしいと思ったが、真実らしい。


「それにしても、誰もいないよな」

「そうね、誰かが一人くらいはいるかと思ったのになぁ」

「そうだね。私だって、思っていたもの」


 すると、麻衣と悠馬はうなず見ながら、


「昔ねぇ、屋上は出入り禁止だったんだよ。それで、あまりにもまじめな人ばかりがそろった学科だからね、ここには放課後以外はいないんだ」


 悠馬は語る。普通科のことを何でも知っているかのように……。

 俺らはびっくりだった。この学校がどれだけ甘いかが分かった瞬間だった。

 何かを捜すために来たのだということは、このときはわからなかった。

 でも、わかったことがあった。どんなことがあっても、優梨愛は優梨愛であることを……。

 休みの時間になぇ、ここに来たのかと言うと、弁当を食べるためであった。

 俺と真司と優梨愛、麻衣、悠馬は皆が、弁当を持ってきていた。ここに集まることを理解していたのだろうか。

 俺はなんだか、うれしくなった。言葉ではなく、友情で通じるものがあることを。そして、俺らは昔から、いや、学校が移転してからできた絆があることを、このとき理解できたのかもしれない。

 俺らは昼食をとることにした。みんなで輪になり、ドア側の方から左に、俺、華音、優梨愛、真司、麻衣、悠馬。

 仲よく、昼食を食べているのはここだけだった。屋上に輝く、丸ができたのは、絆があったこそのことだ。

 恋愛の問題以前のことである。俺らは、修羅場を頑張って、通り抜けて行っている仲間なのだ。

 それは、とても美しいことなのだと。これを見ていた人はどう思うだろうか。この屋上を解放させた本人がいることなど、この場所にいる誰もがわからなかったことだろう。

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