5 あまりにも情けない男
放課後の話しである。俺は華音と久しぶりに帰ることにした。
でも、優梨愛がやってきて、邪魔をしようとしている。
「ねぇ、私と帰ろうよ。いいことができたりするかもよ」
こいつがいうことは、ほとんどが下ネタ系なくらい同じ中学なのだから知っている。
前よりも変態の階段を上ったように感じる。
そのうち、なんかおこしそうで怖いのだが、女子だからどうにかなるかもしれない。
俺には願うことしかできない。こいつがちゃんとした階段を上ってくれるという感じでだ。
他にも方法はあるのだろうけど、なかなかできることではない。
自分から上ることをしてくれるように応援することにした。
俺は頭の中で考えていると、
「和孝。どうしたの? ボーッとしちゃって」
「なんでもない。ただ、いろいろとかんがえていただけなんだ」
その時、優梨愛が乱入。
「もしかして、エロいことでも考えていたんじゃないでしょうね」
「そんなわけあるかっ」
俺はいつも疲れる。相手にするやつが普通の人間ではないからだ。
しょうがないことなのだが……。
華音はやり取りが気に食わなかったのか、言葉で攻めてくる。
「でも、和孝のことだから、考えていそう」
さすがに、一緒に住んでいる華音に言われるとショックだ。
俺がそんな男にしか見えないことになる。それに、変態キャラがしみ込んでいることにもなってしまう。それだけは避けたい。俺は反抗する。
「何でそうなるんだよ。まったく。みんなして俺を変態扱いにしやがって」
「だって、そうにしか見えないんだもの。しょうがないじゃない」
「そうですわ。完全にそうにしか見えねぇ――んだよ」
優梨愛に言われたら、僕困っちゃう。
頭はおかしくなったみたいだ。今まで以上になぁ。俺は少し禁断の言葉を言う。
「じゃあ、俺は一人で帰るから。二人で帰ったら」
と言うと、あの二人は少ししょんぼりしていた。そして、口げんかが始まる。
「お前があんなこと言うからだろ。このブスめ」
「違いよ。優梨愛があんなこと言うから」
俺的に考えれば、二人とも自業自得。あまりにも悪い言葉をかけすぎた。
少し反省でもしてろと言う気持ちだ。
「それじゃあ、俺は帰るから」
と言って、全力で自転車をこいで、裏道を通って家へと向かうのだ。
家については、またもや試練。水奈さまのお帰りだ。
――って、時代劇のお姫様かっ。
と自分の心の中で突っ込む。最近多くなってきている。
俺もあまりにも自分が切なく思う。
とりあえず、玄関からリビングへと行き、飲み物でも飲む。そして、俺はいきよいよく飲む。
「それにしても、おいしいなぁ。五つ星サイダーは……」
俺と一緒に玄関からリビングへと来た水奈が言う。
「そうかな。人それぞれだと思うけど。私は炭酸が強すぎだと思う」
水奈は嫌な顔でいう。
こいつは、炭酸が強いコク・コーラとか、ペプリコーラとかが飲めないというより、無理らしい。炭酸が強くって、いやらしい。
確かに、この三つは炭酸が強いが、サイダーに関してはとてもおいしい。いい水を使っているだけあると思う。
今日は水奈の調子がおかしいのか、なんか変なことを言う。
「サイダーはおいしい心をゲッちゅう。あなたの心は私がゲッちゅう」
俺はなんとなく、
「されてたまるか―――」
と言ってしまった。そして、水奈が反応。
「されなさいよ。私が奪うのだから」
「答えになってねぇ―――ぞ、相変わらず」
「知らない。どぶにおちてさぁ、焼かれて死じゃえばいいのに」
俺はこんなことを言われると、気分が悪い。
「うるせっ。お前こそ、そこらへんで、焼かれて死ねぇ――」
「はぁ――。あんたにいわれたくないわッ」
なんとなく、小学生レベルの言い争うになり始めた。俺のなんか情けない。
「じゃあ、俺は死ねばいいんだな。一生会えなくてもいいというならいいぞ」
俺は思い切って行ってしまった。今は後悔している。
「そ、それは。ダメだよ。私は今のは冗談だったの」
「そう。意外と真剣だっだけど」
と言われて、すこしむきになったみたいだ。
「なんなのよ。本当に嫌な男」
「嫌な男でいいよ――だ」
年下に言う言葉ではないだろうと後悔した。でも、このくらいは言わないとわからないだろう。
水奈はリビングをいきよいよく出ていき、階段を上り二階へと行った。
俺は最低な男だと思った。あんなことしか言えない情けないやつ。
そして、勉強以外できない使えない奴。本当に自分のことが嫌になる。
こんな不安定な状況で、誰か一人を選ぶことなどできない。できたらいいなとしか思えない。
だから、女子がいっぱいになって、選択ができなくなってしまうのかもしれない。
自分に正直になろうと思った瞬間だった。




