3 転校生が問題の同級生!?
水奈の機嫌が直らず、一週間。
俺はどうすればいいかわからないまま、日常を過ごしている。
――俺はどうすればいいんだ。誰か教えてくれ―――! それと、神様俺をどうか救ってくれ―――!
と言う感じで、心の中はむしゃくしゃしている。
どう見たって、喧嘩してるようにしか見えない。
俺は何もしていないのに……。
女子のことなんか全然わからない俺だからこその悩み。
世界中のリア充。俺に対処方法を教えてくれないかとお願いしたいくらいだが、そんなことをすればやばいことになるだろう。
さて、やばいことは想像に任せて、俺は学校へ行く準備をすることにした。
「華音。もうそろそろ行く時間だぞ。早くしろよ」
「わかっているよ。今行くから待ってて」
「わかったよ。待ってるからな」
俺の日常と言うものはこんなものだ。
華音は意外と朝が苦手であり、俺がおこしに行くがそれはやばいことにもつながる。水奈が睨んでくるということだ。
あいつは、もともと朝が苦手ではないので、普通に起きられる。だけど、姉である華音のことなど知らない顔をして学校へ行く準備をするのだ。
俺から見れば信じられない光景だが、高校生と言うことなので俺がおこせということだろうか。
そんな感じで、いつも過ごしているが、なんか今後は違うようにも感じる。それは学校が移動するということだ。
だが、今は
――十一月十二日。
まだまだ余裕はある。それと、この学校のほかにも商業科が来るということだ。
噂によると、相当広い敷地に校舎が三つあるということであり、大学まで存在するということだ。これは目指している徳作経済大学よりもこっちの国立学園附属大学の方がいいのかとも思ってしまう。
そんなことで、あともう少しで新校舎へと移動して勉強するわけだが、なんか落ち着かない。
いきなり、いろいろな問題が多すぎるということだ。
水奈の件といい、学校の件と言い、重なってくるとはさすがに体力がいくつあっても足りないかもしれない。
それでも、この場を突破しなければ、どの解決にもつながらない。これが大きな問題かもしれない。
学校のことはどうにかなるが、水奈に関しては家族であり、一番大変かもしれない。それだけは覚悟しないと……。
ホームルームが始まり、先生が妙なことを言い出す。
「そういえば、転校生がきた。急ではあるが、仲よくしてもらいたい。忙しい時期ではあるが、どうかいろいろと教えてくれ」
そう話すと、一人の少年が質問する。
「その子って、男ですか女ですか?」
「女だ」
――なんだこの盛り上がりは、どんだけ女が好きなんだよ、こいつら。
でも、女はあきれた状態。敵対心でもあるのか。
すると、先生が教室に誘導しようとしたとき、俺は呆然としてしまった。
その転校生が、俺の中学の同級生であり、仲良かった奴でもあった。
――なんで、こいつがここに転校してくるんだ。するなら違う場所に行けよ。
なぜこう思うかは、昔にさかのぼる。
中学から来たやつで、中学ではとても美女だといわれたあいつだ。俺は、そいつのせいで、男から変な目で見られるは、女からは『あんな奴のどこがいいのよ』的な仕打ちを受けるはで散々な思いをした覚えがあるが、真司だけは俺の味方だった。
それで、この学校に来たというのに、またやな思いをするのはごめんだ―――。
俺は、こんな風に生きてきて、あまりにも周りから見れば哀れだ。だから、勉強しかしないどうしようもないやつだということ。
それに、またあいつだけには絡まれたくないと思うが、どうしてもやってくる性質を持っている薬品みたいなやつ。
使い道を間違えれば、爆発したみたいな仕打ち。正しく使えばとてもいいこともある取扱説明書が必要な女だ。
やんちゃで、デリカシ―にかけてる。男っぽい。だから、外見と中身のギャップがすごいんだ。このような説明でわかっただろうか。つまり、危険な女。
先生は、席の場所の指示をした。
「じゃあ、5列目の一番前に座ってくれるかな」
「はい。わかりました」
みんなこの『はい』の時の笑顔に男性軍は一目ぼれしてしまうという。
――これはまずいな。またかかわりをもってば……。
なにかと、昔のことを想像してしまう俺であった。
ホームルームが終わると、早速第3の敵が俺の目の前に出現だ。
倒すか、逃げるかどうする俺。
――って、俺って何やってるんだ。こんな状態あるわけねぇ―――だろ――。
なんと、自分で突っ込んでしまった。なんか恥ずかしい。
と言うわけで、相手の内容とやらを聞こうかな。
――俺は探偵じゃな―――い。
また心の中で突っ込んでしまった。
すると、相手からはなしはじめた。
「おひさ、和孝。元気にしてたか。それにしてもこの学校にいるのは意外だな。この学校は中学では行ける奴が少ないとか言って、2人しかいなかったし。てっきり真司とほかの奴かと……」
ちょっと、こいつのボケにはいつも驚かされる。
「ほかの奴って誰だよ」
「あいつだよ。山浦基一」
「あいつはお前が思っているより、成績がいいわけではないぞ」
「そうだったのか。てっきり成績が和孝よりいいかと思ったのだが、残念残念」
ちょっとやめてもらえませんか。俺は最初のころとは違いますよなんていいたい気分。
「おい、その残念残念とはどういう意味だ。おれがバカだというのか?」
「決まってるじゃん。もともとバカなんだし」
――お前だけには言われたくなかったよ。おれより勉強できない奴には、そっちの方が残念残念。頭の脳みそが溶けてしまったのか。理解能力がなくなってしまったのか。
本当に残念だと思う。
「それより、お前は見た目と中身のギャップが激しいんだよ。なんだよあの笑顔は作りもんか――」
すると、第3の敵は反論。
「そんなわけないじゃん。私の本当のえ・が・お」
おいおい、それはないだろ。もうイメージが崩れるからやめろ。
すると、いきなり尋ねてきやがった。
「そういえば、私の名前覚えてる?」
「とっくの昔に忘れたよ。だって、記録を置いてきたからな」
なんかムキになった。
「じゃあ、覚えてよ。私は高山優梨愛だよ。覚えておいてね」
「はいはい。そうします」
俺はあきれたように言った。
授業が始まって30分後のこと。なんか前で合図をしている。俺は2列目の前から3番目。
――その合図。凄く目立つから。恥ずかしくなってくるからやめてくれ――!
こんなことを思ってしまうほど、恥ずかしいことをするやつである。
だから、デリカシーにかけてるといわれてしまう。女とは見えない。
俺は、こいつの行動と言葉にいつも疑問を持つが、それがいいことなのか悪いことなのかわからない。
だけど、マジで、恥ずかしいのはわかる。そんなように、今日1日を過ごしたのだった。




