1 現実はいろいろと大変なのだ!
二ヶ月たったある日のこと。家に華音がいることも慣れてきた。
今までよりも、気にはならなくなり、いい感じ。それに、華音が水奈を見てくれとあって成績は夏休み前に戻り、俺は本当に良かったと思う。
だけども、来年の一月には完全に移転となる学校。
俺はどうなるのか全然予想付かない。
それに伴って、十二月より、一か月間は新しい校舎になれるために、仮で新校舎へ通うことになる。
だけど、ここからはそんなには遠くはないという。
それに、今まであった土地に行くというわけもなく、旧校舎の場所は畑になって、新校舎は畑だった。
そんなわけで、新校舎の土地を持っていた人が、旧校舎の土地と交換したわけだ。
その真相は、俺たち生徒にはわからない。だけど、そうらしい。
俺はそんなことは気にしていない。俺が気にしていることは、国立になると、普通科があるとある学校と商業科がある常磐高校が合併と言う形になって、新校舎に入るということ。
なぜ、情報処理科が違くしたかは、中高一貫にするためだという。
今まで普通科がある学校には、公立で中高一貫がなかったので、国立になることによって、そうするらしい。
なんだか、相当大きい学校になることが、これだけでもわかる。
俺は、新校舎に行けることは楽しみ。どんな施設がそろっているかという面。
それが一番の楽しみだ。
学校へ二人行くことになった。
俺と華音だ。なんだか、恋人同士みたいに見える。
だけど、自転車通学。
俺と華音はいつも通りに学校へ向かい、ついた。
すると、教室へ行くと、なんだか変な噂が回っていた。
「「あの2人って付き合ってるんでしょ。それで同じ屋根の下で暮らしてって、キャッ――」」
変な噂のせいで、俺は気まずい空気にさせられているのが、すぐさま感じ取れた。
それに、華音の顔が赤い。
なせだか、俺にはわからないが、女子からは冷やかしがある。
でも、俺は気にしないが、華音がどう思うか気になってしまった。
昼休み。華音はいまだに女子からの冷やかしにあっている。
――女子ってひつこい。あそこまでする必要はねぇーだろ。まったく。
なんだか、ふざけているようにも見えるが、しょうがない。そのような人間は人を馬鹿にするしかない。俺は、昔に経験済み。
だからこそ、まじめに勉強している自分がいるとここで思った。
いやな黒歴史を思い出してしまったが、それはそれで良しとしよう。
そんなことで、俺が話しかけようとした途端。
俺は声をかけられた。真司だ。
なんだか真司は元気がなさそう。
「どうした?」
「俺の話を聞いてくれるのか?」
「あったりまえだろ。友達なんだだそ。それに俺はいろいろとたいけんしてきたんだ。いくらか参考になると思うけど……」
「そうか。じゃあ、ちょっと来て。さすがに、ここでは言えない。」
「わかったよ」
俺と真司は教室を後にしたが、どうしても華音が心配だが、友達の悩みを聞いてやらなければしょうがないと思い、俺は願った。
それで、俺が連れてこられたのは、屋上だった。
いつも来ているが、なんだか懐かしいような気分になった。俺は、真司の悩みを聞くことにした。
「どうした、真司。話してくれ」
俺に言うのが、やばいなみたいな顔をしている。
「それは、俺は華音が好きだけど、華音が好きなのは、別の奴だ」
「それどういう意味?」
「それは、いつも近くにいるけど遠い人。それに、好きになる理由も分かる」
「何でだ?」
「それは、優しいし、いろいろと周りのことを考えている奴だからだよ」
俺はその人物が誰だか、特定できない。
「それに俺はプロポーズしたけど、振られちゃった。しょうがないよ。だけど、俺はその人とうまくいくように応援する気さぁ~」
「そうなのか。へ――。俺はなかなかそんなことはできないな」
「そうか。積極的そうだけど……」
――俺はそんな風に見えるのか。
思わず、そんなことを思ってしまうのは俺だけだろうか。
「まあ、そのうちわかるよ。自分でプロポーズするらしいから」
「そうなんだ。おれもその相手を見てみたい」
なぜか、真司は苦笑い。
「そうだな。いつかその顔を見るときが来るさ。すぐ来る」
なんか、いつもの真司らしくない。振られたせいかもしれない。
俺は男だ。女の子がどんなことを考えているかなんてわかるわけない。
だって、小さいときも乙女心なんかわからずに、ひどいことを言ってしまったことがあるからだ。
そんなことで、俺の昼休みは幕を閉じた。
恋愛はつらいこと、楽しいことの両方があるもの。誰だって、自分が周りからどのようにみられているなんて理解できない。
それは、自分自身が自分のことを見ることができない。鏡みたいに性格など見ることができない。
そこまで、万能ではないからこそ、楽しいこともつらいことも待っているのだから。
授業が終わり、なんかすごく疲れたような気分。そんなわけで、華音は今日一日耐えられたか心配。
それだけではない。家族として、悩みを聞いてやらなければ……。
それを使用なんて思うのは、自分自身がそんな時があったからこその行動。
人間は体験したことしか、身に着くことができないことをそこで思い知らされたのだ。
それだけ、人間はにくいものであり、体験でしか得ることができないことがあるということだ。
だからこそ、怖いもの。
それなので、俺は華音の今日のつらさについて聞きたい。
だけど、気にしているかもしれないと思うと、その1歩が出ない。
なぜだろう。恐ろしいのかもしれない。
とりあえず、悩みがないか、聞くことにした。
「今日は、つらいことはなかった」
今いる場所は、玄関を出て、駐輪場がある。それでだ。
「別になかったよ。冷やかしだけ。全然大丈夫」
どう見てもつらそうにしか見えない。だけど、よけいにあさるとかわいそうなので、遠くから見守ることにした。
それでも、俺はそれができないことに気が付いた。
俺は、どこまで華音を家族として見れるか、わからなかった。




