6 学校の事情
翌日。プレゼンの日が刻々と迫っている中、俺は普通に学校に行く準備をしていた。それでも、まだ後半の内容がすべて終わっていないと言うのが現状だ。このまま状態で終わるのかと言う不安もあるが、学校の日は普通に受けるしかない。
学校に着くと、真司が俺に合図を送ってくる。何か話があるようだ。
「ねえ、どうしよう。プレゼンの資料がまとまんないよ」
「何でだ? いつもまとめているじゃないか」
こいつはプレゼンの資料をまとめるのが得意なのだが、今回に関しては量が多すぎてまとまんないらしい。資料と言っても、五十ページくらいの内容をまとめるとなると先が思いやられるが、その作業も今日あたりで終わりにしなければいけない。
「だけど、今日中に終わらせないと、プレゼンは明日だぞ?」
「それな。俺もそれですごく焦っているところだよ。どうしようかなって」
「確かにな。俺も後半が終わってなくって、焦っているよ。十分」
「その割には落ち着いているような感じがするけど、気のせい?」
「気のせいだよ」
ごまかすことにした。確かに焦っているけど、俺はそこまでプレゼンにかけているわけでもない。勉強が大切な俺には二つ目に大切なものだからだ。それよりも、図やグラフを捜すのが大変なのは確か。俺はそこは苦戦中。とても焦っている真司を見て、吹き出してしまった。
昼休みになり、学食を頼むために食堂へと行くと、目の前には信じられない光景が広がっていた。
――どうゆうことだ~。
目の前には張り紙が貼ってあった。
『学食は改装作業に入るため、使うことができません。ご迷惑をおかけいたします』
ちょっと待てよみたいな顔をした生徒が多数いる。みんな思うだろう。俺だって思ったのだから。
「それは何で改装するかを教えてあげようか?」
どこかで聞いたことが声が響く。それは真司であった。
「何でお前が知っているみたいな」
「だって知っていることだから。こうなった理由とやら」
『なんだってぇ~』
みんなは驚きを隠せなかったようだ。
「場所が移動するんだよ。ここは違う学校が使うことになることになっている。だから、ここを改装しているんだよ」
なんも告知がないままで、進めるなんておかしすぎる。
「それに、この学校は名前が変わり、国立学園付属常磐高校になるらしいよ」
「なんだ、それ。急すぎだろ」
俺は真司が言う言葉が信じがたいものであった。
「だけどね、商業科と情報処理科なんだよな。この学校の学科は……。だけど、今度は商業科と普通科になるんだって」
「マジか。おかしすぎるだろ」
「それで、情報処理科はここにあるんだって」
「だから、いきなりすぎるんだよ。なんて不幸なんだ~」
俺は本当に頭がいかれそうでやばい。
真司の言うには、この学校は赤字で運営している公立高校で、今度は国が運営することになったから、新しい場所に移動するというもの。だけど、情報処理科はここに学校ができて、そこに合併と言う形になるらしい。それで、国立になると、設備が良くなるらしいが、あるのは商業科と普通科と言うこと。今までとは違う学校として生まれ変わるということだ。
俺は少し理解をして、弁当持参が必須だと思った瞬間であった。
いつの間にか放課後へとなっていた。そして、華音は俺の目の前にたち、俺の腕を持っていく。俺は華音に連れて行かれるままに、ついていくが、腕がものすごく痛い。ものすごい力で引っ張っているから。いつの間にか目的地に着いたらしく、ここで口を開いた。
「あのね、和孝君。私ね、今週の水曜日には引っ越しするからね」
「おうって、そんなに早くなったのか」
「そうだよ。だって、和孝君と一緒に暮らしたいから」
「そうか。仲良くなり始めたものな」
「そ……そうじゃなくて……」
華音の声は小さくって聞き取れなかった。
「なんか言ったか?」
「う……う~ん、なんでもないよ。気のせいだよ」
「そうか、じゃあその日に手伝うよ。放課後にね」
「わかったよ。ありがとうね」
「う、う――ん、いいんだよ。このくらいやらないとね」
「じゃあ、バイバイ」
「うん、バイバイ」
俺は華音と別れ告げて、家へと帰った。これからが大変なのは俺が一番わかっているのだろう。本能的に。