51 暴走する華音と水奈
お風呂から出るととても妙な気分になった。さっきのお風呂で俺のあるものがどうにかなってしまい、それを二人に見られた。
華音は顔を真っ赤にしながら反応しているのに対して、水奈は笑いながら見ていた。
『すごいね』
意味深なことを言いながらも、水奈が下半身を洗ったのであった。なんだろう、なぜこんなことになってしまったのか。
それにしても、やはり生理現象には耐えられない。違うことを想像しても、いろんな意味で体力がある高校生には無理だ。すべてにおいて旺盛なのだから。
「お兄ちゃん、さっきはお楽しみでしたね。それにしても、お兄ちゃんの〇〇〇は大きいね」
「おい、女の子が軽々とそんなことを言ってはいけないよ。それにお前のテクニックはヤバすぎる。気持ちよかったから」
「それはよかったよ。マッサージは得意なんだ。特に足とかのマッサージは一番ね。人の体って、足とか肩が凝りやすいみたいだしね」
「そうなんだ」
俺は水奈のマッサージのテクニックにやられてしまった。どこでそんなテクニックを学んだのかと思えるくらいだった。肩といい、足といい、コリが一瞬で取れていく。すべて終わったときには、体が軽いと思えるくらいだった。
まあ、この会話で変な想像をした人がいることはよくわかる。それに、足をマッサージするときに水奈の手が当たったの確かなことだ。でも、あいつは見向きもしなかった。
「それにしても、よく水奈はマッサージなんてできるわよね。私には刺激が強すぎるわ」
「いや、お前はいつもませたこと言っているのに、こういう時はダメなんだな。やっぱり〇〇か」
「いいじゃないの、別に〇〇でも。私は男に抱かれたことがないんだから仕方ないじゃない」
「おいおい、そんな恥ずかしいことを大きな声でいうものじゃないぞ。俺と水奈だけだからいいけど、学校で言ったらひかれるぞ、おい」
華音には混浴というものは刺激が強かったらしく、目に焼き付いてしまったのだろう。それにしても、ピュアな反応がとても面白い。これからのからかい道具になりそうだ。
「やっぱり、お兄ちゃんはすごいなと思った。あんなにもなるんだものね。今日は修学旅行で疲れていると言っていたんじゃなかったっけね」
「それ以上深堀するなよ。男子高校生はどんなに疲れていても、元気なものは元気なんだよ。思春期なめんなよ。あんなに魅力的なもの見せられたら、それはそうなるだろう」
空気がシーンとしたのが一瞬で分かった。何だろう、この空気は。水奈と華音ともに反応がない。というよりも、顔を真っ赤にしながら目をそらしてくる。
「おーい、俺は何か変なことでも言ったか? 俺は率直な感想を言っただけなんだけど……」
「な、何言っているの。その率直な感想が招いたことでしょ。いきなりそんなこと言われたら、わ……わたし……て……れ」
「お――い、水奈。お前って、攻めるのは得意でも責められるのは弱いってタイプか?」
「うるさいわね。少し黙ってて」
一方、華音は顔を真っ赤にしながら、笑顔でいる。
「和孝がかわいいってほめてくれた。私にも魅力があることがわかってほっとしたわ」
どうやら、自分に魅力がないのではないかと心配していたみたいだ。それにしても、今日の華音はやはり疲れているのか、すごく反応がかわいい。いつもツンツンしている人がデレるとギャップに萌えるというのはこういうことか。
でも、明日起きた時にトラウマで余計にツンツンされるのはとても危険なような気がする。早く着替えたのち、寝ることを推奨したい。
それにしても、なんでこんな状態になったんだっけな。
思い出してみることにする。完全な犯人は分かった。それは母だった。あの母親は何を考えているのか。完全に俺と華音、水奈のどちらかをくっつけさせようとしているに違いない。
なぜかって、それは楽だし、よく知っている二人ならうまくいくだろうと考えたからだろう。
「早く着替えて、寝るぞ。もう、俺は疲れているんだからな」
「そんなこと言っても、下は正直ですよ――。お兄ちゃんはやる気満々じゃない」
「うるさい。眠くなってもこんなことになるんだよ。自然と納めてやるさ」
「いいのよ。私がおさえるように頑張っても。だって、お兄ちゃんだもの。それをどうにかするのも妹の役目というものよ」
「それはちが――――う。眠いって言っているんだ。華音、お前も早く着替えて寝ろよ。明日に影響を与えるからな。いろんな意味で」
「はいはい、私はすぐに寝ますよ。和孝のあれをおさえたのちにねぇ」
「二人とも、俺の息子を見ることはやめてくれ。本当におさまらなくなるから」
そんなことを聞いてもいうことを聞かない二人から、俺は脱衣所から逃げることにした。とりあえず、俺は二階の自分の部屋へと早歩きで向かうのであった。