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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第七章 華音と和孝
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48 バス

 バス停にバスが到着した。


『このバスは、荒川都市駅経由、国立学園行きです。整理券をお取りください』


 俺はアナウンスの通りに整理券を二人分取り、キャリーケースをバスに乗せる。俺の後ろには誰もおらず、俺が乗ったことを確認した後にブザーがなった後にドアが閉まった。


『ドアが閉まります。ご注意ください』


 アナウンスの後にバスは発車した。


「いや、バスの中空いていてよかったな。この時間だと混むと思ったんだけどな」

「あれじゃない。多分だけど、鉄道ができたからバスは少ないのかもしれないわよ」


 バスには俺と華音以外乗車している人はいない。こんなラッシュ時間なのに。


「空いているのはいいじゃないか。キャリーケースを楽に持ち運びできるわけでさ」

「そうかもしれないけど……。なんか、変な感じに思っただけよ」

「そっか」


 外を眺めながら話してくる華音とその顔を見ながら話す俺。なんか、変な感じだ。バスには運転手と俺たち二人だけ。それが高校生にとってどんな意味を見出すのか。



 しばらく沈黙が続き、気まずい雰囲気が大きくなっていく。この空気は俺にとってはつらい。というよりも、日本人にとってはこのような沈黙は変な感じになるだろう。


「あのさ、修学旅行楽しかったな。破天荒なことばかりだったけど……」


 相変わらず華音は、外を見ながら反応をしてくれない。何か見ているのだろうか。俺も華音が見ている外を見てみる。しかし、そこには珍しいものはなく、なぜ眺めているのかが疑問であった。


「華音。なんか、あったのか?」

「はぁぁぁぁ」

「絶対に何かあったみたいな感じだな。少し話せば気が紛らわせるだろうよ」

「それを和孝が言ってしまうので、本当にデリカシーがないわね」

「デリカシーがないってか。そんなこと言われてもな。はっきり言ってくれないと! どんなところがデリカシーがないというわけだ」

「それくらいわかってよぉ――。はぁ、望んでいる私が悪いのね」


 華音の顔はどこか悲しそうで、思い通りにいかないことが気に食わないような感じであった。


「家に帰れば、私が独り占めすることもできなくなるのだろうし。水奈もいるし」


 華音はボソボソと何かを発した。俺には全く聞こえなくって、改めて女の子を取り扱うのはとても難しいと思ったのだった。

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