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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第七章 華音と和孝
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46 恐ろしい電車の乗り換え

  羽田空港から浜松町までやってきた俺らは、次にどの電車に乗るべきかを電車から降りて壁側にある椅子で考えた。

  浜松町の駅は乗り降りする駅の構造が乗る専用と降りる専用に分かれているため、乗客の流れに巻き込まれずに調べることができる。

  ただ、東京の電車は十分刻みで言ってしまうため、長く考えている余裕なんかない。


「早くしないと、帰るの遅くなっちゃうじゃない。ただでさえ、疲れているのに」


 少し黙ってもらえると助かるんだが。こっちは、必死で調べているんじゃーーと心のなかで思ったところで、相手になんて伝わりっこない。そんなのわかっている。でも、少しは自分のスマホを出して、乗り換え案内とか調べてもらいたいものだ。


「まだ、早くしてくれない」


 そんな独り言なんて気にしたら負けと思っている俺は、必死にスマホに表示した乗換案内で浜松町から国立学園方面に帰る方法を探している。

 そんなことは気にしないかのように、次から次へと浜松町駅には東京モノレールの電車が到着する。そこに乗っている乗客が急いで移動している中、俺らは次のステップに進めていない。


「これでどうだ。浜松町から国立学園方面って、電車つながっていないのか。違う、どこかを経由するのだろうな」


 ずっと、国立学園辺りまで行くとなると、乗り換えが多いみたいな感じであった。でも、やっと見つけた。東武都市線秋葉原経由なら、荒川都市まですぐにいけるのだ。

 とりあえず、山手線に乗って、秋葉原まで向かうことにした。


「やっと見つかったから、浜松町の改札を出て、山手線に乗るぞ」

「やっとなの。おそすぎる。こっちは待ち疲れたの。おぶってよ」


 華音は俺に近づくと手を肩にかけた。そして、胸を押し付ける。その時の俺は冷静にはいられなかった。疲れているせいか、こいつの胸に発情しそうだ。家に帰ったあとにどうしてやろうかと考えてしまうほどであった。


「おぶってってなんだよ。荷物があるのに無理に決まっているだろ。そんなに胸を押し付けたら、襲いかかるぞ」

「別に、和孝に襲われたって、困らないし。ひとつ屋根の下で生活しているんだから」

「おいおい、駅のホームでやめろよ。恥ずかしいし、他の乗客の疲れ切った目が恐ろしくこちらに向かっているだろうがーー」


 内心はとても嬉しかった。これが男の本音なのだろう。いつもは嫌がっていても、それが本当にやだというわけではないだろうな。こいつも意外と美人だし、告られたら付き合っちゃうレベルだ。

 あくまでも家族だから、手を出すのはまずいと思うが、万が一のことがあったら……。いけない、いけない。理性を保たなければ、こんな場所で発情してどうする。発情するなら家に……。何をいっているのだろうか。駄目だ、普通の思考になっていないから、変なふうに考えてしまうみたいだ。

 とりあえず、歩かせて山手線のホームへ向かうために右側の売店を通り過ぎ、階段をひたすら降りた。


「なんでエスカレーターを使わないの?」

「それは、混んでいるからだよ。階段のほうが速いしいいだろ」

「こっちは思い荷物持っているんですけど、本当にこっちのこと考えているの」

「そんなこと言ったら、俺だってキャリーケース持っているんだからな」


 そんなこと言ったところで華音の機嫌など直るはずもなく、駄々をこねている。


「仕方ない。キャリーケース貸して」


 俺は片方に持っていたケースを転がすタイプから持ち運びできるように取っ手を縮め、いつでも持ち上げられるようにした。

 そして、華音のキャリーケースも同じように持てる状態にし、階段を一段一段下っていく。本当に同しようもないやつだ。


「ありがとう。なんか、私が悪いみたいになっちゃった」

「なにかいったか?」

「なっ……何もいっていないわよ。速く行きましょう」

「本当に感謝の気持ちがあるのか」


 俺は、階段を降りて左に流れ、改札の前へとついた。そして、キャリーケースを転がし、改札付近の端で交通系電子マネーを取りだした。


「はい、とりあえず階段は通り過ぎたんだ、キャリーケースを持って」

「わかっているわよ。私も出しているんだから、ちょっとまって」

「早くしないとおいていくぞ」


 俺は交通系電子マネーを取り出し、連絡通路の改札を通り、山手線へと向かう。少しもたもたしながら、華音が後からついてくる。


「ちょっとまって、キャリーが少し重たいの」

「はぁ、相変わらず女の子女の子しやがって。こっちだって疲れているんだから、手間を取らせるなよ」

「そんな事言われても……」


 華音が下を向きながら、シュンとした顔をして見てくる。こういうときに使ってくるか。こっちだって疲れているんだし、早く帰りたい。でも、こいつのことはほっておけない。なんだろう。家族、いや、それ以上の感情か。俺も少しは気がついているんだけどな。

 俺は仕方なく、自動改札機を通った華音に寄り添い、片手に持っているキャリーケースを掴みながら、言葉を発する。


「持つから、早く行くぞ」


 改札を入って右に進み、その後突き当りを右に進んでいく。そうすると右側にはJR方面からの乗り換え口がある。そこを左に進み、乗り換え口を背に向けながら進んでいく。

左側通行で進むと、上に案内板が設置されており、それをみて山手線方面に向かう。その後、左に進んでいくと売店が見える。その売店まで行かずに左に行くと山手線方面に行くエスカレーターに乗れる。俺らはそのエスカレーターでホームへと降りていく。

降りるとすぐに、右には山手線、左には京浜東北線がきていた。


「もう来ているから、乗るぞ。もうそろそろ発車になるからな」


 そういって、華音を誘導する。載った瞬間に、発車メロディが流れ始めた。


『次は新橋に止まります。2番線、ドアが締まります。ご注意下さい。2番線、ドアを締めます。駆け込み乗車はご遠慮ください』


すぐにドアがしまった。俺らはどうにか山手線に乗ることができ、席もどうにか確保することができた。


『次は新橋、新橋。お出口は左側です。地下鉄銀座線、都営地下鉄浅草線、ゆりかもめはお乗り換えです』


これでどうにか落ち着いてられるわ。



『まもなく、秋葉原、秋葉原。お出口は左側です。総武線各駅停車、地下鉄日比谷線、東武都市線、つくばエクスプレス線はお乗り換えです』


よし、秋葉原まで来た。ここで乗り換えないと面倒なことになる。てか隣で寝てるし。


「おーい、起きろ。乗り換えだぞ、早くしろ」


 どうやら、声で呼びかけただけではおきないので、体を揺さぶってみる。


「おーい」

「きゃっぁ」


 いきなり声を上げるものだから、周りの人にめちゃくちゃ見られた。すいません、俺の妹が変な声あげて。


「何よ、いきなり揺さぶるんじゃないわよ。もしかして」

「そんな被害妄想なんてしている暇ないから。早くおきて、乗り換えるぞ」


 びっくりしたのか、さっと席を立ちドアが開くのを待つ。


『秋葉原、秋葉原。ご乗車ありがとうございます』


 ドアが開き、急いで日比谷線・東武都市線の秋葉原駅まで向かう。俺たちが向かっている東武都市線は日比谷線と直通しており、荒川都市駅まで向かうことができる。秋葉原から先は東武都市線として運行されるが、それまでは日比谷線内を走る。

 とりあえず、山手線から降りて、改札へと向かう。

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