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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第七章 華音と和孝
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45 予想外の孤立

 東京についた俺たちメンバーは羽田空港第二ビルの到着ロビーへと降り立っていた。


「いや、なんかすごかったな」

「本当にそうだな。今まで担い経験だったわ。本当に疲れたけど、充実していた」


 真司と俺は語り合っていた。今回の旅行について。今回の旅行はめちゃくちゃ長く感じた。でも、それがいい経験だったのかもしれない。


「荷物も持ったし、早く集合場所に集まらないと」


 とりあえず、荷物を持った俺はロビーへと向かった。だが、やはりターミナルの空港であるので、なかなか荷物が流れてこなくって困った。待っているのに全く流れてくる気配がないのだから。

 これがターミナル空港の宿命か。まあ、待っていれば来るだろうと思いつつ、速く流れてきてほしい気持ちも高まっていた。



 しばらくして流れてきた荷物を持ち、集合場所である到着ロビーへと向かった。


「本当に羽田空港は人が多くって困るな」

「本当だよな。なんでこんなにも広いんだろうな」


 呆れた俺と真司は人混みの中、到着ロビーへ向かうがそこには誰もいない。場所を間違ったのかと思ってしまうほどだ。本当に広いから嫌になってしまうわ。

 そんなことを思っているときに遠くから声がした。


「おーーい、和孝。どこにいるんだ」


 この声は華音であった。俺らを探しに来たみたいだ。やっとどうにかなったと思った瞬間であった。


「あれ、華音。なんで俺らの方にいるの?」

「それは決まっているじゃない。場所がわからないからよ」


 はい、詰んだ詰んだ。俺が少しでもまともな子と思った瞬間、返して。俺の時間返して。本当にいい趣味してるわ。


「ということは俺ら三人迷った感じなのかーー」

「とりあえず、しおりを確認してみるか」


 真司が自分のバックの中に入っていたしおりを取り出し、旅行のスケジュールを確認してみる。


「なになに、到着ロビーに集合してありがたい言葉をもらった後は各自解散だと。あの担任、相変わらず適当だな、マジで」

「じゃあ、集合してすぐに解散してしまったのか。それは溜まったもんじゃねぇーーぞ。それよりも最初は学校から来たのに最後ははい解散ってか。どんだけ適当なんだよ」


 呆れた俺と真司が文句を言っている中、華音はなにかに気づく。


「これ見て、しおりの端になんか書いてあるみたい。なになに。学校までバスを利用する場合は各自担任に問い合わせをすること。帰るまでが修学旅行なので、各自気をつけることだって」

「そもそも、担任がいなんだが。この場合はどうする必要があるのか」

「まともなヅラをしていない奴らがいるな。まあ、仕方ないか」


 俺らの後ろから聞いたことがある嫌味が聞こえたぞ。これはもしかしてヤツか。俺と真司、華音は一斉に

後ろを向いた。そこにいたのは担任であった。


「おう、お前らどこにいたんだ。もう集合しているぞ」

「どこに集合しているんだよ。探してたんだが」

「ああ、わかりにくかったよな。だってバス停に集合していたからな。探したんだぞ、いつまで立ってもバカどもが来ないのだからな」


 相変わらず一言多い担任が迎えに来たのだ。こういうときは優しいというか気が利くというか謎の人間である。とりあえず、ここでどうにかなると思ったが、その期待は裏切られる。


「ああ、うちのクラスは特にバスとか呼んでないから自力で帰ってくれ。めんどくさくってバス呼ぶの忘れたから今から呼んでも一時間位かかるが、それでもよければ手配するが」

「本当に俺の期待を返してほしいわ。相変わらず適当すぎてせいせいするわ。みんなはどうしたんだよ」

「帰った。自力で」

「大丈夫なのか、本当に。このクラスってそういうところ異常だな」

「まあ、もともと日程的には最後は自由解散って書いてあったから問題はないだろう。俺の仕事もなくなってよかったよかった。お前らも気をつけて帰れよ」

「本当に仕事する気あるのかと言えるくらい適当だな。まあ、とりあえず帰るしかないよな」


 俺と真司、華音はどうにかして自力で帰ることとにした。あの担任は俺らに「気をつけろ」とだけ言って、すぐに去ってしまったしな。本当にどんな神経をしているのだか。


「羽田空港から帰るとすれば、バスか電車しかないよな。バスならリムジンバスになるし、電車は東京モノレールか京急のどちらかだな。向かう方向的には東京モノレールが近いがな」


 こういうときに本当に調べるのが速い真司。困ったときには頼りになるわ。それに比べて……。


「どうしましょう。帰る方向がわからないわ」

「お前は方向音痴か。なんで、帰る場所がわからないんだよ」

「私、電車とかバスに詳しいわけじゃないし、行きは全然気にしていなかったからに決まっているじゃない」


 おいおい、そこはドヤ顔で言うところじゃないわ。少しは調べようとはしないのか。本当にこいつの性格には飽きられるばかりである。


「とりあえず、東京モノレールから浜松町まで向かわないと。そこからはJRと東武を使ったあとに、国立学園鉄道を使えば帰れるはず」

「そんなルートでいけるのね。ほんとそういうのは強いのね。自分の方向音痴が嫌になるわ」

「そんなこと言っている暇があるなら、すぐに向かったほうがいいんじゃない」


 真司は俺と華音に早くすることを伝え、すぐにモノレール駅に向かう。俺と華音も急いで現在いる羽田空港第二ビルからすぐに羽田空港第二ターミナル駅に向かった。この駅は到着ロビーの一つ下にある。


「早くしろよ。そうしないと早く帰れなくなっちゃうからな」

「もう疲れたから帰りたいんだろうな。俺らも早くしないと」

「そんなこと言ったって、荷物があるからそんなに急げないよ」


 確かに修学旅行で二泊三日くらいしたので、荷物がいっぱいだ。まして、女性だとすればどれだけ大変だかがわかる。それでも、俺も荷物が大量にあるし、どうにもできない。


「まあ、俺と華音はあとから向かえばいいし、焦らなくてもいいよ」


 自分がかけた言葉はいつもの俺では信じられないものだった。華音をいつも侮辱して、バカにしている自分がいるのに、なんか優しくしたい気持ちになる。これは何なのか。


「じゃあ、俺は疲れているから先に行くよ。一緒に乗れたらいいな」

 

 真司はそう言うと、急いで改札を通り駅構内へと消えていった。その時電光掲示板を確認すると、【区間快速 十六時三二 浜松町行】と表示されていた。その次は【普通 十六時三十五 浜松町行】であった。

 今の時間は十六時三〇分である。今から改札を通れば間に合うが、そういうわけには行かない。電子マネーにチャージをしていないからだ。そもそも、華音は持っているのか、わからんし。


「とりあえず、真司はいっちゃったけど、俺らはあの区間快速に乗ることは難しいな。電子マネーにチャージしていないし、お前持っていないだろ」

「それくらい持っているわよ。私だって電車乗るときあるのよ。東京に住んでいれば普通じゃない」

「そっか、でもチャージはしていないだろ?」

「流石にね。そもそも電車に乗るなんて考えてなかったから、お金もギリギリなのよね。北海道で使いすぎたわ」


 どうやら、華音は予想外のことが起きたことにより、財布の中にギリギリ帰れるかわからないくらいのお金しか残っていないらしい。まあ、俺はこの学園と担任だし予想つかないことでも起きるかもしれないと思い、八千円近くは残しておいた。

 流石に、東京から東京ならそれほどかからないし、家族なんだからどうにか出してもいいだろう。


「ほれ、このお金でチャージでもしてこい。このくらいあれば帰れるだろう」


 俺が華音に二〇〇〇円を渡し、チャージするように勧めた。その時の顔と言ったら、華音があまり俺には見せたことがないような顔をしていた。

 目には涙を邪魔しているのにも関わらず、広角は上がっており、笑顔なのだ。この状態はどういうことなのだろうか。人間のことについて全然わからない俺には理解ができない。どこかで見たことがあるが、何なのだろうか。

 ここまで素敵な笑顔は。俺の心臓が早い鼓動で動いているし、見ているだけで幸せになれる。それに水奈と似て、やはり姉妹だなとも思えてしまう。どうしてしまったのだろう。


「早く行くんでしょ。準備できているの?」

「お、おう。今チャージする。少し待って」

「早くね。次の電車も乗り過ごすわよ」

「こういうときだけ速いんだから、嫌になる」

「なにかいったかしら?」

「何もいっていないけど」


 ここでこいつに絡むとめんどくさいので、電子マネーをチャージして改札を通過していく。改札を通ってすぐの右側に階段があったので、そちらを下って行く。たしか、あいつはこっちに降りたような。


「もう、電車きてるから早く。もうすぐ出発だよ」

「わかっているって」


 華音に呼ばれ、急いで階段を降りると電車が止まっていた。正しくはモノレールだが。そのモノレールには多くの外国人や日本人が載っていた。あれ、国際線ターミナルじゃないのに外国人いるのかよ。


「ヤッパリリョコウハタノシイネ。ニホンニキテシバラクタツケド、ソコマデニホンゴガウマクナイヨナ」


 多少カタゴトでも、しっかりと日本語の意味をわかって使っているじゃねぇーーか。それでうまくないとかどれだけスムーズに話したいんだよ。俺も英語勉強しているけど、そんなスムーズには無理だぞ。


「どうしたの、和孝。なんか、やばい顔しているけど」

「ここ顔はもとからって、何を言わせるんだ。少し気が動転していただけだ」

「あら、そう。それならいいんだけどね。なんかいつもの和孝の雰囲気だから。突っ込みたいって顔してるし」

「なんだよ。わかっているなら……。ちょっと待て、突っ込みたい顔ってなんだ。俺のことをそういうふうに見ていたのか。文句なら聞こうじゃないか」

「いや、文句とかじゃないし。まあ、どうだかは自分で考えてみて」


 意味深のようなことを言っては、ごまかす。本当にずるい女だな。本当にーー。


こんにちは、航作です。半年以上おまたせしてしまいましたが、今回は長めに載せてみました。もう終盤であと何話かで完結するまで来ています。それでは。

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