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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第七章 華音と和孝
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43 深く考えている和孝

修学旅行も終盤になり、俺も長い修学旅行が終わると思うとホッとする。今まで、おかしいこと思ったことが嘘みたいだ。


「和孝、やっと終わるなぁ〜」


 真司はホッとしたかのようにいう。


「確かに、最後は意味がわからないことばかりで困った」

「とりあえず、終わるって考えると寂しい感じがするけどな」


 真司が寂しそうにいう。まあ、真司は俺が経験したことを体験していないから大変だとは思わないよな。


「皆さん、今日で修学旅行も終わりですね。最後まで楽しんでいきましょうね。それでは、最後の目的地に到着になります」


 普通に話しているガイドを見て、違和感を覚える。

 ――何だろう、この気持ち。恐ろしいというか、俺は何を見てしまったのだろうか。

 思い出したくないことばかり思い出す。マジで地獄。


「では、最後に担任の先生からお話があるようです」


 ガイドは自分の持っていたマイクを担任に渡す。


「いいか、諸君。修学旅行は楽しめたかね。俺は結構楽しんでいたぞ」


 こんなことをいう担任にクラスのみんなからは、

「「俺たちが何かしでかしたのを楽しんでいたの間違いだろ」」といわれている。


「それは違うな。特に和孝、真司、華音の反応は面白いと思うがなぁ」


 担任に言われた言葉をすかさず、言い返す。本当に人をいじることが好きな担任だな。


「それをこの場でいうな。俺らが問題児みたいだろ」

「どう見ても問題児だろ。特に華音と和孝の争いは、見ていてうずうずする。混ざりたい気持ちにさせてくれるんだ」


 本当に担任はおしゃべりであるといいたいが、普段はここまで話さない。こんなにも話すときは人をいじっているときだけだ。ということは、俺らは担任の餌食になっているということになる。


「マジで信じられない。こんなやつと一緒にされるとか……。問題児は和孝だけで充分だわ」


 どこぞと声が聞こえる。華音の声が……。それに華音は立ち上がっている。どれだけ発言したいんだ?


「おい、それを言うなよ。お前だって、空港とかで騒いでいただろ。俺のウインナーを何とか」

「あ~、うるさい。それ以上言わないで頂戴。和孝のあるものが何ですって。別になくても困らないでしょ」


 本当に男の気持ちがわかっていない。異性だからわかるはずはないだけど、俺のウインナーがなくなったら、日本的に大損害になるわ。大事な命の源だぞ。この。


「うるせぇ――な。クソビッチが――。お前のせいで俺の印象は段々と崩れていっているんだよ。ガリ勉として印象付けられた俺の印象は変態やクソ変態がり勉野郎とかよ」

「おいおい、こんなところで争うな。お前たちが仲がいいのはわかった。クラスのみんなにも証明されただろ」

「「誰が、仲がいいですって。そんなわけないでしょ」」


 俺と華音は担任が言っていることに反論し、うるさかったバスの中は静かになった。というか、静かにさせたの方が正しいかもしれない。


 でも、俺らの印象は変わることはないだろう。だって、彼女にしか見えないのだから。別に俺は望んではいない。

「本当にやめてほしい。お前みたいのと一緒に見られるとか。マジでないわ」

「和孝に言われたくないわ。本当に失礼だわ。デリカシーがないの」

「それって俺に対しての褒め言葉かい。デリカシーなんて俺には理解できない。だって、ガリ勉だからな」


 本当は分かっている。デリカシーがないことだって、でも、ここで認めてしまったらどうなるのかわからない。

 そんなことを持っている俺のことなんて気にしていないかのように、華音は呆れた顔をしていた。まあ、こんなことを言われたら、そう思うよな。


「私は和孝がそういう人間だというのはよく分かっているつもりよ。でも、もう少し丁寧に扱ってくれてもいいじゃないの」


 修学旅行の疲れでなのか、華音がいつも言わなそうなことを話している。つまり、本音なのだ。プライドが高い華音にしては珍しい。そして、顔をすごく悲しそうで今でも泣きそうだ。完全に俺がこの顔を生み出してしまったのだ。

 その状況を察したのか、真司が助け船を出す。華音のため、いや、俺と華音のためだ。


「華音、和孝。お前たち二人は本当に素直になれない馬鹿野郎だな。なんで、正直になれないんだ。華音はともかく、和孝は男として失格だ。女性を泣かせようとしているのだからな。まあ、お前自体は今まで、恋愛とは無縁なところにいたのだから仕方ないだろうな」


 こんなことを言っているが、俺は全て気づいている。ガリ勉なんて、あくまで学校で暮らすための仮の姿に過ぎない。俺だって、好きでガリ勉になったわけではない。それを知っている人が何人いることか。


「おい、和孝。聞こえているか?」


 真司に声をかけられて、我に返った。


「おっと、考え事をしていた。何の話だっけ?」

「なんの話じゃない。お前は勉強しかしてこなかったから、恋愛は難しいって話だよ」

「あぁ、なるほど。確かにそうかもしれない」


 どうやら、真司と華音がそんなことを話していたんだ。マジか、本当に俺はそれしかしてこなかったように感じているみたいだ。


「まあ、お前がどう考えるかは俺にはわからん。それに、人生を切り開くのはお前次第だ」

「そうだな。俺も考え過ぎてしまうこともあるからな」


 真司は本当に重要な時に真面目なことを言う。いつも驚かされてばかりだ。本当にな。

久々の投稿です。この物語ももうそろそろ決着がつきそうです。

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