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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第七章 華音と和孝
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39 男は嫉妬深い

「皆さん、買い物は済みましたか?」


 ガイドの問いかけに反応するのは数名のみ。ほかはまだ夢中である。俺には夢中になれることがよくわからんがな。


「なんか、いくつでも買えそうな気がする」

「おいおい、華音。それ以上買ったら遊ぶマネーがなくなるぞ」

「なんでお金をマネーとカッコよくいったの?」

「いや、それは気にしたら負けというか。それはいいだろう。別に気にすることでもないわけだし」

「まあ、こいつもそういう年ごろってことだよ。少しは察してくれないと困るよ」

「おい、真司。それはどう意味なんだろうね」

「そのままの意味さ、カッコつけたいインだろ?」


 俺は少し固まってしまった。確かに、華音の前ではかっこいいことをしたいのが本心だ。でも、今からというのも少しおかしいように感じる。


「おい、和孝。図星か。少しは反論しようとか考えないのかね」

「そんなこと言われてもな。あまり会話術は持っていないから仕方ないこと」

「まあ、勉強ばかりしていた人間には会話術は身につくことはないか。頭の中では回転しているんだろ。言葉がさ」

「そうだけど、実際に言葉としては出てこないけどな」

「それは残念」

「ねぇ、二人で話を進めないでよ。それよりも次に場所に移動するの?」

「多分な」


 華音はどうやら、まだ買い物がしたいらしい。でも、時間が限られているため、手に持っている商品をレジへと持って行った。


「とりあえず、買いたい物は買ったわ」

「華音は本当に何でも買うよな」

 真司が華音の買物ぶりにケチをつける。

「そんなことないわよ。普通の買い物と同じよ」

「その割には手提げの紙袋が二つほど見えるのは気のせいかな」


 真司は華音の対応が面白いのか、いじりを始めている。確かに、むきになるところはとても面白いと思うよ。俺だって。


「これは、大切な人にあげるのよ」

「あらやだ。それはいいね。それでどんな人に挙げるのかな?」


 真司はオネェーだったのかと思わせるほどの男性の声を裏声にしたような声であおりだした。こいつ大丈夫なのか。後でボコされないか心配だ。もちろん、俺は見ていることしかできないよ。だって、こんな修羅場的なところに入ったら、とばっちりだけはしっかりと食らう羽目になるし。


「本当に真司って、嫌な人。あいつとは全然違うわ」

「あいつって誰のこと? 和孝のことかな。あら、ラブラブなのね。元からか」

「おいおい、あおりもその辺にしておかないとさすがにまずいぞ」

「何言っているんだ。こんなに楽しいのに止めるなよ」

「俺が後でなに言われるのかわかっているくせに、意地が悪いな。本当に」

「本当に意地が悪いわ。和孝なら、励ましてくれるし。ラブラブしていたっていいじゃない」


 華音さん、本音が漏れてますよ。それに俺がとても恥ずかしいのでやめてくださいな。照れるじゃないか。こんなにも胸がキューンとしたのはいつぶりだろうか。

 この華音がデレデレになってしまったのはいつからだろうか。今まではとても冷たかったのに何だろうか。恐るべし、ツンデレ。


「俺はやばいものを見た気分だわ。華音がこんなにも純粋な子だったとは……」


 どうやら、予想外の華音の回答に真司も戸惑っているみたいだ。


「私の勝ちねぇ。変なことを聞くから悪いのよ。本当にバカ。だから、彼女の一人もできないのかもね」

「うるせぇな。別に俺の勝手だからいいだろ。彼女がいないんじゃなくて、作っていないだけです」

 真司はムキになったのか、顔を真っ赤にしている。大人げないぞという言葉を贈呈してあげようと。

「本当にどうしようもないな。見ている俺が恥ずかしいよ。特に真司。彼女ほしくってたまらないんだろ?」

「いや、そそそんなことないだろ。べべ別に気になっていないし」

「図星か。やっぱり、男だな。高校生とそう考えるよな。知ってたわぁ」

「みんなひどすぎだよな。本当に。俺だってそれはほしいよ。でも、タイプがなかなか見つからないんだよ」

「それは探さないと見つからないかもな。その辺もしっかりと考えないとな」


 悲しくなってしまうほど、ほしいらしいな。高校生の青春か。


「俺の場合、仕方ないのかもしれない。人を馬鹿にするようなことばかりだし」

「そんなことはないと思うが、どうだろうな」

「本当よ。私と和孝がイチャイチャしているのがうらやましいのかしら」

「おいおい、火に油を注ぐようなことを言うじゃない」


 困ったな。真司がまた向きになってしまったな。これは面倒なことになりそうだ。華音も煽り耐性が付いてしまって、面倒だな。


「もういいよ。俺は一人で頑張ることにする。お前なんかよりもきれいな奴にな」


 真司は華音に指をさしながら言うと、去っていった。


「マジで、面倒なことになったな。あいつ、すごく根に持っているぜ」

「いいのよ。あんな奴。私のことをいつも侮辱しているんだから、言われても仕方ないの」


 俺には今後波乱な展開になるようにしか思えないことは、内緒にしておこう。

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