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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第三章 華音と水奈
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2 俺の普通の日常

 学校の放課後のこと。華音へ話を聞くために連絡を取り、屋上へと呼び出すことにしたのであった。


「ちょっと聞きたいことがあって、呼んだんだけど。水奈とは連絡とっていたのか?」

「うん。とっていましたよ。つい最近のことですかね。お兄ちゃんができたといって喜んでましたよ」


 俺はなんかうれしく感じてしまった。妹と言う存在がでかいことに気づく。


「そうなんだ」


 華音の話し方に違和感を覚える。普通に同級生なのに敬語で話されると、距離感を覚えてしまいそうで怖い。


「それよりも、普通にタメ口で話してもらってもいいんだけど。なんか、距離感感じるから。同級生なんだしさぁ~」

「でもですね、私はこれが一番落ち着く話し方なんです。それに、親しい人しか普通には話しませんから」

「ということは、俺とは全然親しくないということか~。ショックだわ~。結構話せるようになったのにと思っていたんだけどな~」

「そうだったんですか。でも、いきなりじゃ大変です」


 華音は顔を真っ赤に染めながら、焦るように答えた。


「そうか。少しずつでもいいから、普通に話してくれると助かるよ。

 横道ずれたが、水奈と連絡でいとこだということにしといてみたいなことは言われたのか?」

「いいえ。私が完全にいとこだと思っていました。すべての真実を教えてはもらっていなかったので……。それで親戚のところにいるときは、いとこの家にいくと言われました」

「すべて、しくまれていたことになるのか――。これはお母さんが口止めしたんだな。だいたいわかったよ。少し真実に近づけそうだ。」


 華音はいきなり黙ってしまった。顔が赤い。熱でもあるのかなとしか思わなかった。華音は可愛いから、赤くなった顔もキュンとしてしまう。それに、ここまで赤くなると何かありそうでも怖くなってしまう。


「本当はの話しと言うのは知っているのか?」

「いいえ」


 華音ははてなマークを浮かべるように頭をかしげていた。


「知らないようだから、教えておくよ。お前のお母さんは事故にあってしまった。水奈を生んでから数か月後のことらしい」


 今の話しで頭の中が混乱してしまったようで、固まってしまった。


「ということは、小さいときになくなっていたということですね?」

「そういうことになる。だから、お母さんの記憶については知らないはずだ」

「そういわれるとそうですね。印象的なことがありませんね」

「それと、俺の母と友達でもあったということらしい。だから、うちに引っ越しすることになるんだ」

「そうだったんですか。何も知りませんよ」


 今までの話しは親戚もしなかった残酷な話だということだ。母親の暖かさを知らずに生きてきた姉妹二人はかわいそうだと思う。


「私には何もなかったということですね」

「そうかもしれないな。父親もなくなってしまったらしいし」

「今までの話しがすべて本当なら悲しい現実ですね。神様はそんなことをして何をしようとするのでしょうか?」

「一番はどうやって生きているのかを試しているのかもしれないな。昔にいろいろとある人は強くなれるというものだからな」


 華音はいつの間にか涙を流した。何も言われない悲しさと、真実を知ってしまい悲しい気持ちが一度に来てしまったのだろう。

 両親がいなくなって悲しまない人などこの世にいるのかと思えるくらいだが、中に入るだろう。そんなやつ……。

 真相と言うものをすべて話した。俺らは昔にあっているということや、どんなことがあったのかと言うこともすべて知ってしまった。

 昔のことだが、俺は華音と水奈とよく遊んでいたということを母から聞いた。だが、二人の父親が亡くなってしまい、二人を補うことができる人がいなくなってしまい、親戚の家に別々に分かれることになった時に、俺ら三人は分かれてしまった。三歳のことのことであった。だから、俺らは覚えていないというわけだ。

 まったく知らない真実を求めて、いらない情報までも散策してしまったということなのであった。

 屋上にいた俺と華音はこうして、真実を知り、一緒にも暮らすことになった。

 


 学校の校門を出てからのことである。いつも勉強する場所へと足を運ぼうと思い、自称『自習室』へ行くことにした。その『自習室』と言うのは周りから見れば図書館なのである。

 俺は行くことにした。勉強をするために……。

 俺はここではすごく集中することができる。何も考えずに勉強を進めることができる。

 いい場所だ。

 この辺は都会から少し離れた場所にあるから、全体的に静かだけど、一番落ち着くのがこの場所。

 なんだかんだで、一時間経過。帰宅の準備をする。


  

 家に着くと、玄関にはいろんな靴がある。多分、友達を連れてきたのだろうと思う。

 俺は、水奈にどんな友達がいるのかは全然知らない。隣の部屋といえども、さすがに覗いたらどう見ても、犯罪になるというもの。それに男ならともかく、女で血が繋がっていないという大問題があるのにそんなことが出来るわけない。

 まあ、そんなことはいいとしよう。『友達はたくさん作ったほうがいいぞ』と階段の方に思いを伝えてから、リビングにいく。

 友達が来たのだから、お菓子や飲み物を持っていくことにした。

 


 だけど、母は「別に友達に出さなくてもいいじゃないの」と言っているが、さすがに友達は大切にしないと痛い目にあうこともある。それを体験してもらいたくないからこそ、行うことだ。

 階段を上り、俺の部屋の右隣の部屋をノックする。

 すると、水奈は母だと思ったのだか、


「そこに、置いておいて」


 といった。

 俺は、「違う。俺だ」といった。すると、「お兄ちゃんね」と言って、ドアをかけてくれた。なんか、感動的なシーンではないか。

 部屋に入ってみると、そこには五人の友達が座っていた。そこの中に一人だけ男子がいて、少し気まずそうな空気を漂わせていた。だけど、それは男から見れば憧れる風景だ。周りに女がいる。これそこがハーレムというものだ。と思いたいところだが、その男子は少し周りの女子中学生には見えない美少女がいるせいか、何となく緊張しているみたい。それもそのはず。俺も驚いてしまったほどだ。大人っぽいから。

 


 こんなことを思っていると、俺は水奈に紹介された。


「私のお兄ちゃんです。高校ではトップを取っていて、徳作経済大学への入学を目指して勉強しているんだって。この辺では有名な国公立の大学だよ」


 水奈は自分の兄が頭がいいことを自慢がしたかったみたいだ。どこから見てもドヤ顔をしているようにしか見えなかった。

 男の子はなんか、仲間がいるような顔でこちらを見ている。

 それよりも、この男子は下品な破廉恥か、それとも清楚な男子なのか気になるが、誰もが最終的には破廉恥な男になることがあるもんだと思う。

 


友達が帰ると、玄関でため息をしている水奈の姿があった。俺はあの後、すぐに部屋を出て行ったからそのあとの内容はわからないが、大変だったのだろう。

本当の兄ではないことを隠している水奈は俺との様子をよく見せるために頑張ったようだ。何かと、血がつながっていない二人が一つ屋根の下と言うのがばれると、バカにされるからだろう。


「お疲れ。フォローするのに疲れたんでしょ?」

「なんでわかるのよ」

「顔に表情として現れていたよ。疲れたけど、何かを守れたかもと言うような顔をしていたから」

「うそ~。なんか、恥ずかしいかもしれない」


 水奈は顔を隠しながら、俺とは目を合わせない。


「何で見るのよ。私の顔に何かついているわけ?」

「そんなことはないけど」


 なぜか知らないけど、水奈は真っ赤に熱がありそうで、俺は助けようとしたが断れた。


 ――何があったんだろう?


 俺の心の中には疑問しか残らなかった。

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