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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第七章 華音と和孝
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37 バスの中で

 自分の世界に入っていた俺は意識を取り戻した。そして、みんなはバスへと乗り込んでいた。


「早くしないと置いてかれるぞ。俺たちの担任はそういうの厳しいこと知っているだろ」

「そうだったな。そんなこと一つも覚えてなかった」

「ほうほう、いつまでも乗らない奴が一人いるが、どうするべきか」

「いやぁ――、先生。こいつはすぐに乗せますので」

「別にいいんだぞ。おいていっても、あとで忘れてたといいながら迎えに来ればいいだけだ。三日後にな。俺がレンタカーで向かいにだけはきてやるからな」

「それはさすがに厳しい選択じゃないですか?」

「こいつなら問題ないだろ」


 ――この自信はどこからきているのか全く分からないが、やばいな。


 担任はおふざけななしでおいていく気満々である。それに対抗するべく俺は、担任に向かっていく。


「絶対に置いてかれてたまりますか。こんなところで俺の修学旅行が終わるなんてありえないですよ」

「そんなこと言われてもな、団体行動ができない奴はいらないからおいていくのに何が問題ある。もうそろそろ時間か。それじゃあまたな」

「やめてください。それだけは勘弁してください」

「いや、俺はその顔を見るのがとても楽しくてな。たまらんぞ。この悔しそうな顔がな」

「くそがぁ――――」


 担任が調子をこいてやっていたことに嫌気がさした一人の生徒が先生を指摘し始めた。


「先生。茶番はそこまででいいので、出発してもらってもいいですか。ガイドさんとかが困っているじゃないですか」


 担任の顔に汗が出てきて、焦っているように見えた。その後、運転手とガイドの方向を見たときに目を合わせることができなかった。そして、運転手とガイドはどのような対応をしタラいいのか困っていた。二人で話し合っていても解決策は見つからなかったみたいだ。


「それは済まない。少しやりすぎたか。運転手の方とガイドの方にはご迷惑をおかけしました。少し調子に乗りすぎてしまったようです」


 担任がペコペコしているのは新鮮であった。絶対に学校内では見せない態度であった。生徒の前ではいつも大きな態度をとっていても、外部の人には頭が上がらないみたいだ。担任が普通の常識的な人だとわかり、ほっとしてしまった。でも、俺は不満がいっぱいであった。


「はぁ、相変わらずなのかどうかはわからないけど、本当にどSで困るな」

「和孝、何か言ったか? いいから早く乗るんだ。出発できないだろ」


 さっきとは百八十度違いことを言うのはどういうことなのか。本当に担任の茶番というのはどこから始まって、終わりがどこかが全く分からない。だからこそ、このクラスのメンバーは疲れてしまうのかもしれない。



 やっとの思いで出発したバスはほかのクラスのバスに十分ほど遅れていた。どれほどふざけたことをやっていたのかがよくわかる。まあ、五分ぐらいは俺が遅れたせいなのかもしれないが……。

 それにしても、遅れているのに茶番をする暇がある担任の頭の中はどうなっているのか疑いたくなる。

 そんなことを気にせずに俺らのクラスはにぎやかだ。十分も遅れるのは団体行動的には問題があると思うのだが……。そんなことなどお構いないご様子の担任の常識というのを疑ってしまう。バスの中は静かにしていても、いつうるさくなるか分かったものではない。それに、バスの中では後ろに向くのがやっとであるので、俺が座っている席にはちょっかい出せないということだろう。

 そういえば、俺の席は仲がいいメンバーとは近い。後ろから三番目あたりに横に一列で並んでいる。左から真司、俺、華音、麻衣で、その後ろに優梨愛、悠馬である。本当に昨日から思うが麻衣と悠馬は違うクラスだというのに無理やり担任の手によって現在の場所に来たということ。信じがたいが学校内ではどんな位置に所属しているのが謎すぎて怖い。


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