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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第七章 華音と和孝
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35 しつこさはあだとなる

妙に恋人らしいことをしてしまった俺の心は乱れ始めていた。今の自分がどんな立ち位置にいるのか全く分からない。なんだろう、この感情は……。

 目の前にいる華音が愛しくって仕方ない。でも、もうそろそろ寝ないと明日に響いてしまう。それなのに、俺の気持ちは収まらない。


「華音、お前を抱いてもいい?」

「和孝がしたいなら、してもいいよ!」


 こんなにもあっさりと許してもらえたのは、初めてかもしれない。それに、華音の顔が輝いて見えた。

 俺にはもったいないほどきれいで、相手はもっといいやつがいるだろうに。なんで、俺にアタックしてくれたのだろうか。うれしいと共に、疑問が浮かんだ。


「私はわかるよ。今、和孝が考えているこ・と。私がなんで和孝を選んだかってことでしょ。そんなの簡単よ。不器用でも一生懸命生きようとあがいているからだよ」

「そんな理由なの。まあ、俺には勉強という武器しかない凡人だし。色気とかもなくって、女子と接するのも得意じゃないし。ハハハ」


 わらってごまかしていても、すべてお見通しなのかもしれない。自分の魅力がほかにもあるということ。だけど、気づきたくない。うまくいかなくって努力して、みんなのことを考えているなんて……。


「笑ってごまかさないでよ。本当はわかっているんでしょ。自分がどんな性格であるかを」

「まあ、そんなことはわかっているよ。でも、それをさらけ出せば今のままではいられなくなる。それが嫌なんだ」


 そう、俺はあまり盛られるのは好きではない。利用されることもあるからだ。そうなったときに、俺はどんなことができるだろうか。


「少しくらい、向き合ってみたらどうなの! 自分の魅力に。それでも嫌なら、そのままでもいいと思う。私は和孝がいいと思うほうで全然かまわない」


 華音の顔はいつもとは違かった。ふざけたような顔をすることが多いのに、今日の華音はいたってまじめである。それだけでない。俺のことを心配しているような凛々しい顔をしていた。それほど、俺のことを考えてくれているのか。それとも、裏があるのか。俺には全く読めない。


「和孝は今、何がしたいの?」

「いきなり、そんなことを聞くんだい? びっくりするだろ」

「いいから答えて! 私は和孝が悩んでいるなら助けたいの」

「そ……そんなこと言われても……」


 俺が考えているよりも華音は大人なのかもしれない。自分のことでいっぱいと思いきや、相手のことまでしっかり見ている。恐ろしいといえば、恐ろしいがおせっかいでもある。俺はそんなお節介なところに惚れているのかもしれないな。


「そんなことより寝ないと明日が持たないぞ」

「ごまかさないで! 私の質問に答えてよ」

「俺はガリ勉のままでいたいけど、もっと恋愛にも興味を持ちたい――」

「やっと言ってくれたわね。本当に鈍感というか、鋭いというか。行動でバレバレよ」


 俺は自分ではよいと思って行動していたのが、あだとなったようだ。本当に勘弁してもらいたいわ。神様よ、私をお救いくださいだなんていいたくなるわな

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