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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第七章 華音と和孝
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33 複雑な思い

「最近ね、おかしいの。普通なら、和孝をいじるのが面白いのに、心が痛くなるの」


 華音は自分の中で何かが起こっていることを話した。


「そんなことがあったのか。それで、今でも苦しいのか」

「うん、とても苦しい。今までにないほど苦しいよ。何もできないほどね。どうしてくれるの。責任とってよね」

「急にそんなこと言われても何も出来っこない。俺にはそんなことをする権利なんてないよ。責任はどうやっても取れないよ」


 俺は気を落としながら言った。すると、華音は泣き出してしまった。


「どうしろっていうんだよ。俺にはお前を支えるほどの力はない。幸せにする力もないのに……」

「それでもいいの~。し、幸せじゃなくても、二人で作っていければいいとおもってる」

 華音は号泣していた。それを見て俺はカバーをするが、収まらない。

「じゃあ、俺がお前をどうにかしてもいいの。その責任はとれなくてもいいのか? それでも俺についてくるの?」

「かまわない。どんな風にされても! 和孝なら、心の底で許せると思う」

「思うじゃダメなんだ。俺が傷つければ面倒なことになる。そんなので、精神がやられていくのを見るのは嫌なんだ。しっかりと覚悟を決めて」

「何度も言わせないでよ。私は和孝をいつでも受け入れる体制は整っているのよ。どっちがビビっているのかわかるでしょ」

「それじゃあ、いうけど。俺と一緒にいてくれますか? そして、恋人として認めてくれますか?」


 華音は嬉しくって仕方ないのか、笑顔のまま泣いている。今後、俺は泣かせてはいけない。この誓いがあったからこそなんだから。


「いいに決まっているじゃん。私がどのくらい待っていたかわかっているの」

「同居し始めたころだろ。そのくらいから、好きだったことは知っているよ。でも、あえて見てこなかった。それが今日、見なければいけないと気づいたんだ」

 

 俺は現実を見たくなかったのだ。まさか、華音がというのを……。


「そんな前からわかっていたんだ。じゃあ、私が必死で隠すのを面白がってみてたんでしょ」

「そんなことないよ。さすがにそこまでは腐ってないぞ。なんで、恋愛できてない奴が相手の恋愛について笑う権利があるんだよ」

「でも、あえて黙っていたというのは、面白かったからじゃないの。ねぇ、どうなの! はっきりしてよ」

 華音の心は少しずつ壊れているみたいだ。それがわかるほど、俺も相手を見ることができるようになったみたい。少しうれしい反面、つらいところもある。

 それにどうして、俺はこいつに伝えることをしなかったか考えてみると、華音に興味がなかったということなのかもしれない。恋愛はあまりよくないという認識で勝手に生きてきた結果なのかもしれない。俺の考え方は少し変わっていたのかもしれない。俺には、これ以上のことは考えられない。


「わかったよ。俺がなぜ言わなかったのかを言って、華音は傷つかない自信はあるのか?」

「それは、ここまで来たのに、ないほうがやばいよ」

「わかった。じゃあ、すべて話すぞ」

 


 俺は今までのことを簡潔に並べて、華音に理解できるように話した。


「そんなの、自分勝手すぎる。恋愛は人を強くするんだよ。私はそれで鍛えられた。この長い期間で鍛えられたの」

「だとしても、今までの俺は甘かったんだよ。普通に考えてな。勉強がすべてだと考えてたけどな。みんなと一緒にいて気づいた。勉強だけでは、すべては学べないし、ロボット見たくなるんじゃないかって。それにお前といるとつらいんだよ」

「私だってつらいのっ」

「……」


 華音の言葉に俺は何も出てこなかった。もしかすると半年以上、苦しい状況で毎日を暮らしていたと思うと恐ろしいからである。俺がつらいと思ったのはつい最近だ。そこを比べたときに、俺はまだちっぽけだと思ってしまう。やっぱ、かなわないな。そう思うしかなかった。

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