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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第七章 華音と和孝
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29 青春は壊れる

 バスは高速道路を通行して、小樽へと到着したのであった。そこでガイドから説明がある。


「皆様、小樽に着きました。自由行動に移る前にマップをお渡ししますので、そのままでお待ちください」


 するとすぐに小樽のマップが配れた。それを俺は期待に胸を膨らませた。それもここで一時間くらいあるとなるとどう回るか困るが……。


「とりあえず、適当に回れば、時間的にもどうにかなるだろうしね。いこ――、いこ――」


 乗り気な華音は結構適当なことを言っている。本当に適当でどうにかなれば苦労なんかしないだろうに。そういうところはわかっていないんだよね。

 そしてそんなことを知らない奴は変なテンションである。


「やっと着いたぞぉ――。それじゃあ、いっくぞ――」


 とてもじゃないけどそんな雰囲気になれないはずなのに、こいつは何でここまで元気なのか。


「それでは、準備ができた方から散策へ行ってらっしゃいませ」


 その声と同時に席を立つクラスのメンバーで、バスの通路は混みあっている。そして、にぎやかだ。


「お前ら、迷子になったりするなよ。このバスはこの駐車場に止まっているからな。特に、真司は気をつけろよ」


 いつも通り、真司にだけは注意を促しているようだ。こいつは何をするかなんてわからないし。


「わかってますって。和孝とかがいればどうにかなりますよ」

「その軽さが、あとで大変なことを起こすことを忘れるなよ」


 担任はいつも以上に厳しく言うので、俺は不思議に思ってしまう。


「全員に言っておくが、くれぐれも問題だけは起こすなよ。後々面倒なことには巻き込まれたくはないだろ。いいか。楽しい修学旅行はルールを守りながらも、楽しむことだ。いいな」


 担任がいつも以上にいいことを言うので、少し変だと考えてしまう。いつもなら、適当案癖に学校行事になると別人のような感じになるのはいつものことだと思う。でも、ここまで心配するには何か理由でもあるのではないかと疑ってしまう。


「とりあえず、解散だ。自由行動だから、好きなところに行けばいい」


 その言葉と同じくらいにクラスのメンバーはいっせいに移動し始めた。でも、俺は担任に聞いてみたことがあるから、その場に残った。


「早くしないと、おいていくよ。私はいろいろと見たいものがあるんだから。ぶららの北海道のガイドまで買って調べたんだから」

「お前はどこまでガチなんだよ。小樽にそんなにいいものでもそろっているのか」

「まあ、ついてくればわかるわよ」


 楽しそうな華音は麻衣と一緒に行こうとしていた。


「とりあえず、少しだけ時間をくれ。俺は、担任に聞きたいことがあるからさ」

 俺の返事に答えたかのように、歩いていた足が止まった。


「いきなりどうしたんだ。俺に聞きたいことだと。話すようなことはないぞ」

「何か昔に問題があったんじゃないんですか。それも修学旅行のときに――」


 いきなり担任の顔が凶変する。やはりと思った。いつもの担任なら、そこまでクラスの心配はするどころか、適当に対応することが多い。でも、今日というか、修学旅行中は違かった。


「やっぱりお前は鋭いか。ほかのメンバーが気づかないところに目がいくんだからな。さすがだよ」


 担任は降参したかのような口調で話している。でも、肝心の内容までは聞き出せていない。


「せっかくなんで、ちょっとしたお話を聞かせてもらいたいのですが……」

「そこまでいわれたら仕方ねぇ――。ちょっとした昔話でもしてやるか」


 さっきまで深刻そうな顔をしていたはずなのに、今では開き直ったかのような感じだ。本当にこの人が考えていることはまったくわからない。真司とかは単純だからわかるのだけどな。


「まあ、俺は昔に持っていたクラスの話なんだが。修学旅行で楽しそうにしていたやつがいてな。そいつは今の真司みたいな性格で、みんなから好かれていたというか。いいムードだったんだ。そんなときに、自由行動のときに調子に乗ってしまい、事故にあった。それが原因で植物状態になりそうになって、今では脳内が少し破壊されていて、仕事もできないからだで、自殺したという話だ」


 担任は見たこともないような顔で話していたので、驚きを隠せなかった。

 そして、思っていたよりもシリアスな話で驚いてしまった。この担任のことだから、どこかで大丈夫だったけど、責任を感じたくらいのものかと思いきや、規模が大きすぎた。


「それで、今はその子はいないというわけですか」

「まあ、そんなところさ。俺が助けることさえできれば……」


 担任はしばらくうずくまってしまったので、俺らは待っているやつらの下へ行こうとしたときだった。


「ちょっとまって。笑いがとまんねぇ――。これほど傑作なほどはない」


 さっきまでの話がうそかのように笑い始めたのだ。それも大爆笑というほどにだ。


「やっぱり、信じたか。途中までは本当だが、そいつは今普通に仕事をしている。でも、昔の記憶はすべて飛んでしまっているがな。俺の目の前で事故にあうなんて思っても見なかったしな。だから、真司に注意しているんだ。この修学旅行で事故なんて起こされれば、切ないことになってしまうからな。お前も気をつけろよ」


 なんか、いつもの担任に戻ったみたいで、少し一安心した。

 お久しぶりの更新になりました。四月は全然更新できなく、吸いませんでした。今後は、どうにか調整していきますので、よろしくお願いします。

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