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無関心な恋愛ライフ  作者: 航作裕人
第三章 華音と水奈
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1 すべてのスタート時点

 暖かい朝を迎えた俺は考えてしまうことがあった。それは、華音が水奈と姉妹であるということだ。自分だけが知らなかったようで情けなく感じる。中学も同じ場所にいたにもかかわらず、そんな人たちまで見ていない俺はどうしようもない男と言ってもいいくらいじゃないかと思う。

 朝だというのに、なんかさえない日になりそうだと自分で思っていた。華音にあってどう接すればいいのかなんてわかりっこない。男の俺にはいろいろと親切にする部分が欠けていることを思い知らされた瞬間であった。

 自分の部屋で着替えをして、一階まで降りてくるとリビングでは朝食を作っているのがすぐにわかった。香ばしいにおいが俺をリビングまで引っ張り込んでいく。リビングのドアを開けると、水奈は朝食を食べて、支度をしているところであった。


「お兄ちゃん、遅い。何やっているの! 私よりも遅いのは少し余裕があるのでございますかねぇ~」


 突っ込まれてしまうと、何も言えなくなってしまう自分であった。確かに寝坊をしそうだったところを起こされて、『セーフ』と言う感じであった。

 


 俺は気分的には、テンションが低めで学校に行くことになった。

 学校に着くと、待ち構えていたように真司がたっていた。

 なにか聞きたそうだった。でもホームルームが始まるので、残念そうな顔で席に戻った。

 


 ホームルーム終了後、真司が俺の前の席へ座った。


「華音とはどうだ? 話は普通にできるようになったのかっ?」

「う~ん。どうかな。そうとも言えないな」

「そうか。じゃあ、意外とうまく入っていないという感じね」

「そんな感じだよ。俺もどうにかしようかとは思うけど……」

「どうした? 根性がないのか?」

「確かにあまりないけど、一番は相手に話しても反応がなかったらダメだろう」

「そうかもしれないな」


 真司は俺が悩んでいる点をわかっているみたいで、納得してくれた。やはり、この時期と言うのは男子と女子が仲良く話には問題があるのかもしれない。それだけはどうにも解決させることもできないし、どうすることもできないだろう。気持ち的な意識と言うものなのだろう。しょうがないことだ。なんだって、思春期の男女は複雑なのだから。



 時間は刻々と過ぎていき、いつの間にか昼休みになっていた。俺は、母の作った弁当をほうばっている

 真司との話の続きをするために、弁当を早く食べ終えた。先ほどしていた話しについて話す。


「ホームルーム後の話でもするか」

「おう、待っていましたよ。その話を……。どんなことが聞けるのかな?」

「それがさぁ、華音はいとことか言っていたんだよ」

「マジなのか?」

「でも、本当は違かった。。全然違うんだ。いとこでもなんでもない」

「どんな展開だ。いとこでもないのか。じゃあ、赤の他人なのか? それなのに嘘をつくとはな」

「そうだよな。それで、華音は母の友達の子だった」

「な……なんていう展開。よくアニメとかである感じじゃねぇ――か」

「そうなのかは知らないが、まあ、水奈も華音の妹だということも分かった」

「そうだったのか。全て知らないままで事実を明かされたわけだ。大変だったな。俺なら、さすがに口が開きっぱなしで何もできない」

「そうだよな。俺も驚きすぎてしまった」


 俺は真司に華音がうちに来ることを伝えた瞬間、驚きを隠せないような顔をしていた。


「マジ? それはやばいな」


 ――そのやばいというのはどういうことだ?


 俺には真司の『やばいな』の意味がイマイチ悟ることができなかった。


「それで、華音はどうなんだ。誰が好きなんだ?」

「なんでそんな話を持ってくるんだ。関係ない話だろ」


 真司が妙なことを聞いてくるので、俺は返答に少し困ってしまった。そして、もう一つ思ったことがある。


 ――もしかして、こいつは華音のことが好きみたいだな。

 この言葉を口に出さずに、心の中にとどめておくことしか俺には選択肢がなかった。


 すると、いきなりチャイムが鳴りだした。五時限目の授業が始まる前の予鈴である。

 俺は焦りながら、教室へ戻っていく。真司も同じことで焦っているらしく、やばいというかをこちらに見せていた。今いた場所は屋上だということを気づかされて、俺はゆっくりと屋上のドアを開けて、まぶしい太陽の光が見えなくなるまで、見つめていた。ドアの隙間から。

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