25 初めての空港
飛行機で移動するため、受付でキャリーケースなどの重たいものを預けている。
「やっと北海道に行けるな。これまでが長かったように感じるよ」
目を輝かせながら、出発の時間を待つ真司。
「それよりも早く荷物を預けたほうがいいじゃない。受付終了しちゃうかもしれないよ」
「華音。そんなにあせんなくっても大丈夫だろ。前を見てみろよ」
真司は目の前にある長蛇の列を指さした。
「こんなにも並んでいるのだから、待つしかないだろ」
「そうだけど、早く並んだ人はもうゲートに向かっているよ」
「俺らはゆっくり行けばいいだろ。まだ、出発ってわけじゃないだから」
「そんなこともいっていられないかもよ。もうそろそろで、受付が終了しそうだし」
俺は荷物を預かるところにある液晶画面を指さして話した。すると、青ざめた顔で俺のことを見てきた。いきなりのことで混乱しているだけでなく、どうしたらいいのかと思っているのだろう。
「マジかよ。俺らもあせらないと」
「まあ、そんなにあせることはないだろ。液晶画面をよく見てみろ。あと三十分くらいあるだろ」
「本当ですね。私も言おうと思いましたけど」
担任が注意したとたん、麻衣は恥ずかしそうに言う。こいつってこんなキャラだったっけ。いや違う。何でも言う変態だ。
「でも、早めに並んだほうがいいかもよ」
真司があせったように言うので、俺らもみんなそのあとに並ぶことにした。
無事に荷物を預けて、Aの検査場へと向かう。飛行機に初めて乗る俺からするととてもドキドキする。ゲートにはたくさんのお客さんと監視する人たちがいた。そして、いくつも分かれており、すいているところに並ぶみたいだ。俺ら五人はA―2に並んだ。
「やべぇ――よ。検査ってこんなにも緊張するもんなんだな」
逆にテンションが上がっているようにしか見えない真司だが、これでも緊張しているみたいだ。どう見ても、緊張感がない。
「それはそうでしょ。私も飛行機は初めてだから、どんな検査があるのか少し気になるよ」
一方、華音は足ががくがくなのはわかるほど、緊張しているみたいだ。制服でいるせいか、足を見ると理性を失いそうになる。意外ときれいな足をしているから。
「和孝。なんか卑しいことでも考えてなかった。私の目はだませないよ。覚悟しておきなよ」
俺の後ろで騒いでいるが、俺は少しも気にはしていない。足を見ていることがばれたのは失態だったが……。
「も、もしかして、私の足に何かあったの」
――おいおい、ここで乙女全開は勘弁してくれ。俺の理性がマジで壊れるし、襲い掛かろうとしちゃうから。
華音の目は輝くほど潤っていて、唇は男を魅了するくらい。それに胸を強調するような恰好をしたり、スカートの下が見えないように手で隠すなど。
「本当にお前は何をしたいんだ。いっそのこと、お前のことを襲ってやろうか」
それを聞いた華音は石のように固まり、恥ずかしそうにほほを赤らめた。
「やっぱり、和孝は猛獣だね。これこそ、私が求めていたものだよ」
どうやら、麻衣の変態モードに火をつけてしまったようだ。これはまたもや失態かもしれない。
しばらくして、五人とも検査場を抜けた。一人はベルトを着けたまま、金属探知機を通ったせいでなってしまったが、それ以外なことはなかった。
「マジで焦ったぜ。俺が最初でなるとか。ベルトが問題だなんて」
「いやいや、ちゃんと注意書きに書いてあったよね。ベルトとかの金属部品はトレイに乗っけてって」
「あったっけ?」
こいつの目は節穴だった。ちゃんと注意書きを読まないで通りやがった。携帯とかベルトとか、金具が付いた靴とはは通ると鳴るって書いてあったのにさ。
「それよりも、検査場を通れたから、あとは搭乗時間まで暇じゃん。どっかで買い物したいよな」
「おい、お前ら待てよ。とりあえず、どこが搭乗口だかを理解しておく必要があるぞ。ついてこい。そこで集合にもなっているしな」
担任は真司の手を取り、引っ張っていく。
「離してくれよ。俺は普通に歩けるんですけど」
「いいから来い。お前みたいのは、空港では一番迷惑をかけることはわかっている」
本当に鋭い勘の持ち主で。あいつのことなら、どこかに買い物に行って騒ぎまくるのはわかること。それを見破れるのはよく生徒を見ているということ。やっぱり見ているところが違うのかと思ってしまった。
なかなか更新できなくすいませんでした。なかなか、書こうとも思えずに。さて、やっと空港へやってきたわけですが、まだまだ話は続きますよ。羽田空港にいるだけなので、今後の予定では新千歳空港に向かうのだと思います。