24 真実はなぞ
なんでこんな夢を見たかは自分でもわかっていない。それでも、何かあったからこそ、見るのかも。
とりあえず、シャワーを浴びながら考えてしまった。さっきのままだったら、とんでもないことだったと。それにしても、いきなり気を失うなんてどうかしているようにしか思えない。今までにないからこそ、恐ろしい。
「俺は睡眠薬でも飲まされたのか。でも、だれが飲ますのか」
頭の中でもやもやしたものがあって、すっきりしない。俺は今後どうすればいいかも全く分からない。
「俺には何ができて、どんなことをしていけばいいんだ。こんなところでわからなくなってしまったよ」
そして、俺の目には涙が流れていた。
「なんで涙なんて……」
何もかも信じられなかった。俺自身も。
「やっと上がったか。意外と長くいたよな。なんか考えていたのか?」
シャワーを浴び終わった俺は真司がいる部屋のベット付近に向かった。
真司にはわかってしまうのだと、心から痛感した。
「まあ、そうだけど。お前が気にすることじゃないだろ」
「それはそうだろうけど、俺は幼馴染としてみてはいられない。今までよりも恋で悩んでいるのか?」
真司はここまで思ってくれているとは全く気が付かなかった。人間としてよくないことだ。
「それもあるけど、いろいろなことがあったことで疲れているのかも」
「そっか。今までのお前には上を目指すしかなかっただろ。特に、高校に入ってからか。その前は勉強しない奴だったのにな」
「確かにその通りだよ。俺には恋愛というのは似合わないと思って、封じてきた。周りがどうなろうと関係ないと。でも、違かった。うらやましかっただけだったんだと思い始めた」
俺は今までは我慢をしていたということ。それにどんなことが恋愛なのか理解できていなかったこと。
「そうだったんだ。いきなり勉強を始めたのは、やることがなかったからとかじゃないよな。あとは大学のことでか?」
「一応は熱心にやることがなかったからと、気を紛らわすためにやっていたのかもな」
「そっか。とりあえず、荷物まとめて空港に向かおう」
俺たちは各ベッドの隣に置いたキャリーケースを転がしながら、ホテルの部屋を後にした。
ホテルは自分たちでチェックアウトしてから、空港の集合場所に向かった。すると、華音と麻衣、悠馬がいた。そういえば、夢の中では水奈もいたんだっけ。
「おーい、俺はセーフかな?」
真司が華音に確認していた。それにしても、この空港は天井が高かったりと、とても大きいな。空港なんて初めて来る俺には戸惑いが隠せない。
「まあ、今回は大丈夫だったみたい。それにしても、昨日は和孝がいきなり倒れるからびっくりしたのよ」
華音は少し顔を赤らめながらいうので、何かあったのかと疑ってしまう。
「それで、なんでお前はほほを赤くしているんだ? 熱でもあるのか」
俺はわかっている。こいつに熱などなく、ただ、昨夜何かあったのだと。
「そ……そんなわけじゃないじゃないの! べ……別にやましいことは」
「そんなこと言って、昨日話していたじゃない。『和孝が倒れたときに私が受け止めて、運んだの』とか。それがうれしかったんじゃないの」
「そ――、そんなんじゃないわよ。勘違いされるような言い方しないで――」
たぶん、麻衣が言っていることは真実だろう。本当にわかりやすいから困るというか。お前が俺のこと好きなことは知っているけど、そんなにそわそわされるとこっちが恥ずかしくって仕方ないわ。
「そんなこと言っている場合じゃないよ。どうやら、学校全体が集まったみたいだから話があるみたいだよ」
そんなことを言われても、華音の顔はまだ赤いままであった。
少し更新が遅くなりましたが、三月初の更新です。二月の後半は更新ができなく、すいませんでした。今回も短いですが、着々と修学旅行編は進んでまいります。もうそろそろで、北海道での出来事になりますので、しばらくお待ちください。