23 問題はどこからもふりかかる
朝食をとり終わった俺ら一行は、一旦部屋に戻った。そして早めに出発できるように荷物をまとめている。
「なんか、俺だけめちゃくちゃ怒られたせいで、料理がおいしいとは思えなかったんだよな」
「なんかごめんなぁ。俺はそんなにおこられなくって」
真司はベットへとダイブした。
「本当だよ。なんで扱いが違うのかとか思うわ。まあ、そんなことはいいさ。それよりも俣時間遅れると怒られるぞ。俺らもいろいろなことやらないといけないだろうし」
「それに朝食中の話聞いたか?」
「もう、怒られたせいでへこんでたから覚えていないや」
真司は苦い顔をしていた。結構重要な話をしていたんだけどな。
「じゃあ、ちゃんと話しておくからな」
全員が朝食を持ってきたあとのことである。
「とりあえず、少しでも話しておかないといけないな。そういえば、なんでここが個室になっているかわかるな」
「それはバレないようにするためでしょうかね」
悠馬が端から話す。それだけバレるとやばいことだと知っていたからだろう。それに、このレストランはどうやら個室もあるというのだ。珍しい。
「それで話に戻るが、高山理事長はうちのエリートを狙っているんだよ。要するに、大人のもめごとに巻き込まれるわけだ。それを阻止するのがお前たちってわけ」
「それで、なんで修学旅行の時に何ですか?」
担任は頭を抱えながらいう。
「簡単に言えば、修学旅行で誘い込めばどうにかなるとか考えているんじゃないか。それもうまい決まり文句で攻めるとかな。そんなこと成功するわけないと思うがな」
「こんな平和な時代に厄介ごとを起こすのもどうかと思うけど」
「そうね。普通だったらやらないことだものね」
「それに営業などで心理を読んで誘い込んだりするわけだ。普通はそんなことありえないのにな」
「例えばどういうことですか?」
麻衣は興味津々だ。それを見て、担任はまた頭を抱える。そんなにすごいことなのか。
「例えばだな。『あなたの成績を上げるために何でもしますし、設備も新しい。それに楽しい学生生活ができますよ。それに、今よりもお金もかからないので、親御さんにいい思いをさせられますよ』みたいに誘い込むわけだ。
まあ、俺たちからすればあの学校ほどひどいカリキュラムや設備はない。だって、昔の常磐商業高校をそのまま使っているだけだしな」
それを聞いた俺は少し疑問に思う。なぜ、校舎が同じなのにそんな風に誘い込んでいるのか。常磐商業高校は創立七十年くらいは立っている歴史のある高校だったはず。その分、校舎内は古さを見せている。それに、外見はとても悪いもの。
「和孝。お前はなぜこんな学校をよく見せていると思っているな。古くって、どうしようもないところだと周りはわかるのに」
「それは思っていますよ。だって、あのままならただのボロイ学校じゃないですか」
「それはだな。色を塗ったりとしてうまくカモフラージュをしているし、誘ったその場で入学できるという特別な方法をとっているからだな。それに、入学を辞退すると解約金を取られたりするとか。それに脅すとかすると聞いたことがある」
「じゃあ、そんな学校にだれもいかないじゃないか」
真司が質問している間に、華音と水奈は着々と朝食を食べている。お前らは興味がないのか。結構重要な話をしているのに、それに興味がないご様子。どうしたものか。
「まあ、そうだな。でも、だまされる人は大勢いる。普通に詐欺みたいにな。いろいろな企業だって、詐欺みたいな感じにお金を無駄にとっていることもあるんだ」
俺たちがやっていることは結構深刻な問題なのかもしれない。
「それでも、俺たちはやるしかないんだ。わかるよな、和孝。大人の争いに巻き込んでしまったのは済まないと思うが、許してくれ……」
思い出しただけでも、やばいそうなことはわかっている。
「そんな話だったっけ。俺は質問した記憶もないよ。たぶん、違う誰かがしたんだよ」
「普通にしてたよな。それも、がっちり聞いていたよな。なんで覚えてないんだよ」
「おい、しっかりしてくれよ。俺はどうすればいいかわからないだろ」
真司はボケていた。それも、重度だ。
「早くいかないと面倒なことになるぞ」
「そんなことは気にしなくてもいい。俺はもう一回寝ることにするよ」
真司はベットに横になって、すぐに眠りについた。
「俺にどうしろっていうんだよ。こんなんじゃ起きないし」
すると、ドアからすごい音がした。それも今まで聞いたことがないほどだ。
「今からドアを壊す。いいか、一、二、三」
ドアは簡単に破壊された。ドアの向こう側にいたのは、銃を持ち、防具をした人たちだった。
「なんで、俺たちの部屋に入ってくるんだ」
「警察だ。お前らを現行犯で逮捕する!」
「俺たちは何もやっていない。それに、なんで警察がいるんだ。てか、真司起きてくれ――」
俺は飛び起きた。そこはどこかのベットだった。今まで見た景色とは違かった。ベットは大きく、テレビもよくなっていて、それは高級ホテルにきているようだった。
「やっと起きたか、お前は結構寝てたからな。今いる場所が把握できているか」
「そういえば、警察が来なかったか? 俺たちを逮捕するとか?」
真司は鼻で笑った。
「いきなりどうしたんだよ。俺たちが何かやったと思っているのか。それに、警察に追われることをした覚えはないけど……」
俺はふっと気が付く。ここで寝ていたということはすべて夢だったのではないかと。それじゃあ、俺たちがネズミ―ランドで遊んでいたことは嘘なのか。全く分からない。すべて夢だとするなら、自宅にいるはず。
「頭の整理はできたか。俺たちが修学旅行で羽田空港のホテルにいることはわかっている? それにネズミ―ランドで遊んだことも。その後、バスに遅れて、担任が車で迎えに来てくれたことも」
「やっぱり夢じゃなかったんだな。じゃあ、俺はどこでねたんだろう?」
「バスに乗り遅れて、途方に暮れたときに気を失ってたよ。自分のことで絶望でもしたのかと思ったよ。完璧主義を演じている自分が集合時間に遅れたということでね」
やっと頭が働くようになって、今の状況がつかめた。そして、今は朝だ。時間を見ても、六時くらいだし。
「それじゃあ、早く支度でもして、飛行機に乗るぞ。早く、シャワーでも浴びてきな」
今回はいろいろと面白い展開です。読んだ方はわかると思いますが、今までの大事がすべて夢だったわけですね。いや、この展開にすることは前々から決まっていたわけではないんのですが、どういう方向性にするかを考えたときに日常的なことを書くのに大きくする問題は不要と考えたわけです。まあ、それが今回の結果を生んだわけです。